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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5部 第1章 塔同士の戦い

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(19)父娘で攻略

 塔のシステム的には既に制圧戦は終了しているが、まだ最後の仕上げが残っている。
 クラウンやラゼクアマミヤに提示された条件はそれぞれの組織で対応しているので、考助たちはサント・エミンゴ王国にある塔を一つ攻略しなければならない。
 広い国土を持つサント・エミンゴ王国内には、攻略されていない塔がいくつか残っており、そのうちの一つを交渉時に提示されていた。
 交渉時には、いう通りにするともしないともいっていないので、別にそれに従う必要はないのだが、敢えて喧嘩を売る必要もないので有難く攻略することにした。
 その塔がある場所は、サント・エミンゴ王国とフロレス王国の国境近くにある。
 ペドロ国王が、ラゼクアマミヤとフロレス王国の関係を重視してその塔を推薦して来たのは間違いない。
 もっともフロレス王国に近い位置にある塔を攻略したからといって、すぐに何かが起こるわけではない。
 それでも「何か」を期待して行動するのは、国家としては当然の行為だろう。
 アマミヤの塔としてはそのサント・エミンゴ王国の思惑に乗るかどうかはまた別問題だ。
 とまあ、そんな裏の事情はさて置いて、早速考助たちは塔の攻略へと乗り出すのであった。

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 制圧戦が終わってから一週間後には、考助たちは目的の塔の麓に来ていた。
 今回のメンバーは、考助を筆頭に、コウヒとミツキ、ミアとナナとワンリの四人と二匹だ。
 攻略したあとは、ミアが管理長として登録することになっているので外すことは出来ない。
 本来であれば、護衛であるミカゲが付いてくるはずで、本人もついてくることを強く主張したのだが、それは考助が許さなかった。
 コウヒとミツキがいれば、間違いなく攻略は出来るだろうが、それでも出来る限り足手まといは少ない方がいい。
 今回はミアが必須で後はコウヒとミツキがいればよかったのだが、それだと考助の傍から両方離れることになるので、それは二人が許さなかった。
 結果として、今回のメンバーが選ばれたのである。

 塔の外側を見て感激していたミアだったが、塔の中に入ってしまえば後はアマミヤの塔の階層とほとんど変わらない。
 違いがあるとすれば、アマミヤの塔にはない地形や気候があったりするくらいだが、アマミヤの塔でほとんど再現できるのであまり物珍しさは感じていなかった。
 それよりも、ミアにとっては実際の塔の攻略がどうやって行われるのかが興味を持っていたようだ。
 ただし、それもすぐに慣れてしまったようだった。
 何しろ考助たちは、「空」のある階層では飛龍たちを使って移動することができる上に、階層の広さも小規模な塔のものだったので、一階層を半日も経たずに攻略できるのだ。
 余りに簡単に一階層を攻略していくので、考助と一緒にコーの上で移動していたミアは、拍子抜けした顔になっていた。
「・・・・・・なんだか、ずいぶんとあっけないですね」
 十回ほど転移門をくぐったところで、ミアがそう言って来た。
「うーん。まあね。一々歩いて移動なんてしてられないしね。なんだかんだで、やっぱり飛龍を使って移動するのが一番早いんだよ」
 飛龍を使って移動すれば、空を飛べるモンスターしか気にする必要がない。
 たとえ空を飛んでモンスターが近づいてきたとしても、コウヒかミツキの魔法で撃ち落として終わりだ。
「ただ、楽なのは中層までで、上層に入ったらそんな余裕はなくなるけれどね」
「上層ですか。やっぱりあるんですよね?」
「そりゃあねえ。どんなに小規模な塔でも必ずあるようだし」
 上級モンスターが出現する上層は、どんな塔にもあるというのが考助の見解だった。
 その上層があることによって、簡単に塔を攻略されないようにしているので、ある意味当然の事だ。
「余裕を持って階層を見れるのも今のうちだから、ゆっくり見ておくといいよ。あまり油断しすぎるのも駄目だけれど」
 何しろ考助とミアがいるのは、空を飛んでいる飛龍の上なのだ。
 余りに変にくつろぎ過ぎると、飛龍の背中から落ちてしまう事もありえる。
 例えモンスターの襲撃が無くても、完全に安全とは言えないのであった。

