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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 塔の地脈の力を使ってみよう

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(1) 冒険者部門部門長

第六章が始まりました。
これからもよろしくお願いします。
 クラウンが結成されてから一か月程が経った。
 メンバーは順調に増えていき大陸のどのギルドよりも一番大きい組織になっていた。
 といってもそれは全ての部門を合わせた数なので、それぞれの部門では冒険者部門だけが一番大きい組織、ということになる。
 商人部門や工芸部門だけで見れば、さらに大きい組織は存在している。
 もっとも第五層の村は現在も急速に発展中なので、それぞれの部門のメンバーもさらに増えて行くだろう。
 逆に冒険者部門に関しては、いずれ頭打ちになると考助は予想している。
 まあそれもまだ先の話だろうが。
 工芸部門のメンバーの現在の主体は、建築部門である。
 村では建築ラッシュが続いているので、これも当然だろう。
 そして、先日はついに、畑の作成が始まった。
 それに伴って村に定住する者が決まった。
 これは最初から決めていたことなので、エクが以前から動いて塔の中で働ける農夫を探していたのだが、その者達が本格的に動き出したのだ。
 ちなみに、農夫たちの住む住宅は、塔の機能で作成した。
 工芸部門の作成を待っていたら、いつまでたっても畑が開墾されないからである。
 細かい季節は設定していないので、生産物に関しては手探りになってしまうが、こればかりはしょうがない。
 逆に第五層の季節に関しては、今の設定をいじらないほうがいいだろう。
 村に関しては、主要な施設は大体揃ってきていた。
 といっても、一つずつ存在する、といった程度なので、まだ需要に対しては追い付いていないのだが。
 クラウンのメンバーで今一番忙しいのは、間違いなく工芸部門のメンバーだろう。
 かと言って、冒険者部門や商人部門が暇しているというわけではない。
 日々新しいメンバーが増えて行っているので、それぞれを統括している者達は、忙しく動いていた。
 ちなみに、クラウンの統括メンバーは次のように決まった。

 クラウン総合統括・・・ワーヒド
 クラウン総合副統括・・・エク
 クラウン冒険者部門統括・・・ドル
 クラウン商人部門統括・・・サラーサ
 クラウン工芸部門統括・・・ティン

 そして、それぞれの部門統括の下に、部門長を置く予定だ。
 例えば商人部門の部門長はシュミット、といった具合である。
 工芸部門の部門長の候補は存在しているのだが、現在は忙しくて時間が取れないということで、現在考助は冒険者部門の部門長候補と会っていた。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「・・・お前さんが、コウスケ殿かい?」
「ええ、初めまして。よろしくお願いします」
 部屋に入ってきた考助を見て、男は眉をしかめた。
 男の名は、ガゼラン・ヒューマッド。ワーヒドとドルが選んだ冒険者部門の部門長候補である。
 そのガゼランの様子を見て、考助は笑顔を浮かべた。
「僕が塔の攻略者で、不満ですか?」
「・・・不満・・・いや、不満・・・というより疑問、だな。どう考えても、お前さんが塔を攻略したようには見えねぇ」
「ははは。それは、そうですよ。僕自身は、攻略時には、ほとんど戦闘してませんから。戦闘はこの二人がしてました」
 考助はそう言って、コウヒとミツキの二人を指した。
「なるほどねぇ」
 ガゼランは、そう言って頷いているが、言葉通りには受け取っていない。
 それも当然だろう。普通のフィールドでさえ、ただのド素人が付いて行くと足手纏いになるのだ。
 ましてや大陸の中でも最高難易度と噂されている中央の塔を攻略したのだ。
 ただの足手纏いが、生き残れるような場所ではないのである。
 たとえ、どんなに後ろに控えている二人が強かろうとだ。
「それで? お前さんは何ができるんだい?」
 そう聞かれた考助も出し惜しみをするつもりもなかった。
 問われた考助が、自分をまっすぐ見つめてくるガゼランを見返して、
「・・・ガゼランさん」
「なんだ?」
「しっかり気を持ってくださいね」
「・・・何? ・・・くっ!?」
 一瞬疑問の表情を浮かべたガゼランだが、続いて考助から受けた圧力に思わず意識を持って行かれそうになった。
 ガゼランは一流の冒険者だ。
 自身の持つ力だけで、それなりに名を馳せるギルドも作り上げてきた。
 当然、難易度の高いモンスターと何度も直接対峙してきた。
 だが、それらのモンスターすら足元にも及ばないほどの圧力を、考助から感じていたのだ。
 正直、意識を持っていかれないようにするだけで、精いっぱいだった。
 ガゼランにとっては、長く感じたその時間は、実際にはほんの数秒だったのだろう。その圧力は、いつの間にか無くなっていた。
 内心は信じられないという思いがあるが、手のひらに残っている大量の冷や汗が、現実だったと知らせていた。

