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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5部 第1章 塔同士の戦い

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(20)最終結果

ほとんど説明回。
 アマミヤの塔とサリタの塔の制圧戦は、一般の者からすると突然始まっていつの間にか終わったという印象を与えた。
 何しろいきなりフロレス王国がサント・エミンゴ王国に対して釘を刺すようなことを言ったと思っていたら、サント・エミンゴ王国首都にクラウン支部が出来ることになっていたのだ。
 いきなり支部が出来ることが発表されたことで、当然のように各国の上層部は制圧戦の結果を推測していた。
 今まで作られていなかったクラウンの支部が出来ることになったのだ。
 その結果は推して知るべし、といったところだろう。
 同時に結果を見守っていた他の塔の者たちもサント・エミンゴ王国でも勝てなかったかという雰囲気が漂い始めていた。
 一応、サント・エミンゴ王国は、制圧戦においてはこの世界でもトップクラスの強さを誇っていた。
 それがこの結果なのだから、他の塔の管理者にとっていれば、益々アマミヤの塔が驚異の存在だという事が認識された。
 ただし、サント・エミンゴ王国側が、神託を得てから制圧戦に踏み切ったことまでは知らないが、たとえ現人神が支配している塔であっても神罰を食らわないような抜け道があるという事も広まっている。
 それがどういう影響を与えることになるかは今のところは不明だが、また色々と抜け道を探し出して戦いを挑んでくる塔も出てくる可能性もある。
 もっともアマミヤの塔側もそれを見越したうえで、今回の件を利用して対策を取ったということになる。

 サント・エミンゴ王国の首都に作ることになったクラウン支部は、最初に王国側から発表だけされてそのあとは表だってすぐにクラウンの活動が開始されたわけではない。
 クラウンとしても今回の件はいきなりだったので、準備も何も出来ていなかったためである。
 賠償が決まったあとに急ピッチで準備が行われて、サント・エミンゴ王国の首都に支部が出来てきちんと動き始めたのはひと月が経ってからの事だった。
 クラウンの支部を受け入れるにあたってゴタゴタしたのは、何もクラウンだけではない。
 サント・エミンゴ王国でも相応のごたごたがあった。
 今までクラウンの支部が出来ていなかったのは、既得権益が脅かされるという反発があったからなのはいうまでもない。
 いくら塔の戦いで負けたからといって、急に受け入れることは出来ないと当然のように主張して来た。
 ただし、クラウンの支部を受け入れるという意見は、もともとサント・エミンゴ王国内でもあった。
 そうした勢力を味方につけたペドロ国王が、そうした意見を封じ込めたのである。
 結局のところ、支部の受け入れを拒否をする側も、主張する側も、もともとある権益を奪い合っているのに過ぎない。
 ペドロ国王にとっては、国そのものが大きくなれば、どちら側についても大きなダメージはないのだ。
 勿論、アマミヤの塔を背景にしたラゼクアマミヤと強固につながりのあるクラウンが、国の中に大きく食い込むことになるのにはかなりの影響があるが、そもそも両国は物理的にかなりの距離があるのでいきなり何かが起こるというわけでもないのである。
 もし、支部の受け入れが順調に進んで、そのお陰で順調に国力が伸びれば、ペドロ国王の判断は英断だったという事になる。
 支部の受け入れが失敗に終わっても、制圧戦で失敗して押し付けられたという主張も出来るので、ペドロ国王にとってはどちらに転んでもさほど大きな痛手は食わないのである。

 支部の受け入れ準備が進む一方で、ラゼクアマミヤとの直接の外交に関しては、一瞬で終わった。
 何しろ項目が禁輸品の解禁のためお上が了承を出せば、あとは商人たちが勝手に話を進めていく。
 関税や輸入量などの細かい規定に関しての話し合いはあるが、それについてもあっさりと決着がついた。
 そもそも両国で話を進めていた案件なので、お互いの妥協が終わればそのあとは話し合う事もない。
 結果として、ラゼクアマミヤ側が拍子抜けするほどあっさりと両者の話し合いは終わった。

