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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(29)情報集め

 第五十二層で泉を見つけた考助たちだったが、その後は特に進展はなかった。
 同じような泉はいくつか見つけたのだが、最初に見つけたものと同じような特徴を持っているだけで、その他に人の手が加わっているようなものは見つけられなかったのだ。
 結局、第五十五層までくまなく調査を終えて第五十六層を超えた時点で、一旦ギルドへと戻ることにした。
 ガゼンランの塔がきちんと管理された状態で攻略されるようになってからの、最高到達階層は第六十四層だ。
 だが、これはあくまでも過去の記録で、現在でも活動しているパーティの最高到達階層は第六十二層になる。
 第六十層以上は勿論の事、第五十五層を超えて活動しているパーティは、現在では両手に収まるほどの数しかいない。
 考助たちはその階層にあっさりと到達したということになるのだが、本人たちにとってはもはやどうでもいいことになっていた。
 勿論、<神狼の牙>の知名度を上げるために、最高到達階層を目指すという目標はある。
 だが、それよりも今は、ガゼンランの塔の秘密に迫る方が重要度が増していた。

 塔の入口を出た考助は、馬車をピーチとリリカに任せて、ミツキとナナを伴って塔攻略ギルドを尋ねた。
 今回攻略した階層を、ギルドに知らせるためだ。
 それぞれのパーティがどの階層を攻略したのかは、特に報告する義務はないのだが、高い階層を攻略していると認められると知名度を上げることができる。
 既に塔攻略ギルドの面々には注目されているので、第五十五層を攻略した程度では隠す必要もないのだ。
 これが第六十六層へ到達したとなるとまた話は変わってくる。
 今後の調査結果次第では、第六十六層も超えていく可能性はあるが、その時点で塔攻略ギルドに報告するかどうかはまだ決めていない。
 考助は、今のところ報告するつもりはなかった。
 階層攻略の報告をするのは、あくまでも<神狼の牙>の知名度を上げるのが目的で、パーティの知名度を上げるためではないのである。

 考助たちが塔攻略ギルドの建物に入ると、丁度何度か話をしている受付嬢がカウンターに座っていた。
 そこそこの人数が並んでいたので、おとなしく後ろに並んで順番が来るのを待った。
 途中でおかしな輩に絡まれることもなく、考助たちの順番が回って来た。
「あれ? コウさん。どうされたのですか?」
「いや、第五十五層を超えたから到達証明をしてもらおうと思いまして」
 考助がこう言うと、一瞬だけ受付嬢の顔がピシリと固まった。
 だが、既に考助たちの事を分かって来たのか、すぐに立ち直って笑顔になった。
 見事なプロ根性である。
「ごご、五十五層ですか。おめでとうございます。カードをよろしいでしょうか?」
 残念ながら、完全には動揺を隠しきれていなかったが。
 そんな受付嬢を微笑ましく思いながら、考助は懐からカードを差しだした。
「ありがとうございます」
 考助からカードを受け取った受付嬢は、そのまま手続きを始めた。

 この時のギルド内は、それなりの人数の冒険者で混雑していた。
 一日の討伐を終えて戻ってくるのに丁度いい時間だったのだ。
 考助も受付嬢もさほど大きな声で話していたわけではなかったのだが、二人の会話はほかの冒険者たちにも伝わった。
 もともとミツキを連れていたために注目を浴びていたのだが、第五十六層へ到達したという事で余計に視線が集まった。
 仲間達とヒソヒソと会話をする者たちもいるため、ギルド内は俄かに騒めき始めている。
 考助はあえて、そう言った視線や騒めきを無視している。
 こうして注目度を上げるのが、今回ここへ来た理由なのだ。
 何とかもくろみ通りに行きそうなことに満足して、考助たちは<神狼の牙>へと戻るのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 馬車はピーチたちが既にギルドに戻しているので、考助たちは歩きで戻ることになった。
 といっても、<神狼の牙>の建物がある場所は、塔攻略ギルドの建物とはさほど離れていない場所に建っている。
 考助たちは、戻ろうと思えばすぐに戻れたのだが、そうはせずに一度セイチュンの街中へと立ち寄った。
 折角なので、露店めぐりもしようと考えたのである。
 セイチュンの街で開かれている露店は、冒険者が小遣い稼ぎに開いているものもあるため、日々内容が変わっているので見て回るだけでも飽きないのだ。
 露店で適当に買った食べ物をナナにあげたり、自分達でも摘まんだりしながら久しぶりにセイチュンの街を楽しんだ考助たちは、丁度陽が沈みそうな所でギルドへと戻った。