 第二十層を終えて第二十一層に向かったところで、早速上級モンスターがお目見えした。
 この時点で、今回の塔は小規模な塔であると考助は予想した。
 第一層から第十層が下層で、第十一層から第二十層が中層となれば、あとは第二十一層から第三十層が上層となる。
 階層の広さ的にも階層の高さ的にもセントラル大陸にある四属性の塔と変わらない規模の塔だった。
 考助たちにとっては既に何度も攻略している規模になるが、流石に上層となると油断は出来ない。
 飛龍での移動も制限されてしまうので、これまでの移動とは大分速度が落ちてしまった。
 それでも不用意に空を移動するよりは、効率的なのだ。
「コウヒやミツキの魔法であれば、例え上級モンスターでも一撃で倒せそうですが・・・・・・」
 歩きながらそう言って首を傾げたミアに、考助は首を左右に振った。
「上層では、“そう”で行動していたら一瞬で危なくなるからね。確実に一撃で倒せない限りは、危ない橋は渡らない方が良いんだよ」
 しかも上層に行けば行くほど、コウヒとミツキが全開で攻撃しても一撃で倒すことは難しくなってくる。
 流石に倒されることはないのだが、下層や中層ほどに油断は出来ない。
「はあ・・・・・・。塔を完全に攻略するのがいかに難しいかというのがよくわかりました」
 コウヒとミツキの強さを知っているミアは、そんなことを言いながらため息を吐いた。
「まあ、本当の意味での広域殲滅魔法とかを使えれば、また話は別なんだろうけれどね」
「へっ!?」
 一瞬何を言われたのか分からなくなったミアが、思わずといった感じでおかしな声を上げた。
 驚くミアに、考助は肩を竦めたがらさらに続けた。
「だってそうだろう? コウヒやミツキのレベルでそんな魔法を使ったら、この辺一帯なんて、あっという間に焦土になるよ」
 当然、そんな魔法は使わないように二人共抑えているんだよ、と考助は言った。
 一瞬呆然としたあとに、大きくため息を吐いたミアは、
「・・・・・・私は、まだまだお二人のお力を過小評価していたようです」
 と続けるのであった。

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 下層から中層に比べれば時間がかかったとはいえ、今回はコウヒとミツキに加えてナナとワンリもいたため割とスムーズに上層の攻略を終えた。
 だが、さすがのミアも最後の第三十層を抜けたときには、疲労した様子を見せていた。
「ミア、大丈夫かい?」
「大丈・・・・・・いえ、正直疲れました。父上は案外平気そうですね」
「それはまあ、アマミヤの塔を攻略した時は、上層はもっと多くて大変だったからね。あの時は、本当に大変だったよ」
 そう言って笑った考助に、ミアは「そうですか」ととだけ返す。
 普段からアマミヤの塔を攻略した時は、コウヒとミツキに守られて逃げ回っていただけとうそぶいている考助だが、ミアはやはりそんなはずはないと考えていた。
 それが、今回の攻略で、ミアのその考えはやはり間違ってはいなかったと確信出来た。
 だが、ミアがそれを言葉にすると考助は照れて否定するのが目にみえている。
 だからこそ、たった一言で済ませたのである。
 そんな二人のやり取りを見ていたコウヒとミツキは、同時に顔を合わせて笑みを見せた。
 その二人のやり取りは、結局最後まで考助とミアには見つかることが無かったのである。

 第三十層の転移門を取って管理層へと来た考助たちは、三つのクリスタルが置かれている制御室に入って攻略の手続きを行った。
 考助にとっては久しぶりの、ミアにとっては初めての手続きを終えて、ようやくその塔がミアのものとなった。
 ちなみに、塔の名称を決定するときに、ミアが「リトルアマミヤ」と名付けた時に、考助が頭を抱えたのはまた別の話である。
久しぶりに塔の攻略を書きました。
単に塔の攻略だけに焦点を当てるとあっという間に終わってしまうので、親子の会話という感じで書いてみました。
いかがでしょうか?
これで宣戦布告で始まった制圧戦の話は終わりになります。
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