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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4部 ミアの挑戦

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(5)召喚!

 ミアは、たとえ大雪が降って一階が埋まっても二階から出入りできるような建物を設置したり、その建物の中に泉を設置したりした。
 直接的な損害(?)は設置物の置き換えくらいだったが、雪の世界での注意点を色々と知ることが出来たのは、十分価値がある。
 色々な物を置き換えて第十五層に来たミアは、拠点のメインとなる建物の中に来ていた。
 この建物は基本的には厩舎と変わらないのだが、二階建て構造になっており、しかも一階と二階がスロープで繋がっている。
 雪が降り積もる世界には、何とも都合がいい建物なのだが、あるいはそうしたことを見越して用意されているのかもしれない。
 ついでにその厩舎とは別に、神水が設置されている泉も隣の小さな建物が設置されている。
 その小さな建物と厩舎は、雪が降っても大丈夫なように、屋根と壁つきの通路で繋がっていた。
 まさに至れり尽くせりといった感じだったが、それだけ神力も使っている。
 アマミヤの塔を攻略したばかりの頃であれば、こんな贅沢な使い方は出来なかっただろう。
 そもそも階層丸ごとが雪の世界になっている時点で、趣味丸出しという事になるのだが。

 改善を施した第十五層を見に来たミアは、十分に拠点としての機能を果たすことを確認したうえで、厩舎内に設置しておいた召喚陣を起動した。
 第十五層を雪の世界にしたミアが選んだ召喚獣は、真っ白な毛皮が特徴のユキヒョウだ。
 何気に考助の眷属としては、初めてのネコ科だったりするが、それが目当てで呼び出したわけではない。
 第十五層を雪の世界にした時点で、設置できる召喚陣が限定されたのだが、その中で一番ミアの琴線に触れたのがユキヒョウだったのだ。
 厩舎の地面で光っている召喚陣を前にして、ミアは初めての召喚を行うことに緊張していた。
 小さなときから、管理層で制御盤を前に自分だったらこんな召喚をしてみたいなどと思い描いていたのだ。
 その夢が一つ叶うのだから、そうなるのも当然だろう。
「・・・・・・やっぱり、緊張しますね」
 召喚陣を起動しようとした手を止めて、ミアは一度気持ちを落ち着かせた。
「姉上、大丈夫?」
 胸に手を当てて落ち着かせようとするミアに、リクが話しかけて来た。
 学園の休みで偶々リクが管理層に来ていたのだが、ミアが第十五層に行くと言う事で付いてきたのだ。
「大丈夫ですよ」
 そんなリクに対して、姉の威厳を落としてはならないとミアは内心で奮起した。
 もっとも、ミアの塔の管理に対する想いは既に兄弟たちに知れ渡っているので、その取り繕いはあまり意味が無いものだった。

