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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 サキュバス

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(4)国王との会談

 考助の発言は三者を驚かせたが、特に大きな反発もなくすぐに了承された。
 そもそも考助は、現人神として活動するつもりは毛頭ない。
 せっかくなので、邪魔にならない範囲でピーチの手伝いが出来ればいいと考えただけだ。
 さらに付け加えると、他には誰にも言っていないが、ジゼルに話を聞いたときに、何となく嫌な予感がしたのだ。
 出来れば、ミツキあたりをピーチの補佐として付けたかったが、誰にも疑われないような理由が他に思い当たらなかった。
 いくら考助でも「何となく」という理由でミツキを付けるつもりはない。
 勿論、周囲の者たちが考助の「何となく」を重視しているのは分かっているが、それ以上にミツキを長期間単独行動させる方が嫌な予感がする。
 主に考助関係のことで暴走すると、止められる人間が誰もいなくなってしまう。
 それならいっそのこと、自分も一緒に活動したほうがいいと考えたのである。
 後は単純にサキュバスが行っている活動というものにも興味があったということもある。

 それらのことを踏まえての考助の申し出だったが、ジゼルたちがあっさりと了承したのにはわけがある。
 はっきりいえば、スミット王国の王族側の状況は芳しくない。
 塔のサキュバスたちや国内に存在する他の闇ギルドが手を組んだとしても何とか五分の勢力に持って行けるかどうか、といったところなのだ。
 それは、各闇ギルドがそれぞれの町に根差しているだけで、外部に人材を派遣できるだけの状況にないというのが理由として挙げられる。
 それでも一時的に手を組むのは、それぞれの町の情報を得るという意味がある。
 そんな状況の為、サキュバスたちの安全の為にも考助(主にコウヒとミツキ)が加わるのは、有難い申し出なのだ。
 ただし、考助が現人神であることは隠して活動するとはいえ、相手側のトップに何も伝えないわけにもいかない。
 そのため、塔のサキュバスたちの活動に加わることが決定した考助たちは、まずスミット王国側のトップと対面することになった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 その会合は、ごく限られたメンバーが集まり、秘密裏に開かれた。
 そもそもの目的が、闇ギルドに関係することのため、大っぴらに開くことが出来ないのだが、出席者を考えればあり得ない程の人数だった。
 スミット王国側は、国王と王太子と二人の護衛となるサキュバス数名と長のマチェイ、ラゼクアマミヤ側は、考助とコウヒ&ミツキ、ピーチを始めとしたサキュバスたち数名となる。
 国王と王太子が揃っている時点で、厳重な警備になってもおかしくないのだが、それをするとどうしても目立ってしまうため、こうした形態になった。
 会談が開かれている場所は、ごくごく限られた者しか知らない地下施設となっている。
 この場所がある場所は、スミット王国の影たちしか知らず、国王や王太子にも知らされていなかった。
 もっとも、コウヒやミツキあたりは、この場所に来た時点で分かっているだろうが、わざわざそんなことを教えるつもりは考助には無い。

 スミット王国側で考助と直接の対面を果たしたことがあるのは、王太子であるクリストフ王子だけだ。
 そのため、最初に口を開いたのはクリストフ王子だった。
「現人神。わざわざおいでくださりありがとうございます」
「クリストフ王太子、ご無沙汰しております」
「ご無沙汰しております。早速で恐縮ですが、我がスミット国の国王を紹介いたします」
 クリストフが視線をアッサール国王に向けると、やや緊張した面持ちで国王が話始めた。
「現人神様。初めての邂逅に感謝申し上げます」
 そう言って頭を下げた国王に、考助は首を左右に振った。
「アッサール国王。ここにいるのは、現人神ではなく、冒険者のコウです。以降はそのつもりで対応を願います」
「しかし・・・・・・」
 考助の言葉に戸惑いの表情になったアッサール国王だったが、考助と同じように首を振った王太子を見て、それ以上の言葉を飲み込んだ。
「王としての立場上仕方ないこともあるのでしょうが、少なくとも今この場では、そんな体面など気にする必要はないでしょう?」
「・・・・・・分かりました」
 これ以上押し問答を繰り返しても仕方ないと判断したアッサール国王は、息子の様子を見て小さく頷くのであった。

