挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5部 第1章 塔同士の戦い

626/1196

(13)思惑

説明回
 ペドロ国王は、カミロからの報告を受けてホッとため息を吐いた。
 アマミヤの塔への攻撃は、当初の予定よりも順調に行っている。
 当初の予定では、まさか四連勝して一階層分を手に入れられるとは考えていなかった。
 当たり前のことだが、ペドロがアマミヤの塔への攻撃を開始するにあたって、慎重に情報を集めていた。
 そもそもペドロ国王は、その治世の間に他国の塔へ攻略戦を仕掛けたことはない。
 サント・エミンゴ王国は、塔に関しては好戦的だと考えられているが、それはあくまでも過去の噂が影響しているのが大きい。
 国そのものが大きくなった現在では、塔からの収入よりも他国との貿易の方が利益が大きいのだ。
 そのため、塔同士の戦いを行わなくとも大丈夫だと考えていたのだが、そうも言っていられなくなった。
 その大きな要因がラゼクアマミヤ王国の出現だった。

 ラゼクアマミヤは、おひざ元であるアマミヤの塔からの産物で急速にその国力を上げている。
 中央の大陸にたった一つだけ存在する国家という事で、他の国からの武力の干渉を受けることが少ないのもその理由の一つだろう。
 もっともサント・エミンゴ王国にとっては、物理的に遠い距離にある国なので、ほとんど影響がないだろうと当初は考えらえていた。
 だが、実際には塔の機能の一つである転移門を自由に配置して他大陸の国ともほとんど自由に取引を始めた。
 距離の制約がないというのは、商売を行う者にとって夢のような環境なのである。
 サント・エミンゴ王国もまた塔を有する国家ではあるが、アマミヤの塔ほど自由に転移門を設置することはできない。
 その理由は単純で、転移門を設置するためのコストが莫大なためだ。
 逆に、アマミヤの塔が何故ここまで数多くの転移門を世界中に設置できているのかが、ペドロにとっては不思議でならない。
 転移門を設置できるだけの神力をそれだけ稼いでいるのだという事は分かるが、どのようにして稼いでいるのかが全く分からないのである。
 それはともかく、転移門で距離の問題を解決したラゼクアマミヤは、クラウンという組織を使って自由に他大陸と取引を始めた。
 一応クラウンは、どの国の制約も受けない自由な組織を謳っているが、そんなことをまともに信じている各国のリーダーはどこにもいないだろう。
 アマミヤの塔からの得る素材を使って、膨大な利益を上げているクラウンとラゼクアマミヤは、各国に対して大きな影響力を持つようになっていた。
 その影響はサント・エミンゴ王国も逃れられることが出来ず、特に塔から得ていた利益は少なくない損害を被るようになっていた。

 結局、今のままでは塔を持つ意味さえ薄れるという危機感を覚えたペドロ国王は、制圧戦を仕掛けることを決断する。
 サント・エミンゴ王国において制圧戦を行うということは、単に塔同士の戦いを行うという事ではない。
 本来の目的は、制圧戦を行う事によってモンスターの進化を図りより良い素材を得られるようにする、というのが目的なのである。
 勿論塔そのものを取られてしまっては意味がないので、不用意に戦いを仕掛けているわけではない。
 「手打ち」をすれば、負け続けても五戦で戦闘を終えることができ、その後は十年同じ塔同士で戦う事は出来ないというのもサント・エミンゴ王国が制圧戦を行う大きな理由の一つだった。
 制圧戦を行うと決めたペドロ国王は、最初からアマミヤの塔へ仕掛けると決めていたわけではない。
 きちんと情報収集を行って上で、アマミヤの塔が候補として浮上したのだ。
 最初は現人神が治めている塔という事で、候補にすら上がっていなかったのだが、アーダからの<神託>によりその状況は一変した。
 それ以外にも集めた情報では、強大なモンスターの存在も噂されていたが、それもまたサント・エミンゴ王国にとっては予想の範疇なのである。
 負け続けても五戦で引き上げることが出来る制圧戦ならではの決断だった。

