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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5部 第1章 塔同士の戦い

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(4)初戦

前半説明回。
 制圧戦の基本的な勝敗は、各階層の制圧率で決まる。
 ただし、それだともともと階層の広さが狭い小タイプの塔は圧倒的に不利になる。
 そのため、規模が小さい塔が自身よりも大きい規模の塔に制圧戦を仕掛ける場合には、制圧範囲を指定することが出来る。
 例えば四属性の塔の一つがアマミヤの塔に制圧戦を仕掛けた場合は、アマミヤの塔側の一層分すべてを制圧しなくても良い。
 今回アマミヤの塔に制圧戦を仕掛けて来た相手は、一層分の四分の一の大きさの範囲を制圧範囲として指定していた。
 つまり、今回アマミヤの塔は、一戦ごとにその範囲の階層を防衛しないといけないという事になる。
 勿論、防衛するだけは無く、相手の階層に攻め入ることも可能だ。
 だが、考助は初戦は適当に召喚したモンスターに防衛だけをしてもらうつもりでいた。
 ついでに、初戦の階層は砂漠の階層を指定してある。
 砂漠の階層は眷属たちがいるわけでもなく、今まで放置していた階層なので、とられたところで痛くない階層である。
 考助は、その初戦で相手がどう攻撃してくるのかを、じっくりと観察させてもらうつもりだった。

 制圧戦の初戦を翌日に控えて、様々な準備を整えていた考助は、その日の昼にシルヴィアとピーチにとある用事をお願いした。
 折角起こった塔同士の戦いだ。
 思う存分に楽しみたいと思っている考助がいた。
 そのためにはある懸念があったので、それを払しょくしてもらうためにシルヴィアにある場所に行ってもらったのである。
 護衛としてミツキにも付いて行ってもらっている。
 制圧戦が起こっているため、考助自身が塔の外に出ることはない。
 そのため考助の護衛はコウヒ一人で十分だと説得してミツキを付けていた。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 着々と準備を進めていよいよ制圧戦当日となった。
 制御室には既に、ミツキ・シルヴィア・ピーチを除いたすべてのメンバーが揃っている。
 アマミヤの塔の制御室は、元々複数ある制御盤に加えて、他でも制圧戦の状況が確認できるように複数のモニターが設置してある。
 これで制御室にいる全員が制圧戦の状況を確認することが出来る。
 制御室にいる全員が、今日の戦いは前哨戦と分かっているので、ほとんどお気楽モードで画面を見ている。
 気分的には何かのスポーツを見ているような感じだ。
「いよいよ始まるの」
 ちゃっかり考助の隣に座って来たシュレインが、画面を見ながらそう言った。
 宣戦布告には、きちんと開始時間が書かれている上に、システム上決まめられているようなので、フライングされることはない。
 制圧戦の開始まであと数分と迫っていた。

 制御盤の画面には、某シュミレーションゲームよろしく、自分が防衛する階層と相手の階層が表示されていた。
 相手の階層は、開始十分前に初めて表示された。
 その十分の間にも自分の階層に召喚陣を置くことは出来るが、考助はあえて何もしていない。
 相手側の階層は、考助のように特徴的な地形というわけではなく、草原と森がある一般的な階層だった。
 相手の塔がある場所がわかっていれば、ある程度どのモンスター来るかも予想できる。
 ただし、それはあくまでも初期モンスターだけであって、進化モンスターは全く予想がつかない。
 考助が一番確認したいのは、相手がどの程度モンスターを進化させているかどうか、である。

 画面上には青い点が数多く表示されている。
 その点が現在階層上に存在しているモンスターという事は、既に確認済みだ。
 ちなみに、一度ナナにその階層に向かってもらったが、全く同じ色でどこにいるのか全く分からなかった。
 ただし拡大機能があるので、拡大してようやく発見することが出来た。
 その時に青の点が味方モンスターを示しているという事も確認していた。
 まだ相手が攻めてきていない今は、青い点が好き勝手に動いている事だけが確認できる。
 この状態で相手がどのように表示されるのかは、時間になるまで分からない。