 彼らが集まった場所にはきちんとテーブルと椅子が用意されていた。
 勿論、普段彼らが使っているような高級品ではないが、そのことに文句を付けるような愚か者は、この場所にはいない。
 ついでにいえば、椅子に座ったのは、アッサール国王とクリストフ王子、それに考助とピーチだけである。
 ピーチが座っているのは、塔側のサキュバスの代表としてこの場に来ているためだ。
「・・・・・・一応確認いたしますが、現人・・・・・・コウがここに来ているのは、補佐の為という事で間違いありませんか?」
「ええ、間違いありません。そもそも私自身は今回は表立って動くつもりはないです。せいぜいクラウンの冒険者として近場の依頼を受けるくらいでしょうか」
「ふむ・・・・・・」
 その答えに、アッサール国王はジッと考助を見た。
 表情には出していないが、本当かどうかを疑っているのだろう。
 以前にも考助はスミット王国国内で騒ぎを起こしたが、あれは完全に巻き込まれた騒動といって良い。
 考助の存在で騒動が大きくなったのは間違いないが、あくまでも相手の行動に対処していったらことが大きくなっただけだ。
 だが、今回は、考助の方から関わりたいと言ってきている。
 現人神自ら動くとなると、裏に何かあるのかと疑うのは、国王として当然のことだろう。

 国王の視線を感じた考助は、首を左右に振った。
「疑うのはもっともですが、はっきりいえば、今回の騒動で私が役に立てることはほとんどないですよ」
 持っているスキルの事を隠しながら、考助はそう言った。
 持っているスキルや妖精たちのことはともかくとして、実際には裏組織の活動に役に立てることはほとんどない。
 スキルとしては、この世界に来てすぐに、コウヒやミツキに鍛えられた隠密系のスキルの数々があるが、実戦で役に立つとは欠片も考えていない。
 一緒に付いて行くといった時点で、ピーチを始めとして、コウヒやミツキに散々忠告を受けたので、暴走するつもりもない。
「ついでにいえば、なにか神としての予言とか予知とかがあるわけでもありません」
 国王に先回りして、考助はさらにそう付け加えた。
「・・・・・・む」
 まさしくそのことを聞こうとしていたアッサール国王は、口をへの字にした。
 考助の今までの言葉は、神としての立場で行動することはないと言い切っている。
 勿論それは、アッサール国王に対するけん制も含まれていた。
 アッサール国王としては、出来れば神がこちら側に付いていると公表してしまいたいところなのだ。
 その方が、この先確実に出るだろうと思われている犠牲がより少なくなる。
 ただし、考助としては、神の権能を使ってまでアッサール国王に義理立てするつもりはない。
 もし、それを本気で望むのだとすれば、遠慮なくピーチと共に手を引くことを決断するだろう。
 考助のそうした思惑を見破ったのか、それとも単にこれ以上の譲歩は引き出せないと分かったのか、アッサール国王はしばらく考えた後で一つ頷いた。
「畏まりました。・・・・・・分かったな、クリストフ」
「はっ!」
「うむ。これより先、この件に関しては、クリストフが対応することになります。其方のそのつもりで動くように」
 アッサール国王は、最後にマチェイに視線を向けてそういった。

 今回の会談は、国王と考助が話をすることに主眼が置かれていたので、対話自体はすぐに終わった。
 国王と王太子が去った後は、実際に実務レベルの話し合いが行われたが、考助はその場にいても話には加わらなかった。
 素人の自分が余計な口をはさんでも仕方ないということは分かっている。
 その話し合いにしても、もともとの話をすり合わせる程度で終わったので、さほどの時間はかからなかった。
 その話し合いを終えた考助たちは、拠点を探すために首都の不動産を扱う商人ギルドを探し回るのであった。
釘をさすため国王と会談しました。
実際は転移門を使って行き来をすれば首都に滞在する必要はないのですが、考助は出来るだけピーチの傍にいた方がいいと考えたためわざわざ拠点を探しています。
勿論、ときおりコレットの様子を見るために、塔に帰るつもりもあります。

※活動報告にて、書籍二巻のSSを募集しております。
是非この機会にご意見を頂ければ、と思います。
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