 遅めの夕食を取った考助は、自室でピーチの報告を受けていた。
 馬車をギルドへと戻したピーチは、他のサキュバスたちが集めていた情報を聞きに行っていたのだ。
「<神狼の牙>に関しては、順調に知られて行っているようですね~」
「そうか。それはよかった」
「コウヒさんの活躍が噂の元になっていて、そこから派生して他の活動についても知られて行っている、という感じです」
 自分が考えた通りにことが進んでいるようで、それを聞いた考助もホッとため息を吐いた。
「コウヒ以外にはどの程度広まっている?」
「やっぱり、<コウ>のパーティに付いてがその次ですね~。冒険者たちの間では、既に第五十五層突破の話が広まりつつあります」
 第五十五層突破の話は、先ほどしたばかりなのだが、既にサキュバスの情報の網に引っ掛かって来たようだった。
 そのことから考えても<神狼の牙>の事に関しては、噂が広がりやすくなっているともいえる。

「先日、ミネイル商会の支店長が来たことからも分かる通り、冒険者ギルドだけではなく商人ギルドからも注目を集めるようになってきています」
「それは上々だな。エクが仕掛けた噂に関してはどうなってるの?」
「それも問題なく広まっています~。むしろその話を聞いた中小の商人ギルドが積極的に広めているようですね」
「へえ」
 <神狼の牙>が、専属契約を結ばないという事は、大手の商人ギルド以外にも取引が出来るチャンスがあるという事になる。
 勿論、契約を結ぶこと自体は一筋縄にはいかないのだが、それでも大手の商人ギルドと専属契約を結ばれてしまうよりは遥かに可能性がある。
 最近活躍が目覚ましい<神狼の牙>と、何らかの形で取引をすることが出来れば、それは中小の商人ギルドにとっては大きなメリットとなる。
 そうした中小の商人ギルドで、その話は広まって行っているのだ。
 これもまた、考助たちが目論んだ通りの展開だ。
 もっとも、考えたのは考助ではなく、シュミットを始めとした商人部門の面々なのだが。

 これまでは、ギルド全体に付いて話をしていたピーチだったが、今度は個々の面々についての話に移った。
「コウヒさんについても言わずもがな、他のパーティメンバーにも引き抜きの話が行っているようです」
 これには考助も驚いた。
 きちんと情報を集めれば、考助たちを中心にしたパーティだけではなく、他のパーティも活躍していることはわかる。
 だが、塔攻略ギルドを始めとして、考助の中ではセイチュンの雰囲気として情報はさほど重要視していないと考えていたのだ。
 だが、ちゃんとしたところはしっかりと調べた上で、引き抜きをかけてるのだ。
「なるほどなあ。確かにセイチュンでは、公の組織よりも冒険者ギルドの方が力を持っていると言われるわけだ」
 セイチュンで上位にある冒険者ギルドは、単純にモンスターを討伐できる力を持っているだけではなく、その前の情報を集めるという事もしっかりとしているのだ。
 むしろ、そうした優秀な人材が冒険者ギルドに行ってしまっているとも言えるのかもしれない。

 <神狼の牙>もまた、サキュバスたちが様々な情報を集めてくれたおかげで、この先の事についても手を打つことができる。
 といっても、考助たちがやることはこの先も変わらない。
 セイチュンでの影響力が上げられるように、今後も地道(?)な活動を続けていくだけなのである。
サキュバスたちの活躍を書こうと思ったらこんな話になってしまいました。
うーむ。必要なかったかも。
そして、次で三十話行きます。行ってしまいます。
果たして終わりはいつになるのか・・・・・・orz
(今月中には終わらないことが確定しました><)
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