 一度気持ちを落ち着かせたミアは、二度目はしっかりと召喚陣を起動した。
 召喚陣の動きに従って一頭目のユキヒョウが現れた。
 そのユキヒョウは、しっかりとミアが召喚者だと認識しているのか、襲ってくることは無かった。
 考助の眷属であることには違いが無いのだが、きちんと召喚者として見分けているのだ。
 ミアの両脇にいたミハクとミクロは、同じ眷属として認識しているのか、現れたユキヒョウの傍に寄ってスンスンと匂いを嗅ぎ始めた。
「・・・・・・前に父上が召喚する所を見たことがあるけれど、やっぱり不思議な光景だな」
 その様子を見ていたリクが、ポツリとそう呟いた。
 一般の常識では、人に飼われているわけでもない魔物や獣どうしがこうして触れ合う(?)ことなどありえないとされているのだ。
 逆に言えば、こうした行動を見せれば、従魔としての資格を持っているという事になる。
 従魔として調教したわけでもない魔物同士が、こうした行動を見せるのは、やはり違和感があるのだ。
 だが、そんなリクに対して、ミアが呆れたような視線を向けた。
「何を言っているのですか。父上の眷属たちを次々にたらしこんでいるリクが、そんなことを言う資格があるとでも?」
 ミアの言葉に、リクが渋面になった。
「別に、たらしこんでいるわけではないんだが・・・・・・」
 本人としては強くそう言いたいのだが、今までの結果から強く言えないのを自覚しているのか、その言葉は弱かった。
 ミアの言う通り、リクは考助の眷属たちに好かれる傾向があるのか、いろんな眷属たちに懐かれている。
 ただ、本人としてはどうしてそんなことになっているのか分からないため、戸惑いの方が大きいのだ。
「・・・・・・どの口がそう言う事を言うかな?」
 そんなリクに対して、ミアが呆れたようにそう言った。
 たった今召喚したばかりのはずのユキヒョウが、召喚者であるミアにちょっとした触れ合い(?)をした後に、リクの所へと直行したのだ。
 その上で、リクの足元で身体を擦り付けるようにしていた。
 どう見ても親愛の情を示している。
「うわっ!? こらっ、ちょっと待てって・・・・・・!」
 力強い体当たりに耐え切れず、ついにリクが倒れ込んでしまう。
 意外に力加減をしていたのか、倒れたことによるけがは全くしていない。
 それを確認したミアは、そちらを放っておいて、次の召喚をすることにした。
 こんな光景もミアにしてみれば、小さい時から繰り返されているいつもの事なのである。

 そんな感じで、ミアは二十頭のユキヒョウたちの召喚を終えた。
 ユキヒョウたちには、この拠点を中心に活動することを指示して管理層へと戻った。
 ちなみにリクは、流石に全てのではないが、それなりの数のユキヒョウたちに懐かれて、最後は色々な意味でボロボロになっていた。

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 第十五層から戻ったミアたちは、くつろぎスペースでシュレインとばったりと出くわした。
 シュレインは転移門とは反対の方から来ていたので、南の塔の制御室から来たのだ。
「ん? ユキヒョウの召喚は終わったのか?」
 ミアが第十五層でユキヒョウを召喚しようとしていることは、既に他の者たちに知れ渡っている。
 今まで召喚されたことのない魔物なので、皆がそれなりに関心を持っているのだ。
「はい! ちゃんと無事に召喚されました」
 笑顔で報告するミアに、シュレインも同じように笑顔になった。
「そうか。それはよかったの。・・・・・・で? リクはなんで仏頂面になっておる?」
「気にされなくて大丈夫です。いつものことですから」
 ミアの言葉に、一瞬だけ目を丸くしたシュレインだったが、すぐにクスクスと笑い出した。
「・・・・・・そうか。いつものことか」
 ミアのたった一言で状況を理解したシュレインは、それ以上リクに何かを聞くことは無かった。
 リクの眷属からの懐かれっぷりは、すでに知れ渡っているのだ。

「父上はどこにいらっしゃいますか?」
「ん? 吾が制御室に入る前に、研究室に向かったからまだ籠っているんじゃないかの?」
「そうですか・・・・・・」
 ちゃんと考助に結果を報告しようと楽しみにしていたミアは、肩を落とした。
 そんなミアを見て、シュレインは微笑ましい物を見るような表情になった。
「何、コウスケは逃げないぞ。夕食の時になれば、嫌でも引っ張り出されるのだから、その時にしっかりと報告すればよかろう?」
 そのシュレインの言い方に、ミアはクスリと笑った。
 シュレインの言った通りの光景が毎度のように繰り広げられているので、ミアにも想像できたのだ。
「そうですね。そうします」
 シュレインの言葉ではやる気持ちを落ち着けたミアは、夕食までの時間をまったりと過ごすのであった。
これだけ書いてて、初めてのネコ科の眷属の登場です。
・・・・・・あれ? 豹ってネコ科ですよね?w
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