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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(22)我

 ギルドへと戻った考助とミツキは、一旦街の外へ出たあとにアマミヤの塔へと転移した。
 管理層では既にピーチが五名のサキュバスを連れて待っていた。
「あれ? 二、三人だと思ったんだけれど、五人になったんだ」
 考助がそう言うと、ピーチが頷きつつ答えた。
「そうです~。久しぶりのコウスケ様からの直の依頼という事で張り切ったみたいですよ」
「いや、そんなに無理しなくても・・・・・・」
 苦笑している考助に、ピーチが首を左右を振った。
「無理というか、逆に希望者が多すぎて、選別するのが大変だったらしいです~。実力者がこぞって希望を出したらしくて」
「いや、それって、他の仕事は大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないので、五人に絞ったみたいです~」
 ピーチの話を聞いた考助は、苦笑しか出てこなかった。
 それだけの実力者が応えてくれるのは嬉しいのだが、逆に他の仕事が心配になってくる。
 ピーチの話では、他の仕事に支障が無いようにしたとのことなので安心してもいいのだろうが。

 そんなやり取りがあったのち、今度は考助の作った送還陣を使ってセイチュンの傍まで転移をした。
 前と同じように、いきなり街の中に転移をするのではなく、外から入って記録を残すためだ。
 今回はさらに、念のため全員が別々に街に入ることになっている。
 情報収集をやりやすくするために、ギルドとの繋がりを見せないようにするためだ。
 ただ、もし同業者がいればその辺はすぐに見破られるとピーチは言っていたが、それでも色々な目を欺くことは出来る。
 そこまでする必要があるかどうかは分からないが、用心に用心を重ねてのことだ。
 そうした理由により、考助がセイチュンの街に入ったのは、ミツキとピーチの三人でという事になった。
 街に入る検問の列で、冒険者らしき男達に露骨に舌打ちをされていたのは、考助の気のせいではないだろう。
 悲しいことに、そうした反応に慣れきってしまっている考助なのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助たちがギルドの建物に入ると、留守番役のエクが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ」
「ああ、ただいま」
「先ほどまで、お客様がいらしていましたよ」
 頷きながら返事を返した考助に、エクが含みのある笑顔でそんなことを言って来た。
「お客?」
 考助は首を傾げながら、誰が来たのかと考えたが全く思い浮かばなかった。
 そもそも、セイチュンに来てからは、知り合いらしい知り合いを作っていない。
 わざわざギルドにまで訪ねてくるような者がいるとは思えなかった。

 そんな考助に、エクが答えた。
「塔攻略ギルドの関係者でしたね。話があるからすぐに来いと言っていました」
 エクらしくない何とも乱暴ないいように、考助はますます首を傾げた。
 そんな言い方をされてエクが黙っているとは思えなかったのだ。ついでに、言葉が過去形になっているのも気になるところだ。
「それで? なんて答えたの」
「本人がいないので、すぐに行けるかは分かりません、と」
 ニコリと笑って言ったエクだったが、その笑顔をそのまま関係者にも見せたのだろう。
 見ようによっては、答えが欲しければちゃんと礼儀をわきまえて来い、と言っているようにも見える。
「幸いにも察しのいい方で、また出直すといって戻られました」
 最後にそう言ったエクに、考助は苦笑を返した。
「なるほどね。まあ、また来るんだったらいいや。その時になったら呼んで」
「かしこまりました」
 そんなことを言って自分の部屋に向かった考助に、エクは深々と頭を下げた。

 考助が部屋の中でしばらくの間ミツキとピーチ、ナナと寛いでいると、いきなり階下が騒がしくなった。
 といっても怒鳴り声が聞こえて来たとかではない。
 誰かお客が来たようだった。
「あら。待ち人が来たみたいね」
「そうですね~」
 耳が良いミツキとピーチが、二人で頷き合っていた。
 それだけで誰が来たのか考助も分かった。