 最後に、考助たちが攻略した塔に関しては、表だって知られることは無かった。
 攻略された事は他の塔に知らされるが、攻略したのがアマミヤの塔の関係者であることは分からない。
 例え塔の名前が「リトルアマミヤ」と名付けられたとしても、だ。
 もっとも、タイミングがタイミングなので、ほとんどの管理者たちは、アマミヤの塔の関与を疑う事になる。
 同時に、下手にアマミヤの塔へ戦いを仕掛けると、塔を丸ごととられることになるというのは、周知の事実になりつつあった。
 何しろアマミヤの塔に戦いを仕掛けて、塔を攻略されるのが二度目になる。
 不用意に戦いを仕掛けると塔を失う事になり兼ねないということは、アマミヤの塔を攻撃しようとする大きな抑止力となっていた。
 新しく攻略された塔が、いきなりアマミヤの塔と制圧戦を始めたことによって、どちらの塔にも他の塔からの戦いが仕掛けられなくなったことから、ほぼ両者の繋がりが確定事項となるのはさほど時間はかからなかった。

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 考助たちが新しい塔を攻略するのにかかった日数は、二十日程度だった。
 同じ規模の四属性の塔を攻略した時よりも多少時間がかかっているが、これはミアを連れていたことによるものだ。
 ミアが足手まといという事もあるのだが、他の大陸にある塔を詳しく見たがったこともある。
 当然それには、今後自分がこの塔を管理していくことになるという考えもあった。
 コウヒやミツキがいる今のうちに、ちゃんと階層を見ておきたかったのだろう。
 ついでに、考助も娘との塔の攻略を楽しんでいたので、結果としてこれだけの日数がかかったのである。

 リトルアマミヤを攻略したあとは、ミアに全てを任せて考助たちはすぐにアマミヤの塔に帰る、というわけにはいかなかった。
 何しろここでコウヒとミツキがいなくなってしまえば、ミアだけがリトルアマミヤに残されることになってしまう。
 出来ることなら、アマミヤの塔とリトルアマミヤの塔の間は自由に行き来できるようにした方が良い。
 ただし、残念ながら両者の塔を転移門で繋ぐことは出来ない。
 それもそのはずで、四属性の塔や聖魔の塔と違って、リトルアマミヤの塔はシステム上は無関係の塔なのだ。
 そんな塔にお互いの転移門が置けるはずもない。
 結果として、お互いを簡単に移動するためには、別の方法を取らざるを得ないのである。

 リトルアマミヤの塔の制御室で、色々と確認していたミアが、攻略してすぐに追加した部屋にやって来た。
 そこでは考助が何やらごそごそと作業をしていた。
 ミアは、集中している考助の邪魔をしないように、様子を見ていたミツキに話しかけた。
「上手くいきそうですか?」
「見ている限りでは、中々期待通りにはいかないようね」
「そうですか」
 残念なミツキのお知らせだったが、それでもミアの顔には不安などは現れてはいない。
 考助の事だからどうにかするだろうと安心しているのである。
 その二人の会話に気付いた考助が、一旦作業をしていた手を止めて彼女たちの方を見て首を振った。
「やっぱり駄目みたいだ。直接アマミヤの塔へ向かう魔法陣は組めないね」
 忘れがちだが、考助の現人神の権能の一つに魔法陣の作成がある。
 その考助が無理だろということは、本当に無理なのだ。
「だから、予定を変えて、別のところを経由してアマミヤの塔へ行けるようにするよ」
「そんなことが出来るのですか?」
 首を傾げたミアに、考助は大きく頷いた。
「出来るよ。というより、もう既にアマミヤの塔で試しているからね。こっちからその場所につなぐのも問題ないよ」
「そうですか」
 気楽にそう言った考助に、ミアも笑顔を返す。

 この時考助が言った『別のところ』というのがどういう場所なのか、ミアたちは後々知ることになるのだが、それを知って頭を抱えることになるのはまた後日の話であった。
最後の最後に考助がぶっこんできました。
どういった場所なのかは、また後の話で。
これでサント・エミンゴ王国との制圧戦の話は終わりです。
この後はまた日常の話に戻ります。
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