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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(43)発見

 考助がイメージしている温泉は、基本的に泉源があってそこからお湯を引き込んで、風呂場を作るという物だ。
 泉源から距離があれば、その分お湯の温度は下がるし場合によっては水になってしまう。
 さらに言えば、泉源そのものが涸れてしまっては、温泉そのものが引くことが出来なくなってしまう。
 それらのことをガゼンランの塔で見つかった特殊な泉に当てはめてみると、イメージ的にピタリと来るのだ。
 今まで見つかった特殊な泉は、泉源に限りなく近いか、あるいは泉源そのものというわけだ。
 流石に位置的に泉源そのものというのは無いとは思うが、泉源に近いというのはあり得ると考えている。
 もしくは、他の泉は泉源からくる水の流れから外れてしまったか、多くの人に汲まれてしまって枯渇してしまったというわけだ。
 残念ながら物理的に泉の水の流れが繋がっているわけではないので確認のしようがない。
 だが考助は、この考え方で大きくは外れていないのではないかと思っているのだった。

 くつろぎスペースで休んできたピーチに、考助がこの考えを話すと、彼女は納得したように頷いた。
「なるほど~。確かに、言われてみればイメージ的にはそんな気がしますね~」
「だよね。それで大きくは外れていないと思うんだけれど、一つ問題があってね」
 困ったような表情でそう言った考助に、ピーチが首を傾げた。
「問題、ですか~?」
「物理的につながっているわけでもない泉の水が、どこからどう来ているのかが分からないと意味がないということ」
「ああ、なるほど~」
 普通の温泉であれば、水の流れを辿っていけば泉源を見つけることが出来る。
 だが、ガゼンランの塔の泉の場合は、そうした方法が取れないのである。
 結局、新しい階層に行った時には総当たりで調べていくしかないという事になってしまうのだ。

 考助のその説明黙って聞いていたピーチは、少しだけ首を傾げて言った。
「そこまで分かれば、何とかなるかも知れませんよ~?」
 突然のその言葉に、考助は驚いた表情になった。
「えっ? どういうこと?」
「私の力ですよ~。もしかして、忘れていましたか?」
 少しだけふくれたようにそう言ったピーチに、考助はアッという顔になった。
 言われたとおり、すっかり忘れていたのだ。

 そもそもピーチの力は、占いのようでそうではない、非常にあいまいな物だ。
 何かのきっかけのような物があれば、それこそ過去に渡って見ることさえ出来るのだが、そのきっかけはピーチ本人にも分かっていない。
 発現さえすれば、非常に使い勝手が良い能力なのだが、そもそもその力がいつ発現するのかが分からないので、使い方がよくわからないと本人も嘆いているのだ。
「もしかして、きっかけか何かあった?」
 期待してそう聞く考助に、ピーチは首を左右に振った。
「いえいえ。そうではなく、単に今回の件はコウスケさんが絡んでいるからです」
「へ? どゆこと?」
「よくよく思い出してみると、都合がいいタイミングでこの力が発現したのって、コウスケさんが絡んでいる時だけなんですよね~」
 首を傾げながらも妙な確信を持ってそう言うピーチに、考助はそれ以上は何も言えなかった。
 本人が感覚で感じていることは、本人以外にはどうこう言えることではないのだ。
「そうなのかな? まあ、ピーチがそう感じているという事はそうなのかもしれないね」
 そう無難に返す考助であった。