 すぐに部屋を出て、カウンターのある広間に向かった。
 考助が来たことに気付いたのか、すぐにエクが頭を下げた。
 それを見た相手も、考助が階下に降りて来たことに気付いたようだった。
 エクが相手をしていた者達は、全員で六名程が来ていた。
 中には考助にも見覚えのあるものも含まれている。
「なんでえ。いるんじゃないか。あれだろ?」
 中でもひときわ目立つ筋骨隆々の男が、考助を指さしてそう言って来た。
 それを見たエクが顔をしかめた。
「私はいないとは一言も言っていないですが? その前に用件を教えてください、と申したはずです」
「そんなかてーこと言うなよ。俺たちがわざわざ出向いてきたんだ。すぐに取り次いでもらってもいいだろ?」
「それは出来ないと何度も申し上げたはずです。ここは私どものギルドで、それ相応のルールがございます」
「だから・・・・・・」
 二人の押し問答が再び始まりそうになったところで、後ろに控えていたアルタが男の肩を押えた。

「代表。今はそんなことよりも、コウ殿の話を聞くのが先では?」
「お? おお、そうだったな。お前さん、ちょっと話を聞きたいんだが、いいか?」
 少し離れた場所にいる考助に聞こえるような大声で言って来た。
 それを見たエクがさらに何かを言おうとしたのを視線だけで抑えた考助は、その男に向かって言った。
「すぐに下りますから、そんなに騒がないで貰えますか? ここには依頼を終えて休んでいる者もいるのですから」
「ああ、済まなかったな」
 考助がそう言っても特に気にした様子も見せずに、アルタから代表と呼ばれた男はそう返して来た。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助たちは、ギルド内にある会議室のような場所で話し合う事になった。
 いつまでも入口の広間で騒がれても仕方がないのだ。
 全員が席に着くと、まずは騒ぎの元となっていた男が口を開いた。
「あんたのところの固いねーちゃん、どうにかならないのか?」
 男としては冗談交じりで言ったつもりだったのだろうが、考助としては聞き逃せない言葉だった。
「まず言っておきます、バイブロさん」
「お、おお?」
 いきなり名前を呼んだ考助に、バイブロは驚いたような表情になった。
 だが、考助にしてみれば大したことはしていない。
 塔攻略ギルドの副代表であるアルタが代表と呼んだ以上、この男は代表のバイブロ以外に考えられない。
 考助としても、予備知識で知っていた名前を言っただけである。
「この建物は私達のギルドの建物です。当然それにのっとったルールがあります。貴方の勝手な都合と押し付けで、捻じ曲げようとしないでください」
「いや、少しぐらい・・・・・・」
「その少しぐらいで、組織が歪むこともあるのですよ? 代表である貴方であればそれくらいわかるでしょう? それとも、貴方が持つ権力で捻じ曲げてみますか?」
 多少なりともバイブロの態度に腹を立てていた考助は、それを隠そうともせずにそう言った。
 滅多にない考助のその態度に、見ていたミツキとピーチが驚いていたほどである。

 考助のその態度に、バイブロがジッと考助を見た。
「・・・・・・なるほどな。そうする必要があるのであれば、そうしたほうがいいか?」
「出来るのであれば、そうしてください。ただし、貴方が今まで通して来た都合は通らないかもしれませんよ?」
「ほう・・・・・・」
 あくまでも自分たちのやり方を通そうとする考助に、バイブロは目を細めた。
 元は下らないことで一触触発な状態になったのだが、考助としてはここは曲げるつもりはない。
 ここで下手に出れば、間違いなくこの後に影響してくるのだ。
 どんなに強い要求があっても<神狼の牙>は、最後まで我を通す。
 一番最初にそれを見せることが肝心だと考助は考えているのであった。
先も長くなりそうなので、ここでいったん切ります。
最初ののんびりした雰囲気から一転して、若干緊迫した雰囲気になりました。
これだけ見るとバイブロは、ただのお馬鹿に見えますが・・・・・・。
と、ここでちょっとしたフラグを立てておきますw
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