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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5部 第1章 塔同士の戦い

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(15)初勝利

 第五戦の結果が出た瞬間、アマミヤの塔の制御室ではメンバーたちが笑顔を浮かべた。
 負けるとは考えていなかったが、戦いというのはふたを開けてみない分からないこともある。
 結果的には圧倒的大差で勝つことが出来たので、無用の心配だったのだが。
 そんな周囲の状況を確認した考助は、すぐにコウヒに別の指示を出した。
「コウヒ、済まないけれどそれぞれの階層に行って、被害状況を確認するように言ってきて」
 ナナは言葉を話すことは出来ないが、理解することはできる。
 結果をまとめて報告しに来るときには、シュレインがいるのである程度理解することは可能だ。
「分かりました」
 考助の指示にすぐさまコウヒは制御室を出て行き、周りの者たちは浮かれた気分を引き締めるような表情になった。
 制圧戦自体はまだまだ続くのだ。
 サリタの塔側は、今回も手打ちをしてきたので、あと最低で三回は続くことになる。
 今回の戦いを見れば、負けることはないだろうが油断は出来ない。
 相手はあっさりと負けたが、まだまだ奥の手を隠してないとは言えないのだ。
 戦いの最終盤には、召喚することもやめていた。
 召喚陣を置く体力自体は残っていると考えるのが妥当だろう。

 第五戦の勝利で手に入ったのは、第四戦までに相手に取られていたアマミヤの塔一層分の階層と相手が制圧戦に差し出していた階層丸ごとだ。
 これまで相手に四回戦ってとられた分と相手の階層が一気に手に入ったことになる。
 広さから考えれば、相手にとっては割に合わない計算になるが、これが制圧戦のルールなので仕方ない。
 いくら相手の持つ階層がアマミヤの塔の階層と比べて狭いからといって同じ広さの階層を出せるはずもない。
 あくまでも一層分はその塔の一階層となる。
 そんな事よりも、相手の階層を奪えたことによって、気になることが起きていた。
「お? 新しい召喚陣が増えてる?」
 制御盤でシステムを確認していた考助が、モンスターの召喚陣が増えていることに気が付いたのだ。
 既に塔のLVアップも止まっているアマミヤの塔でモンスターの召喚陣が増えるのは、かなり久しぶりの事だった。
「でも、召喚できないみたいですよ~?」
 考助の隣で同じようにチェックをしていたピーチが、首を傾げていた。
「うーん。多分だけれど、戦いがきちんと終わるまでは召喚できないんじゃないかな?」
「完全に戦いが終わるまで相手の階層が手に入るかどうかは分からないからですね」
 考助と同じ画面を見ていたミアが、グレーアウトしている文字を見ながら頷いた。
「うん。そう思うよ」
「でも~、それでしたら、ちゃんと戦いが終わってから表示されるようにすればいいと思うのですが?」
「それはそうだけれどね。システム的にそれは出来ないんじゃないかな?」
 考助の言葉に、ピーチが再び首を傾げた。
「どういうことですか~?」
「つまり、塔のシステム的には、階層を含めて新しい物が入った時点で、すぐに表示されるようになっているってこと。でも制圧戦はまだ続いているから仕方なく召喚が出来ないようにしてあるんじゃないかな? まあ、全部勝手な想像だけれど」
 その考助の説明に、ピーチは納得したような出来ないような微妙な表情になった。
「う~ん。最初から表示しないようにすればいいと思うのに・・・・・・」
「それはそうだけれどね。何か他に理由があるのかもしれないよ? とにかく、そういうもんだと思っておくしかないよ」
「それもそうですね~」
 塔のレベルを上げ切ったとしていても、塔のシステムに関して詳しく分かるようになるわけではない。
 そう言った意味では、塔についてはまだまだ謎が多いのだ。
 もっとも考助としても、そこまで深く詳しく知ろうとは思っていない。
 あくまで謎は謎としておいた方がいいと考えているのであった。

