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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4部 魔力供給施設

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(1)街の見学

 アマミヤの塔第五層にある街は、既に住人数が六十万を超える規模になっている。
 その大きさは世界を見ても十指に数えられるほどのものだ。
 第五層と外部をつなぐ転移門の数は既に二十を越えており、セントラル大陸内は勿論、他の四つの大陸ともつながっている。
 中には利用が制限されている転移門もあるが、三分の二以上の転移門では、ほとんど自由な行き来が行われていた。
 特に最初は他国と繋がった転移門では制限しているのがほとんどだったのだが、その有用性が認められてからは制限を外すことが主流になっていた。
 勿論、制限が解除されたといっても、通常の「検問」が設けられているのは当然だろう。
 特に他国への移動は、どちら側でも厳重に行われている。
 当初クラウンの本部に併設して作られていた転移門だが、管理が国に移ってからはまとめた場所に移されている。
 転移門がある場所は、特殊な「地区」として制定されていて、ラゼクアマミヤの厳重な管理下に置かれていた。
 もっとも、警備は厳重にされているのだが、転移門を悪用することはほとんど不可能に近い。
 転移門を通るためには、クラウンカードか一時利用者用のカードを使って通らなくてはならないのだが、そのカード自体が個人個人の魔力を使わなくてはならないためだ。
 それぞれのカードを作ることは簡単に出来るのだが、一度ブラックリストに乗ってしまうと、次の利用がほとんど不可能になってしまう。
 いかに誤魔化そうとしても、大元のシステムに個人の魔力が登録されているので、ごまかしようがないのである。
 ある意味これが、犯罪者の入国を防ぐ最大の防御になっているのだった。

 第五層の街の一角にずらりと並んだ建物を見ながら、考助は感慨深いため息をはいた。
 この建物一つ一つに転移門が設置されているのだから、最初の規模からしたら考えられないことである。
 それぞれの建物は、国外へと繋がっている転移門が設置されている。
 そのため今考助の目の前に立っている建物は、それぞれの国の大使館のような役目も果たしているのだ。
 それぞれの国にしても、この建物を出入りする者を監視すればいいので、一般的な検問よりもある面では楽なのだ。
 今のところそれぞれの建物への出入りは、スムーズに行われている。
 だからと言ってスカスカな状態というわけではなく、一定量の出入りは行われているのだ。
 少なくとも表面上は転移門の運営は上手くいっているという証拠だろう。

 それらの建物に出入りする人々を見ていた考助だが、隣にいたコウヒに呼びかけられてハッとした。
「主様? どうされましたか?」
「ん? ああ、いや。・・・・・・ずいぶんと変わったもんだな、ってね」
 そういった考助は、両隣にいたコウヒとミツキに笑いかけた。
 初めて考助がこの階層に来た時は、今と同じようにコウヒとミツキが両隣にいるだけで、他には何もなかった。
 その頃から比べれば、あり得ない程の発展度である。
 そんな考助の思いを察したのか、今度はミツキが笑いかけて来た。
「そうですね」
「あー、まあ、なんだ。取りあえず、行こうか」
 見抜かれたことを察した考助は、何となく照れた様子を見せてその場を後にするのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助たちがこうして第五層に来ているのは、ついに魔力供給施設が完成したと報告があったためだ。
 その施設の初運転に立ち会う事になっているのである。
 勿論、そのままの姿で顔を出すととんでもないことになるので、ばれないように工夫はしている。
 こうしてコウヒ、ミツキの三人だけで動いているのもそのためだ。
 二人の目立ちすぎる美貌も変えてあるので、変に注目されることもない。
 今周囲から見えているのは、普通の男女三人の姿というだけである。