「これから一日がかりだから、今からそんなに張りつめて見ていても持たないよ?」
 食い入るように画面を見ているシュレインに、考助は苦笑をした。
 周りを見ると、同じような状態のメンバーが数人いて、姿勢を崩しているのが見える。
「それは分かるがの。コウスケは緊張しないのか?」
「うーん。していないわけではないけれど、負けても良いと思っているせいで、そこまではしていないかな?」
「・・・・・・大物だと見るべきか、単に鈍いと考えるべきか。判断が分かれるところだの。フローリアを見てみろ」
「そこで私を引き合いに出すのか!?」
 シュレインに話をふられたフローリアは、びくりと身体を震わせた。
 十年以上も女王としてラゼクアマミヤに君臨していたフローリアだったが、話をふられるまで落ち着かない様子で画面を見ていた。
 その隣で娘のミアが呆れた表情になっていたのを考助も見逃さなかった。
 その考助の視線に気付いたのか、ミアが肩を竦めてフローリアに言った。
「母上。執務している時よりも緊張していませんか?」
「なっ!? し、仕方ないだろう? 私はこっちの方が実務経験は短いんだ」
 実の娘の突込みに、フローリアは少しばかり顔を赤くした。
 そのやり取りを見ながら周囲の者たちが含み笑いをしているのは、致し方のないことであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 親子二人のやり取りで良い感じに場の緊張がほぐれた中、ついに制圧戦が始まった。
 ある意味で考助の予想通りだったが、早速攻め込んできた相手の色は赤色で表示されている。
「うーん。見事に短期決戦を狙っているな」
 わらわらと増えてくる赤い光点をみながら、考助がそう感想を漏らした。
 ほとんど召喚を行っていないアマミヤの塔側の青い点に対して、攻め込まれている場所の赤い点は既に倍以上表示されていた。
 勿論、攻め込んできている一部の場所だけの事なので、まだ全体の数ではアマミヤの塔側が数が多いが、攻め込まれている場所に限って言えば、制圧されるのは時間の問題だろう。
「なるほど。相手は余程周到に準備して来たようだな。きっちりモンスターの数を揃えてきている」
 今回考助が制圧専用に用意したマップは、低階層のためそこにいるモンスターも初級モンスターになっている。
 低級と中級では実力に埋めがたい差があるので、今回の制圧戦が負けになるのは時間の問題だろう。
「だね。となると後は、向こうがどう動かしてくるのか、じっくり見させてもらおうかな?」
 制圧戦では、普段は自然に過ごしているモンスターにある程度の指示を出すことが出来る。
 眷属でそろえればそれがより顕著になるが、考助としては今回はあえて全く指示を出すつもりはない。
 それよりも、相手がどのような動きをしてくるのか見るつもりでいた。
 あくまでも初戦は観察に徹するつもりなのだ。

 ついでに言えば、確認することもいくつかあった。
「あっ、設置できた」
 制圧戦が始まるなり、制御盤を操作していた考助は、召喚陣が設置できることを確認してそう呟いた。
 戦闘中に召喚陣が設置できるかどうかも確認したかったことの一つだ。
 今回は戦闘が起こっているど真ん中に召喚陣を設置したが、特に問題なく設置することが出来た。
「ふむ。召喚も問題なく行われているようだの。これは上手く使えば色々面白いことが出来そうではないか?」
 考助の操作を見ていたシュレインもそう言って来た。
 今回設置したのは初級の召喚陣だが、いずれ他の中級や上級が設置できるかも試してみたい。
 ただ、今回はこれ以上設置する予定はない。
 中級や上級の召喚陣を設置するのは、後の楽しみにしてある。

 結局初戦は、ほとんど準備らしい準備をしていなかったアマミヤの塔側が午前中も持たずに負けることとなった。
 後半は相手も送り込んでくるモンスターを増やすことは無いままに終わっていた。
 それが、戦力が切れたためなのか、敢えて戦力を温存したのかは分からない。
 ともあれ、初戦はアマミヤの塔側の敗北という事で終わったのである。
というわけで、初戦は敗北で終わりました。
しつこいくらいに本文で書いているので分かっているかと思いますが、わざとです。
次回以降、アマミヤの塔側も少しづつ本気になっていきます。

しかし、制圧戦について敢えて少しずつ入れているのですが、それでも説明回っぽくなりますね。
今後も小出しに説明を入れていきます。
情報を出し渋っているのではなく、そちらの方が読みやすいと判断したためです。疑問に思う事は多々あるかも知れませんが、しばしお待ちください。
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