 戦後の処理をしていた考助の下に、ナナたちが戻って来た。
 今回の戦いに参加した彼らの仲間は、既に転移門を使って元いた階層へと戻っている。
 ナナやソル、金狐や銀狐に集まってもらったのは、コウヒに言伝してもらったように、被害の状況を教えてもらうためだ。
「わざわざ来てもらってありがとう。それで、それぞれの状況を教えてほしいんだけれど・・・・・・」
 考助がそう言うと、それぞれバラバラに今回あった被害の状況を話し出した。
 結果としては流石に全くの無傷というわけにはいかなかった。
 一番被害が大きかったのは、ソルを中心としたゴブリンたちだった。
 これは勿論理由があって、進化のしていないゴブリンを中心に戦団を組んでいたためだ。
 逆に進化をしている鬼人以上は、ほとんど犠牲がない。
「・・・・・・そうか」
 報告を聞いて若干落ち込んだ考助を見て、ソルは慌てたように手を振った。
「犠牲に関しては、気になされないでください。彼らは、分かった上で戦に出たのです」
 ソルにしてみれば、犠牲が出るのは当たり前、という感覚だったが、考助の態度を見てそれを改めることを決意していた。
 考助は何よりも、例えゴブリンであっても自分たち眷属が失われるのを嫌っているという事を理解したのだ。

 戦いに出たのはソルたちだけではなく、狐たちや狼たちも出ている。
 ただし、こちらの方がゴブリンほどの被害は出ていなかった。
 元々進化をしている種族だけで構成していたのも大きいかったのだろう。
 相手側の階層に攻め込んだ狼たちに至っては、亡くなったのが十匹という被害しかなかった。
 これには、考助も驚いた。
 もっと被害が大きくても不思議ではなかったのだ。
 褒めて、と尻尾を振って近寄って来たナナを、考助は思いっきり撫でてあげた。
 考助がどうすれば喜ぶのかを完全に理解していた態度だった。
 ちなみに、撫でまわされるナナを見ていた金狐と銀狐が、羨まし気な表情になっていたのは、考助には気づかれていなかった。

 ソルたちが帰ったあとは、遅めの夕食を取って他のメンバーたちと今後について話をした。
「この後は、ずっと勝ちを狙うのでしょうか?」
 期待するような視線で考助を見て来たのは、ミアだった。
 それに苦笑しながら、考助は頷いた。
「もう負ける理由がないからね。あったとしても後三戦だろうし」
 もし戦いを止めたいのであれば、相手が手打ちをしてきたときに許可をすればその時点で終えることができる。
 だが、相手の階層を奪って、新たに召喚モンスターが増えると分かった以上、出来る限り新しい階層を奪っておきたい。
 勿論、相手側が今回と似たり寄ったりの階層を出してきた場合は、新しいモンスターも増えないのだが、相手の階層を選んで戦えるわけではないので、そこはどうしようもない。
「問題は、奪った階層をどうするかなんだよねえ」
 新しいモンスター召喚陣が手に入るのは良いのだが、奪った階層も管理が必要になる。
 勿論、放置していても問題はないだのが、折角手に入れた階層は使いたいと思うのは当たり前だ。
 ただし、現状アマミヤの塔にある階層も全て使いこなしているわけではないので、それこそ奪った階層がどういった使い方を出来るのか調べるだけで終わりそうだった。
「それでしたら、私が管理をしても良いですよ?」
 良いですよ、といいながら、ぜひ管理したい、という顔になっているミアを見ながら、考助は首を左右に振った。
「いや。ちょっとミアには、やってもらいたいことを思いついたからね。いずれはそっちで手一杯になると思うよ?」
「やってもらいたいこと、ですか?」
 首を傾げたミアに、考助は頷いた。
「うん、そう。・・・・・・まあ、その話はいずれ、ね。今は取りあえずこの制圧戦を終わらせることに集中しようね」
「わかりました」
 気になる、と顔に書いておきながらもミアは、素直に頷くのであった。
第五戦のアマミヤの塔側の状況でした。
流石に犠牲が出ずに終わったわけではありませんが、相手側の被害に比べればあり得ない程の軽微な被害です。
ちなみに、ソルがゴブリンたちを出したのは、彼女自身の判断です。
激しい戦闘を経れば、進化がしやすいと分かっているために、わざとそうしています。

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※制圧戦の戦える階層について(補足)
塔の階層には、大中小の広さがあるので、そのままぶつかると小の塔がフィールドの大きさからモンスターの数で不利になってしまいます。
そのため、最初の戦いのときは小さい塔が不利を補えるようになっています。
例えば、今回であれば、アマミヤの塔側は一階層の四分の一が一回の戦いで出せる大きさといった具合です。
ただし、アマミヤの塔が今回四回負けたので、サリタの塔側はアマミヤの塔の一階層分のフィールドを得ました。
そのためこれ以降は、アマミヤの塔の一階層を基準に闘えることが出来るようになっています。
第五戦で初勝利したアマミヤの塔は、このルールの下、一度でアマミヤの塔の一階層分のフィールドを得ることが出来た、というわけです。
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