 とにかく、ピーチが感じていることは、今すぐにどうこうなるわけではなさそうなので、数日間は管理層で休暇を楽しんだ。
 久しぶりに考助がゆっくりしているという事で、しばらく会っていなかった子供たちにも会う事が出来たので、考助としては大満足である。
 そして、気力を十分補充した後は、再びガゼンランの塔の攻略へと向かったのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 数日振りにセイチュンに戻った考助たちは、支部が以前とは比べものにならない程賑わっているのを見て驚いた。
 クラウンに登録しようとする冒険者たちと、本部から転移して来た冒険者達で人があふれかえっていたのだ。
 休暇はたった数日だったのだが、状況が一変していた。
 ガゼランに話を聞くと、昨日辺りから急にクラウンの登録希望が増えて来たのだそうだ。
 流石にこれだけの数を一気に捌くのは無理なので、取りあえずは仮のカードを発行して対処している。
 今までの反応からすれば意外な状況に、考助は何とも言えない気持ちになりながら、いつものように塔の調査へと向かった。

 今回からは、上層を調査することになるので、馬車は利用していない。
 となると行程が歩きになってしまうので、進行速度は遅くなってしまうがこれは仕方がない。
 それに、今のメインの調査対象は泉になっているが、他にも何か手がかりになるようなものがあるかも知れない。
 自由にいつでも管理層に帰ることができるようになったので、今までと違って気分的にのんびりと調査することができるのも大きい。
 というわけで、ゆっくりと確実に各階層を調査していき、順調に第七十層まで行くことが出来た。
 その間に見つけた泉は、階層が上がるごとに確実に増えて行った。
 考助の考察が当たっているとすれば、泉源に近づいているといえるだろう。
 そして何より、この間の調査はピーチが大活躍することとなった。
 考助が左目で確認するよりも早く、目的の泉かどうかを当てることが出来るようになっていたのだ。
 次々に当てるピーチを見て、リリカが「これってほとんど神託に近いんじゃないでしょうか」と言っていたほどだった。
 そして、第七十層で遂に考助たちは、ピーチの予感が当たるものを発見することになる。

 最初に気付いたのは、やはりピーチだった。
「・・・・・・あちらの方に何かありそうですね」
 一行はピーチが差した方を目指して歩き出した。
 今までの流れから、ピーチが断定的にこう言ったときは間違いがないと分かっている。
 コウヒやミツキが何も見つけていなくても、ほぼ確実に当たっているのだ。
 そして、次に何かに気付いたのは、コウヒやミツキではなく、リリカだった。
「あれ? 向かっている方角に、神気がありませんか?」
「えっ!?」
 リリカの言葉に、考助が驚いた表情になった。
 どうやら神気を感じ取るのは、リリカが一枚上手になっていたようだ。
 もっとも、これは考助が鈍いというわけではなく、神気を感じ取るのは神よりも人の方が上手いという根本的な問題があったりする。
 そして、リリカが神気に気付いてすぐに、コウヒやミツキもそれの存在に気が付いた。
 コウヒやミツキが目視できるくらいなると、かなり近づいてきたといえる。
 その予想通り、分かりやすい人工物が考助の目でも確認できるほどに見えて来た。

 それはこれまでとは違って、三つの泉が正三角形になるような位置に存在していた。
 明らかに人工的に置かれているその配置に、誰かがこの泉を設置したのはもはや疑いようが無かった。
 勿論、人工物は泉の配置だけではなく、泉を守るようにして作られている天井もそうだ。
 四隅は柱になっていて壁は無い状態だったが、それらが人の手によってつくられたか、もしくは塔の機能で建てられたのだろう。
 流石にそれを見て、自然に出来た物だと主張するには無理がありすぎる。
 ようやく近づいてきた答えに、考助は少し胸を騒めかせながら、泉を一つ一つ確認していった。
 そしてついに、<アエリスの水>と<ラスピカの水>に続く三番目の水を発見することになるのであった。
第三の水、登場!

さて、ようやく塔に関しても核心に近づいてきました。
そしてわざとらしい所で区切ってしまって済みません。
ここから書き続けると長くなりすぎるので、続きは明日までお待ちください。

以前、50話超えなさそうとか言っていましたが、越えてしまうかもしれません。
最初に予定してたのと違って、どうしても付け加えたい事とかが出てくるんですよね><
必要なことだと諦めることにしました。がっくし。
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