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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5章 塔のメンバーと仲良くしよう

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(3) 裏のお仕事

引っ越し回です。
 デフレイヤ一族は第七十七層に定住することになった。
 この階層まで来ると、出現するモンスターもかなり強い上に、吸血一族のヴァミリニア城のような拠点もないため、安定した生活をするには、かなり苦労する事を伝えた上で、下の階層を勧めたのだが、逆にそちらの方がいいと言われてしまった。
 一族で強い者を育てるには、ある程度の強さのモンスターが、里の周辺に出てきた方がいいとのことが、理由の一つだった。
 さらにもう一つ、デフレイヤ一族はとある秘宝を持っていた。
 それがこれである。

 名称:ファミリアの秘宝
 設置コスト:設置済(外部持込品)
 説明:デフレイヤ一族が持っている秘宝。結界内へのモンスターの侵入を阻むことが出来る。結界の大きさ及び強さは、任意で設定できる。

 第七十七階層に里を作ることが決まった段階で、一族の者がこれを設置をしたのだが、そのあと設定画面で確認すると表示された。
 デフレイヤ一族がこの秘宝を持ち込むまでは、この設置物の表示は無かったので、外から持ち込んだことで登録されたのだろう。
 以前にどこかで、外から設置物を持ち込むことが可能とあったのだが、こういうことなのかと納得した。
 もう一度外へ持ち出した場合に、この表示がどうなるのかを確認したいが、それはまた別の機会にすることにした。

 第七十七層のほぼ中心に、外部接続用の転移門を設置して、その門と現在一族の里がある場所とをつなぐ。
 その後すぐには一族の者達は呼び込まないで、周辺にいくつかの住居を含む建築物を建てた。
 元々は、一気に移動してきてこの場にキャンプを張る予定だったのだが、考助が塔の機能で建てることを提案した。
 現在は、神力にある程度の余裕があるので、それくらいは問題なく出来る。
 何より今後のことを考えれば、それくらいの出費はすぐに回収できるとも見込んでいる。
 住居その他に関しては、ピーチの意見を参考にして建てた。
 転移門から移ってきた者達から感謝されたので、それに問題は無かったのだろう。
 仕事で各地に散っている者達もいるのだが、その者たちがすべて集まった段階で転移門は取り壊すことになっている。
 ひと月もすれば全員集まることが出来るとのことで、追っ手に関しても問題はないだろうとのことだった。
 いざという時は、転移門を取り壊して、第五階層経由で来れるように手筈を取ったとのことである。

 転移門を設置した段階で、第七十七層の転移門及び住居周辺のモンスターは、里の戦闘部隊に駆逐されてしまった。
 流石ピーチを育て上げた一族というか、その戦闘部隊が第七十七層に出現するモンスターでは、苦戦するということは、ほとんどなかったとのことだった。
 これが、さらに上層の上級モンスターになってくると、流石に苦戦必至ということなので、上級モンスターがどれほど強いのかがよく分かる。
 周辺モンスターを討伐して、秘宝で結界を張った後に、里の方から一部の者を残してほとんどの者達が第七十七層へと移ってきた。
 元々が追われる生活をしてきた一族なので、さほど多くの荷物は持っていないとのことで、引っ越し(?)自体もスムーズに行われた。
 一族全体では、三百人ほどがいるそうだが、その内百人ほどが外部へ散っている者達で、残りが里で活動していたそうだ。
 一部の者達を残して、他は全員一度に第七十七層へ移ってきたわけだが、里の跡地に残った者達は、里の見張りと戻ってきた者達の対応をするとのことだった。
 第七十七層へ移ってきた者達も、流石に手馴れているのか、夜まで待たずにあっという間に結界内に、キャンプが出来てしまった。
 今後は、徐々に住居を増やしながら徐々にキャンプを減らしていくそうだ。
 今までは逃亡生活を考えて、住居も簡易式で作っていたそうだが、今回はきちんと建てると工作部員も張り切っていると言っていた。

