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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5部 第1章 塔同士の戦い

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(1)宣戦布告

 トワの国王就任式を無事に終えて、考助たちはまったりとした日々を過ごしていた。
 考助自身は、新しい魔道具の作成に精を出し、他のメンバーは担当している塔や自身の種族の様子を見たりしている。
 特に女王の座から解放(?)されたフローリアは、積極的に考助とイチャイチャするようになっていた。
 勿論、管理層でのイチャイチャ禁止は変わっていないので、他のメンバーがいない所での話になる。
 ただし、これ見よがしにミアだけがいるところでイチャイチャするのは、考助のお相手としての余裕なのか、さっさとミアも相手を見つけろというプレッシャーなのかは不明である。
 ミアも母親のあからさまな挑発を一々受けて立つので、なおさらフローリアが面白がっているんだろう、ということは、周囲にいる者たちも敢えて教えてはいない
 結局のところ、どっちもどっちという所だった。

 そんな日常を過ごしていたある日。
 管理層の中に今まで聞いたことのない大きな音が響いた。
 魔道具の開発で集中していた考助が驚くほどの大きさだったので、かなりの大きさの音だ。
 すぐに止まると思ったその音は、すぐには止まらず流石の考助も魔道具の研究を放り投げて、音の発生源である制御室へと向かった。
 考助が制御室に着くころには、管理層にいた全員がその場に集まっていた。
「一体、何の音?」
 中途半端に放り投げさせられたために、若干不機嫌になった考助がそう言うと、そこにいる全員が首を左右に振った。
 代表してシュレインが答える。
「すまんが、我らにはわからんの。そなたでないと操作できないようになっておる」
「え?」
 意味が分からず考助はそう問い返しながら、制御盤の画面を見た。
 画面を見た考助はなるほどと頷いてから操作を始めた。
 画面には「warning」の文字と共に、管理長である考助しか操作できないという文言が書かれていたのだ。
 考助がその指示に従って操作を始めると、けたたましくなっていた音は止んだ。
 同時に画面が切り替わり、そこには警告文が書かれていた。
 その文を横から覗き込みながら確認した一同は、初めて見るその内容に驚くとともに若干の戸惑いの顔になった。

 画面に書かれていたのは、アマミヤの塔が他の塔に宣戦布告をされたという内容だったのである。
「なるほどね。これは確かに緊急事態だ」
 警告文を読んだ考助は、納得した様子で頷いた。
「大丈夫なのですか?」
 考助の隣に座って画面を見ていたミアが、少しばかり不安そうな表情で考助の顔を見る。
「さて、大丈夫かどうかはもっと詳しく見てみないと分からないな」
 何しろこちらから宣戦布告をしたことはあるが、されたことは一度もない。
 どういう内容で宣戦されたのかは、確認しないと分からないのだ。
 以前考助がバッヘムの塔に仕掛けた時は、単純に塔の攻略戦を仕向けただけだ。
 塔同士の争いには、それ以外にもいくつか方法があることは分かっている。
 場合によっては、単純な戦力だけでごり押しできないことは考助も理解していた。
 どういう形式で相手が宣戦布告をしてきたのかは、警告文を詳しく見ないと分からないのである。

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 複数あるモニターでそれぞれ確認できるようにした後は、いくつかのグループに別れて内容を確認した。
 ミアと一緒に一通り内容を確認した考助は、感心して頷いた。
「なるほどね。確かに宣戦布告をしてくるだけの事はある、かな?」
 その考助の言葉に興味を持ったのか、シュレインが問いかけて来た。
「相手には自信があると?」
「だろうね。さっきも言った通り、単純にコウヒやミツキを送り出して攻略することは出来ないみたいだからね」
 考助のその言葉に、一同は頷いた。