「・・・・・・今のは、何だ?」
 今まで受けたことのない感覚に、思わず相手に質問をぶつけていた。
「神力ですよ」
「何?」
「神力を使って、圧力をかけたんです」
 その答えに、ガゼランは座っていたソファーに身を深く埋めた。
 魔力や聖力は聞いたことがある。だが、神力など聞いたことが無かった。
 いや正確には、神官や巫女からは聞いたことがあった。
 だが、あくまでも神話の世界での話だと思っていたのだ。
「・・・何だい、お前さんは、実は神様ってか?」
 ガゼランの呆れたような声に、考助は笑って答えた。
「それこそまさかですよ。ただ神力が使える、普通の一般人です」
「いやいや。神力なんてもんが使える奴は、普通の一般人とは言わねーよ」
「・・・あはは」
 取りあえず笑ってごまかした考助である。
 そんな考助の様子を見て、ガゼランはため息を吐いた。
「やれやれ。俺も色々な人間見てきたつもりだが、ここまで第一印象の予想を外したのは初めてだ」
「それで? お眼鏡には叶いましたか?」
 考助の質問に、ガゼランはニヤリと笑った。
 考助も先程までのガゼランの態度が、わざとだということに気付いていた。
 当然コウヒやミツキも同じである。だからこそ、怒るわけでもなくただ見守っていたのである。
「・・・まあな。お前さんの下でやっていくのは、いろんな意味で面白そうだ。・・・とは言え、流石に俺のギルド全員が移るというわけにはいかんぞ?」
 ガゼランのギルドは、所属員が五十名を超えるギルドだ。
「それは当然です。そもそもガゼランさんが、移っていただけるだけでも、こちらとしては、ありがたいですからね」
「そうか。じゃあ、うちのギルドメンバーに関しては、俺が話してからでいいのか?」
「ええ。勿論です。とは言え、優遇措置とかはありませんので、他のクラウンメンバーと同じような扱いになることは、きちんと周知してください」
「・・・まあそれはそうだろうな」
 メンバー内で優遇措置を取って優劣をつけると、そこから内部崩壊するなんてこともあり得る。
 だからこそ、どこから移って来ようとも、ソロでクラウンに入ったメンバーと同等の扱いにするのである。
 逆に、だからこそ移籍を断るギルドもあるだろう。
 一度でも前例を作ると、後から来たギルドも同じような要求をしてくる場合がある。
 そうなってしまうと、個人でやっていた冒険者がクラウンに入ってこなくなることさえ起こるだろう。
 そこまでいかなくても、不満を持つのは間違いがない。
 そう言った可能性があるのだから、最初から差を作ることは考えていないのである。
「それさえのんでいただけるのであれば、クラウンとしてはメンバーの移籍も歓迎いたします」
「わかった」
「後の細かい話は、ドルかワーヒドから聞いてください。実務に関しては、もう完全に任せてしまってますから」
「ああ、そうしよう」
 考助とガゼランは、互いにそう言った後、握手をして別れた。

 今回のこの話で、ガゼランがクラウンの冒険者部門の部門長として所属することになる。
 その話は、瞬く間に冒険者たちの間に広まり、更にクラウンの名を広めることになる。
 ちなみに、ガゼランのギルドでも、やはりというかひと悶着あったのだが、流石やり手のガゼランというべきか、ギルドメンバーの一部を引き連れてクラウンへの所属を果たす。
 残ったギルドメンバーは、同じギルド名で続けていくことになるのだが、ガゼラン不在ということで、以前のような力は持てずに活動していくことになるのであった。
明日は13時と20時の2話更新です。
読み飛ばしにご注意ください。

2014/5/27 誤字修正
2014/6/14 誤字訂正
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