 サント・エミンゴ王国には、制圧戦に関して過去からの知識の蓄積がある。
 初めて制圧戦を行うペドロ国王にとっては、最初は半信半疑な所もあったのだが、きちんとモンスターの進化が確認できた時点でそれも払しょくされた。
 その後は、過去からの知識を使ってモンスターたちを上手く運用できていた。
 お陰で、四連勝という十分すぎるほどの結果を残せた。
 最後はぎりぎりに近い戦いになっているため、ペドロ国王もカミロもアマミヤの塔が手加減しているとは思っていない。
 勿論、アマミヤの塔で活動している冒険者たちの間にある噂は、集めた情報の一つに含まれている。
 だが、この時点でサント・エミンゴ王国側には、その噂に関してはすっぽりと頭から抜けていた。
 順調に勝っているという事実が、その噂をただの噂として認識させてしまっていた。
 アマミヤの塔では、反撃の準備が着々と整えられているとも知らずに。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 使天童子のソルは、緊張した面持ちで考助の前に立っていた。
 突然呼び出されて管理層に来てみれば、そこには考助だけではなくメンバーが勢ぞろいしており、さらに今の自分ではとてもかなわない他の眷属もいたためだ。
 考助が普段から連れ歩いているナナはまだわかる。
 だが、ナナとは別に狐二匹がソルと同じように並ばされているのだ。
 その狐二匹もまた、ナナと同じように自分にはとてもかなう相手ではないとすぐに理解させられた。
 何度かの進化と仲間たちとの訓練で、少なからず戦闘力には自信を持っていたソルだったが、その自信は木っ端みじんに打ち砕かれてしまった。

 そんなソルの思いを見抜いたのか、ピーチが笑顔を見せて言って来た。
「ソルさん、そんなに落ち込まなくても良いですよ~」
 ピーチは、特に鋭い指摘をしてくることがある。
 今回もまた、ソルの自信を失いかけている事に気付いて、助言をしてくる。
「あなた方も強いからこそ、ここに呼ばれているのですから、ちゃんと自信を持ってください~」
 見抜かれた、と思うと同時に恥ずかしい思いで考助を見たソルだったが、その考助は驚いた表情になっていた。
「落ち込むって、ナナには何度も会ったことがあるだろう? それに・・・・・・ああそうか。ソルが金狐と銀狐に会うのは初めてだったっけ?」
 考助がナナを連れ歩くのはしょっちゅうだったが、狐たちを連れて歩くことは珍しい。
 狐たちの中でもワンリに次いで戦闘力がある金狐と銀狐は、ほとんど狐たちの群れを離れることがない。
 そのため、こうして顔を合わせるのは初めての事だった。
「は、はい」
「そうだったっけ。それはまあいいや。とにかく、ピーチの言う通り落ち込む必要はないよ。ソルたちにはソルたちの良さがある。だからこそ、今回呼んだんだし」
 たったそれだけの考助の言葉で、ソルの中にあった不安と焦りは吹き飛んでしまった。
 そして、次に考助が何を言うのか、ソルは言葉を待つ姿勢を見せた。

 そんなソルの様子を見てもう大丈夫と判断した考助は、ここに集めた理由を話し出した。
 彼らを集めた理由は勿論、反撃を開始するためである。
 既に必要な情報はある程度集まったので、わざと負ける必要もない。
 ただ、前の四つの戦いからも単純に中級のモンスターを召喚さえすればいいというわけでもないことがわかった。
 相手は既に一度の「手打ち」をしてきている。
 あと四回の「手打ち」をすれば、今回の制圧戦は終わってしまうので、手加減などしている余裕はない。
 確実に勝利するためには、やはり眷属たちを出すのが必要不可欠だと判断したのだ。
 勿論、集まった彼ら以外にも働いてはもらう予定はあるが、今回大きな役目をはたすのは、彼ら三つの種族と決めている。

 いよいよアマミヤの塔の反撃の開始であった。
サント・エミンゴ王国側の事情でした。
当初はここまで詳細を書く必要もないかなと思っていたのですが、やっぱり必要かなと。
そして、いよいよアマミヤの塔も反撃開始です。

♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
ピ「というか、ぶっちゃけ、コレットの事があるからさっさと終わらせたいですよね~?」
考「そ、そんなことはないよ?」
フ「相手が手打ちをしてきてラッキーと思っているよな?」
考「・・・・・・そ、そんなことないよ?」
シュ「相手側の階層取っても管理が面倒と思っているだろう?」
考「・・・・・・・・・・・・そ、そんなことないよ?」
シル「コウスケ様、せめて子供用のおもちゃを床に置いてから反論してください」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