 今回の戦いは「制圧戦」で、通常の転移門を通過して階層を攻略していく「攻略戦」とはまた別だ。
 「制圧戦」は、それぞれの塔の階層で、支配領域を半分以上制圧した者が勝ちとなる。
 階層を「支配」したと認識するのは、階層のある程度の範囲に生息するモンスターか、もしくは召喚されたモンスターが三分の一を下回った場合に認識される。
 あくまでも戦いの主役はモンスターや眷属たちという事になるため、コウヒやミツキを戦力として出すことは出来ない。
 ちなみに、第五層にある街の住人たちがどういう認識になるかは分からないが、恐らく制圧戦の対象から外れるだろうと考助は考えている。
 どちらにせよ、第五層は「制圧戦」の対象にする予定はないので、どういう事になるかは分からない。
 相手の階層をどの程度「支配」したかは、制御盤の画面上で確認が出来る。
 管理長がこれ以上は無理だと判断した時点で、各階層の支配権を明け渡すことが出来る。
 ただし、相手に支配権を明け渡した際には、召喚したモンスターは全て元の管理者に渡される。
 戦力の事を考えれば、システム側で負けたと判断するまで待つよりも、自分で負けを認めて召喚モンスターを確保することの方が大事になってくる。

 以上が「制圧戦」の基本的・・・なルールになる。
 今回、アマミヤの塔に「制圧戦」を仕掛けて来た相手は、更に細かい設定を組み込んできていた。
 各階層ごとの決着を「一日ごと」で区切っているのは、その代表的な一つだ。
 それ以外にも色々と面倒な設定をしてある。
 どう見ても「制圧戦」を何度か行っていて、慣れているような雰囲気が感じられる。
 しかも、相手から事前に宣戦布告されているため拒否することもできない。
 相手にとって有利な状況で進んでいるのは否めなかった。
 ちなみに宣戦布告が強引すぎるように思えるが、そもそもいきなりの宣戦布告は出来ないようになっている。
 何度か相手側に警告を送った上で、無視され続けると宣戦布告が出来るようになる。
 これに関しては、他の塔からのメッセージを一切確認していなかったツケが出て来たとも言えるだろう。

 過去に何度かメッセージが送られてきているのを顔をしかめながら確認した考助は、フローリアが別の画面を見ながら首をひねっているのを見つけた。
「フローリア? どうかしたの?」
 何か少しでも情報を得られれば、と思って聞いた考助だったが、そのフローリアから以外な言葉が飛び出して来た。
「いや、この<サリタの塔>と言う名だがな。どこかで聞いたことがあった気がするんだが・・・・・・思い出せないな」
「うーん。僕には記憶がないから、ここに来る前に聞いたんだと思うけれど?」
「ここに来る前といっても、フロレス王国で・・・・・・あっ!?」
 突然ポンと手を打ったフローリアの、隣で寝そべっていたナナがピクンと跳ね起きた。
「ああ、すまんすまん」
 そう言ってナナの背中を撫でながらフローリアは、考助を見て言った。
「サリタの塔は、東大陸にあるサント・エミンゴ王国が支配している塔の一つだ」
「一つ? ・・・・・・ということは?」
「うむ。恐らくその想像はあっている。サント・エミンゴ王国は三つの塔を支配している。ついでに言えば、過去に塔の支配権をめぐって争い、そのたびに国土を大きくしてきた国でもある」
「なるほどねー」
 フローリアの説明を聞いた考助は、納得して頷いた。
 宣戦布告と「制圧戦」の条件を見た時に、慣れているなと感じたのは間違いではなかったことが証明されたことになる。
 だからといって、宣戦布告されたことに対しては何の意味もないことではあったが。

「どうするの?」
 そう聞いてきたコレットに、考助は首を左右に振った。
「どうもこうも、宣戦布告された以上、受けて立つしかないよね。相手も相当自信あるみたいだけれど」
「大丈夫ですか?」
 シルヴィがそう言って、不安そうに見て来た。
「さて、ね。取りあえず相手の出方を見てみないと何とも言えないね。こっちはこっちでちゃんと準備は進めるけれど」
 考助にしても、初めての事なので何とも断言することは出来ない。
 特に相手が過去に同じ戦法で戦った可能性があるのだ。
 その想像が正しければ、相手側に一定以上のアドバンテージがあるのは間違いないのである。

 こうして多少の不安を抱える中、考助たちは「制圧戦」に向けての準備を進めるのであった。
はい。ついに始まりました。
塔同士の戦いです。
最初は、相手側にアドバンテージを握られっぱなし、といった状態でしょうか。
考助たちが油断しすぎていた、という状態なのは残念ながら間違いないでしょう。

制圧戦についての詳しい説明は、追々行っていきます。
しばしお待ちください。
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