 発展した街の様子を見ながら、考助たちは目的の場所へと到着した。
「おお~」
 目の前に現れた建築物に、考助は思わず声を上げてしまった。
 大きさもそうなのだが、その形がどこか「工場」を思わせるような作りになっていたのだ。
 別に考助が指示したわけではなく、目的にあった建造物にした結果が、今目の前にある光景というわけだ。
「・・・・・・あの辺の丸みなんて、なんで必要だったんだろう?」
 どうでもいいことが気になった考助だったが、コウヒもミツキも首を傾げるだけだった。
 考助が元いた世界の建物のことなどわかるわけもないので、それも当然だろう。

 そんなことをしていたためか、施設に入るための扉の前で警備をしていた者が近づいてきた。
「おい、お前ら! ここは関係者以外立ち入り禁止だ!」
 魔力供給施設は、ラゼクアマミヤにとってもクラウンにとっても胆となる施設になるので、その警備も他の物とは比べ物にならない程厳重だ。
 下手をすれば、王城の警備と同等とさえ言われているのだ。
 この警備員は、正しく仕事を果たしていることになる。
 考助は素直に頭を上げて、懐から一枚の紙を取り出した。
「すみません。珍しかったのもですから、つい。・・・・・・これを確認していただけると」
「これは!」
 紙に書かれているものを見れば、考助が関係者、しかもVIP待遇であることがわかるようになっている。
 警備員は慌てた様子を見せて、頭を下げた。
「も、申し訳ありませんでした!」
「いやいや。この場合は、どう考えても僕の方が悪いよ。こんな所で騒いでいたんだから」
 そう言って警備員に手を振った考助は、入口へと向かった。
 このままこの場所にいると、その警備員がずっと付きっきりになりそうだったのだ。

 外見はこの世界では見ないような形になっていた施設だったが、中はごく普通の壁が続いていた。
 強いて言うなら、映画とかでよく見る研究施設のような雰囲気だったりするが、城の中にもそうした場所はあるので珍しいというわけでもない。
 しばらく一本道が続くのでそのまま進んでいくと、やがて少し開けた場所に出た。
 そこには現国王となったトワが何人かの側近と共に待ち構えていた。
 姿を変えている考助たちだが、それは既にトワに伝えてある。
 考助の姿を認めたトワが、真っ先に近寄って来た。
 周りにいた者たちも慌ててトワと共に移動してくる。
 そして、考助の前に来たトワが跪くとその者たちが慌てた様子を見せた。
「王! 何を!」
「トワ国王!」
 彼らにしてみれば、得体のしれない者の前で国王が跪いたのだ。
 慌てるのも当然だろう。
 だが、トワはそれを無視する形で言葉を発した。
「このような場にいらっしゃっていただき、誠にありがとうございます。現人神様。そして代弁者の両名も」
 トワがそういった瞬間、その場が水を打ったように静まり返った。

 ここに集まった者たちは、トワの直接の部下になる。
 当然、トワが言う「現人神」が誰であるかはよくわかっていた。
 一瞬の沈黙が過ぎ去った後は、我に返った者からトワと同じように跪いて行き、最終的には全員が同じような体勢になった。
 今日この場に考助が来ることは知らされていなかった彼らだが、トワの態度で今目の前にいる者がアマミヤの塔の支配者であるのは疑っていない。
 今のような態度に出るのは、ごく当然の事であった。
「あー。まあ、取りあえず楽にしていいよ。今回はこの施設の稼働する所を見に来たんだろう?」
 考助がそう言うと、ようやく一同は楽な姿勢になった。
 勿論、一番最初に体勢を崩したのはトワである。
 彼らにしてみれば、直接そう言われたからといって、崩していいのか判断が付かなかったのだ。
 まあ、トワよりも先に崩すわけにはいかないという考えもあっただろうが。
 ともあれ、考助たちを加えた一行は、施設の内部へと向かうのであった。
遂に完成しました。
そして、ものがものだけに考助が身分(?)を隠さずに、現人神として登場ですw
何気に初めての事ではないでしょうか?
トワを除いた皆さんは、そのことに驚いています。
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