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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(44)四番目

 第七十層にある泉は、これまで見つけて来た階層にあった泉とは違って、完全に人工物で出来ていた。
 湧いてくる水をその場にとどめている囲いも、直径三メートルほどの完全な円形になっている。
 泉の中央で湧き出ている水が、五十センチほど立ち上っているのも他の泉には無い特徴だった。
 それが、他の泉とは違い、ここが大元になっていることを示しているようにも思える。
 考助は、三つの泉に近づいていき、それぞれの水を神の左目で調べてみた。
 二つの泉は、今まで見つけて来た<アエリスの水>と<ラスピカの水>だったが、もう一つの泉が問題だ。
 たまたま最後の泉が新しい水になり、その名前を確認した考助は、ある程度予想通りの結果に納得するのであった。
 三番目の泉の名前は、<スジャルの水>だった。
 これで、エリス、スピカ、ジャルの三つの名前が揃ったことになる。

 考助はそれだけではなく、もう一つの名前にも気づいていた。
 だが、それを確認する前に、リリカの方を見た。
「神気を感じるって言ってたけど、どの辺からかわかる?」
「えーと、はい。もう少し待ってもらって良いですか? ここからなのは間違いないのですが、何処が中心になっているのかは・・・・・・」
 考助に言われるまでもなく先ほどから神気を探っていたリリカは、目をつぶりながらそう答えた。
 目を開けて入ってくる余計な情報を入れない方が、神気を探りやすいのだ。
 しばらくそうして神気を探っていたリリカだったが、すぐに中心に当たる場所を見つけた。
 何のことは無い。
 三つの泉がある丁度中心の場所と同じだったのだ。
「ここがそうだと思うのですが・・・・・・」
「何かあった?」
 中心に立って首を傾げているリリカに、考助が聞いた。
「はい。たぶんこれ、押せると思うのですが、押していいものかどうか、悩ましいですよね」
 リリカがそう言って指差した先には、あからさまにボタンと思しきものがあった。
 そのボタンは床にあるので、下手をすれば、何も知らずにそこを通った場合に踏んで押してしまいそうな場所にある。
 だが、得てしてこういう分かりやすい場所にあるものは、大抵罠だったりするものだ。

 考助たちが、ボタンを前に押すかどうかを悩んでいると、ピーチが傍に寄って来ていきなりボタンを触った。
「ピーチ!?」
 慌てて止めようとする考助だったが、ピーチは確信しているような顔で答えて来た。
「押しても大丈夫なようですよ~?」
 どうやらボタンを押そうとしたわけではなく、単に触れてみたかっただけだったようだ。
 だが、そのボタンに触れた途端に、ピーチがそう言って来た。
 顔を見れば、例の力が働いていることがわかる。

 ボタンを手で触れていたピーチが、ボタンを押そうとしているが、固くて中々押せないようだった。
 しばらくそのボタンを首を傾げながらいじっていたピーチだったが、やがて考助の方を見た。
「コウスケさん、押してもらっても良いですか?」
「あれ? 僕が?」
「はい~。多分、コウスケさんじゃないと駄目だと思います」
「ん。わかったよ。少し避けてくれる?」
 考助がそう言うと、今までしゃがみながらボタンをいじって色々調べていたピーチが避けた。
 ピーチと位置を入れ替わった考助は、同じようにしゃがんでボタンを手で押してみた。
 すると、すんなりとそのボタンを押すことが出来た。
 ボタンを触れた瞬間、考助の神気に反応したのが分かった。
 最初から神気を持つ者だけに反応するように出来ていたらしい。