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 里の移設作業が一段落したところで、考助はピーチとコウヒを伴って第七十七層を訪れた。
 移設作業中に何度か里を訪れたことがあったためか、考助は既に里の者達に塔の長として認識されていた。
 同時に塔への里の移動も非常に感謝されているようで、来るたびに歓迎されていた。
 門のそばには常に見張りがいるのだが、考助が来るとすぐに対応されるようになっている。
 今回も門のところで長に会いたいと言うと、すぐに長の住居に通された。
 ちなみに長の住居は、最初に塔の機能で建てた大きめの建物になっている。
「ようこそいらっしゃいました。して、今回はどのようなご用件ですかな?」
 余計な挨拶を省いて、すぐに用件を聞き出すのは、これまでのやり取りの経験からだ。
 考助がそういった事を、嫌っているとまではいかないまでも、好んではいないということを把握しているのである。
「ピーチから外に出てた者も徐々に戻ってきて、少し余裕が出てきたと伺いましたので来ました」
「なるほど。・・・ということは、あの話ですかな?」
 あの話というのは、第七十七層と第五層をつなぐ計画である。
 デフレイヤ一族には、最初の打ち合わせ通りに裏の者としても働いてもらう予定でいた。
 主に第五層と繋がっている四つの門と繋がっている大陸の街での情報収集である。
 いずれは、大陸全体に広げて塔とクラウンの情報を収集してもらうことを予定している。
 最もその辺は、考助が言うよりも専門家である長に任せてしまうつもりでいた。
「ええ、そうです。そろそろ繋いでもいいのではないかと話を聞いたので。僕としては、あまり急いでもいませんが、早い方がいいとピーチに言われたものですから」
「ふむ。まあ、そうですな。確かにピーチの言うとおりでしょう。戻ってきた者もそろってきたことですし、手配をしましょうか」
「分かりました。門はこちらですぐに設置します。それで、その前にこれを・・・」
 考助はそう言って、コウヒを見た。
 視線を向けられたコウヒが、アイテムボックスから神能刻印機を取り出した。
 勿論、第五層の村にある物とは別の物である。
「・・・これは?」
 今まで知らせていなかったので、当然ながら見たことのない長が疑問の表情を浮かべた。
 この里の者に関しては、里で管理を一任するつもりなので、長の分のカードを作るついでに、操作方法を教えることになった。

 出来たクラウンカードを見た長が、感心したように唸っていた。
「・・・なるほど。これは素晴らしい物ですな」
 ただ、里の者達は裏の仕事をしている者達でもある。
 冒険者のようにステータスを全表示されると困る技能もあるだろうと、非表示にできることも伝えた。
 すると、そこは流石に専門家である。
 考助の伝えた懸念はすぐに理解された。
「確かに、我々のような者達の持つ技能では、知られるとまずいスキルもありますな」
「ええ。その場合は個別に消すこともできますので、使い方は色々考えてみてください」
「わかっております」
 そう言って頷いた長に、考助は未登録のカードを取りあえず五十枚渡した。
 流石にそれ以上は、イグリッド族の未登録カードの生産と、第五層の村での冒険者の登録用があるので、用意できなかった。
「すいません。今用意できたのがこの枚数だけでしたので、とりあえずはその枚数分で融通してください」
「了解した。当分は個々の周辺のモンスター討伐もありますから、とりあえずの数としては十分かの」
「それはよかった。残りの分は、また余裕が出来たら持ってきます」
 クラウンカードを持つものが、外へ出ることが出来る者ということになる。
 その辺の調整は、長というか、里で決めることになった。

「あとは、ここの階層の管理についてです」
「何かありましたかの?」
「いえいえ。今後は、僕ではなくピーチに任せることになりました」
 この言葉に、長よりもむしろ、ピーチが驚いていた。
 考助は、今までそんなことを一言もピーチには言っていなかったのである。
「私が、管理するのですか?」
「うん。そろそろ落ち着いてきたし、任せてしまっても大丈夫かな、と思ってね」
「大丈夫でしょうか~?」
「まあ、他の人たちも出来てるから大丈夫じゃないかな? 管理と言っても特殊な技能は必要ないし、わからないことがあれば、それこそ僕とか他の人たちに聞けばいいだろうしね」
「なるほど~」
 ピーチが納得したところで、長が口を挟んできた。
「大丈夫ですかの?」
「まあ、問題ないかと。どちらかと言えば、僕とこの里との橋渡し的な仕事の方が多いでしょうし」
 ピーチの場合は、デフレイヤ一族の仕事のこともあって、連絡役的な役目の方が多くなりそうである。
 頻繁には顔を出せない考助の代わりに、ピーチが第七十七層に顔を出すことになるのだ。
「なるほど。そういうことですか。それでしたら、適任でしょうな」
 考助の信頼が、里のどの者よりもあるピーチがいいのだと、長も納得したのである。
 こうして、めでたく(?)ピーチが正式に管理員として加わることになったのである。
 また、余談としてクラウン登録したデフレイヤ一族は、裏の仕事だけでなく、クラウンメンバーの高位の冒険者として、加わることになったのである。
サキュバス一族話2話目。
これで一旦サキュバス一族の話は終わりです。

しかし、今まで村とか階層数とかでごまかしてきましたが、いよいよもって名前を決めないと訳が分からなくなりそうです。

2014/5/24 誤字修正
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