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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4部 リクの試験

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(3)連携

 フレンドモンキーは、アマミヤの塔の第四十三層に生息している猿型のモンスターだ。
 個々の戦闘能力はさほど高くはないのだが、中級の上位に分類されているのは仲間との連携能力が高いためである。
 とはいえ、そもそもの戦闘能力が高くはないフレンドモンキーのことだ。
 連携が上がったとしてもたかが知れている。
 問題なのは、フレンドモンキーが連携をとるのは、同種の仲間だけではないからだ。
 例えば、今リクが相手をしているヘイルラットもフレンドモンキーと連携を取って攻撃してきていた。
 そう。フレンドモンキーは、モンスターの中では数少なく他の種族との連携が取れる種族なのである。
 最初にこの種が見つかった時は、リーダー種として発生しているのかと誤解されていた。
 だが、現在ではフレンドモンキーは生まれ持って他種のモンスターと連携が取れると確認されている。
 他の種族のモンスターとの連携が取れる結果として、フレンドモンキーは多彩な襲撃が出来るようになっているのだ。
 更にフレンドモンキーを厄介にさせる点として、魔法を使える個体が発生することがあることだ。
 魔法が使えるフレンドモンキーは、最初の頃は別の上位種として数えられていたのだが、長年の観察の結果から上位種ではないと結論付けられていた。
 それなのに魔法を使える個体が現れるのは、人類種と同じように魔法を覚える個体とそうではない個体がいるとされている。
 真偽のほどはわからないが、少なくともフレンドモンキーはその気になれば(?)魔法を覚えることができるモンスターだということなのだった。

 リクたちのランクアップ試験の相手として選ばれたのが、このフレンドモンキーだった。
 ヘイルラットをどうにか倒すことが出来たリクは、すぐに指示を出していたフレンドモンキーに向かった。
「・・・・・・クッ!?」
 だが、すんでのところで逃げられてしまい、すぐに仲間の元へと合流されてしまった。
 流石に強敵が相手という事で、今のリクは考助たちの様子を伺うようなことはしていない。
 フレンドモンキーに逃げられたリクは、周囲を警戒しながら仲間の様子をうかがった。
 結果だけを見れば、仲間で大きなけがをしてる者はおらず、モンスターの数を減らすことに成功はしている。
 だが、肝心のフレンドモンキーは、一匹も倒すことが出来ないでいた。
 周囲を確認しながら一旦仲間と合流したリクは、その一人に話しかけられた。
「どうする? 一旦引いて立て直すか?」
 その問いかけに、リクは即座に首を振った。
 一人でも大怪我をしている者がいればその決断もしたが、今のところ軽傷者だけだ。
 それよりもフレンドモンキーが引き連れているモンスターが少なくなっている今、さらに攻撃を仕掛けた方が良いと判断した。
「いや、このままいくぞ。ただし、今度こそ引き離されないように注意しろ」
「了解」
 先ほどはフレンドモンキーの策にはまって個別対応せざるを得なくなってしまった。
 だが、次こそはこちら側が連携を取れるように、しっかりとある程度の距離を保つことを目標にした。
 仲間たちもそれ以上の意見は無かったのか、全員が頷いて再びフレンドモンキーへと向かうのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 そんなリクたちの様子を、考助たちは多少離れた場所で観察していた。
 ある程度の距離を保っていないと、リクたちの狩りに影響を与えてしまう。
 そんな中で斥候担当のルキーチは大活躍だった。
 その十分すぎるほどの能力を駆使して、細かい戦闘の状況を遠目から確認していた。
「奴さんたち、なかなかやるねえ。最初はどうなるかと思ったが、しっかり立て直したぜ?」
「ほう? 分断されても冷静に対処できたか」
 ルキーチの言葉に、ガゼランが若干感心したような表情になった。
 フレンドモンキーの連携攻撃でパーティが分断されてしまうのは、非常によくあることなのだ。
 そもそもフレンドモンキーが出てくるのは森林の中なので、地の利は完全に相手側にある。
 その上で大抵先制攻撃を仕掛けてくるので、厄介なことこの上ないのだ。
 フレンドモンキーの対処に苦労するパーティは、大抵が分断された後に冷静に対処できずに崩壊してしまう、というのが定番なのだ。
 頭では分かっていても、慣れた方策が破られるとつい焦ってしまうのがパーティというものだ。
 上に行ける者たちというのは、例え普段の状態から崩されても冷静に対処することが出来る。
 その点から見れば、リクたちは十分にそれをクリアできたといえるのだ。
 実は、この時点で試験の合否は決まっているようなものだ。
 採取した素材は、あくまでおまけとしての要素でしかない。

 そんな中で、考助がのんびりとした口調で話に混ざって来た。
「どうにかフレンドモンキーたちは対処できそうだけど、今近づいてきている奴には気づいているのかな?」
 その考助の言葉に、一瞬空白が出来た。
「何・・・・・・っ!? ちっ、俺も鈍ったもんだな」
 考助の指摘でようやく気付いたのか、ルキーチが視線をリクたちとは別の方へと向けた。
 二人の会話で状況を理解したガゼランが、目を細めながら二人が注視している方を見た。
「俺にはまだ見えないが、何か来ているのか?」
「ああ・・・・・・こりゃまた厄介だな。レッドウルフの群れだ」
 モンスターを特定したルキーチの言葉を聞いて、ガゼランが目を細めた。
「なるほど、確かに厄介だな。・・・・・・介入するか?」
 フレンドモンキーとレッドウルフの組み合わせは、場合によっては上級クラスに匹敵するとも言われている。
 流石に荷が重いと考えたガゼランだったが、考助は首を左右に振った。
「まだ大丈夫だよ。それにリクもレッドウルフには気づいているみたいだし」
 考助がそう言って、今度はリクたちの方を見るのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助が推測した通り、リクは既にレッドウルフが近づいてきていることに気付いていた。
 さらに、レッドウルフとフレンドモンキーが合流すれば、負けるとは言わないまでもかなり不利な状況になるという事も。
 その状況を確認できたリクは、すぐに決断した。
「一旦この場を離脱するぞ! 今狩れた分だけ持ってこい」
 そう指示を出して、自分が倒したフレンドモンキーの尻尾を切り取って動き出した。
 リクの言葉に、別のフレンドモンキーを攻撃しようとしていた仲間たちもすぐさま動いた。
 かろうじて今まで狩れた二匹分のフレンドモンキーを持ち、すぐにその場所を離れる。
 少しでもその行動が遅れていれば、間違いなくレッドウルフと合流されて厄介なことになっただろう。
 だが、リクの指示が早かったため、いきなりレッドウルフに横から攻撃されるという事にはならずにすんだ。
 こうしてリクたちは、悔しそうなフレンドモンキーの声を聞きながらその場を離脱することになった。

 その後は、その場を離れたリクたちを追いすがって来たレッドウルフを個別で倒した。
 レッドウルフもフレンドモンキーと連携さえしなければ、リクたちの実力があれば何とかなる。
 どうにかレッドウルフを倒したときには、残念ながら元の場所にはフレンドモンキーはいなかった。
 レッドウルフが来る前までに倒した分だけでは数が足りないので、結局リクたちはもう一度フレンドモンキーの群れを探しだし、ようやく指定された数を討伐することに成功するのであった。
考助とガゼランに重点を置くはずが、完全にリクに奪われてしまっています><
次に考助(?)が活躍して、試験の話は終わりです。
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