 考助がそのボタンを押すと、突然周囲からゴゴゴという音が鳴りだした。
「主様!」
 すぐさまコウヒが考助の傍に近寄って何が起こっても良い体勢になり、ミツキが周辺の警戒をする。
 そのミツキの傍にいたナナも同じように、体勢を低くして身構えていた。
 地響きのような音が鳴りながら、急速に周囲の状況が変化していった。
 ドンドンと視界が上に上がって行く。
 考助たちがいる場所が、せりあがるように泉がある場所が空中に上がって行ったのだ。
 その音が鳴りやむ頃には、泉がある場所を頂点にした神殿が姿を現していた。
 もっとも、考助たちは神殿の上にいるので、その形がすべて見えているわけではないのだが。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 泉がある場所のわきに下に降りる階段が出来ていたので、考助たちは階下へと降りた。
 今まで考助たちがいた泉がある場所が二階で、下りた先が一階になっていて外に出る入口も見える。
 一階はいくつかの部屋に分かれているわけではなく、広い空間の大きな広間のような造りになっていた。
 先程の動きから一階部分は地下にあったはずなのだが、長い間土に埋もれていたような独特な匂いは全くなかった。
 それどころか、どこか静謐さを感じさせる雰囲気がある。
 一階に降りて思い思いに広間の様子を観察していた考助たちだったが、その中でもリリカは広間の壁面に書かれている絵画に注目していた。

 考助がリリカに近づいて話しかけた。
「随分と熱心に見ているけれど、何かわかった?」
 その考助の問いに、リリカはしばらくその絵画をじっと見て首を左右に振った。
「分かったとも言えますし、分からないとも言えます」
「どういうこと?」
 リリカの微妙な返事に、考助は首を傾げた。
「まず、この絵画自体がとても古い時代の神を描いた物というのは分かります。ですが、私もここに書かれているものは見たことが無いのです」
 多くの神々がいるこの世界で、全ての神々の事を知っている者などほとんど存在しない。
 ましてや、過去に失われた神々もいるので、そうした話が書かれているとすると、リリカにもお手上げなのだ。
「・・・・・・もし、私が間違っていなければですが、ここに書かれている三柱は、三大神だと思います」
 リリカがそう言って絵画の一部を指した先には、三柱の女性が描かれている。
 言われてみればその女性たちの顔は、確かに考助の知るあの女神たちと同じような特徴の顔だった。

 だが考助は、そう言っているリリカ自ら自信なさげな表情になっているのが気になった。
「随分と自信なさげだね」
「はい。はっきり言えば自信が無いです。というのも、三柱の中央に囲まれている女性が全く今まで見たことが無いんです」
 リリカの言う通り、絵画には三柱の女性が描かれている所は何か所かある。
 ところが、その全ての絵にさらに四番目の女性が描かれているのだ。
 さらに言うと、その四柱目の女性が、三柱の女性よりも立場が上に見えるように描かれている。
「私は、今まで一度も、三大神よりも上の立場の神の存在など聞いたことがありません」
「なるほど、ね」
 考助はリリカの言葉にそう短く答えたが、それを聞いたリリカは何かを察したようだった。
「コウスケ様?」
 リリカは首を傾げながら見て来たが、考助は首を左右に振った。
「いや。それよりも、もしその女性が他の三柱よりも上の立場だとすると、この神殿はその女性を祀った所だと考えていいのかな?」
 考助の態度からそれ以上は聞いてはいけないと分かったのか、リリカもそれ以上は何も聞かずに考助の問いに答えた。
「はい。ただ、規模からしてもここは本神殿というよりも、功績を讃えるための分神殿と言った方が良いかもしれません」
「ああ。それは確かに」
 リリカの納得のできる説明に、考助も同意して頷いた。

 ある程度の時間をかけてその神殿を調べた考助たちは、すぐに第七十一層へと繋がっている転移門へと向かった。
 その転移門さえ通れば、いつでも第七十層には来ることが出来る。
 神殿に関しては完全に調べきれているわけではないが、考助の様子から他の皆が余り触れ無い方がいいのだろうと気付いていた。
 考助もそれがわかっていて敢えて言葉にはしていないのであった。
四番目の女性!
一体誰なんだ~?(棒)

ちなみに、三つめの水は<スジャルの水>でした。
ピタリと名前を当てられた方はいますかね?w
(え? 簡単すぎ? ス、スミマセン><)
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