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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(19)中休み

 第四十六層での確認を終えた考助たちは、そのまま攻略に進むわけではなくギルド拠点へと戻って来た。
 ここまで結構な駆け足で進んできているのだが、周りの評価がどうなっているかを確認しようかと考えたのだ。
 そもそもの目的は、ガゼンランの塔を調べることではなくクラウンの支部をこの街に作ることだ。
 ガゼンランの塔に関しては、調べようと思えばいつでも調べられるので、後回しでもかまわない。
 今の最優先事項は、神狼の牙の知名度を上げることなのだ。

 戻って来たのが昼を少し過ぎた頃という事もあって、ギルドにはエクしかいなかった。
 他の者達は、依頼を受けに行っているのだ。
 そのエクが、コウヒに話しかけた。
「コウヒ様。闘技場ギルドから連絡が来ています」
 エクはそう言って封書を一通差し出した。
 表にはコリーの名前が書いてあり、後ろは闘技場ギルドの名前が書いてある。
 コウヒはその場でその封書を開けた。
 中を見なくても、書かれている内容は予想が出来る。
 さらっとだけ中を確認したコウヒは、それをそのまま考助へと差し出した。
「次の対戦日程と相手が決まりました」
「僕が見てもいいの?」
「問題ありません」
 コウヒが頷くのを見てから、考助はその書面に目を通した。
 定型文的な文章に、次の対戦日と対戦相手が書かれている。
 対戦日は三日後の夕方で、対戦相手はランキング八位のペトル・マザーネクとなっていた。

 その書面を見た考助は、首を傾げた。
「対戦相手が決まったのいいけれど・・・・・・日程が三日後って随分早くない?」
 もし依頼を受けて遠出でもしていたら、試合に穴をあけることになる。
 例え不戦敗でもランキングに関係してくるので、闘技者は下手に長期の依頼を受けられないという事になってしまう。
 だが、考助のその疑問に、コウヒが首を振ってこたえた。
「もともと私がいつでも構わないと申請をしたからだと思います。選択肢にはひと月後というのもありましたから」
 そのひと月後というのも、その間に再度申請書を出せばさらに伸ばすことが出来る。
 それを利用してひたすら対戦可能日を伸ばしていくという事も出来るのだが、それを利用してランクを落ちないようにするということは出来ないようになっている。
 そもそも長期依頼を受けてセイチュンを不在にする場合は、申請を出して許可を取ることが出来るようになっているのだ。
 その申請が無いまま三か月以上対戦を行わないと、ランキングが下方修正されるような仕組みになっている。
 上位者同士の対戦は賭けの収入にも関わってくるので、闘技場ギルドもきちんと考えていた。

 コウヒからそれらの説明を受けて、考助が納得して頷いた。
「なるほどね~。まあ、そもそもそんなことをして観客とかに名前を忘れられたら何の意味もないけれどね」
「どうかしら? 中には、俺はランキング保持者だ、とかって威張り散らすだけの人とかも出そうだけれど?」
 考助の言葉に、ミツキがそんなことを言って来た。
 考助たちは勿論、コウヒも知らないのだが、実はオスモがそれに近いような状態だった。
 そろそろ闘技場ギルドから警告を受けそうなタイミングで、コウヒが現れたというわけだ。
「しょせん、人気商売であることには変わりはないからなあ。そんなことをしても長続きはしないんじゃないかな?」
「それもそうですね」
 まさしくそんな流れでオスモを追い払ったコウヒだったが、そんなことは露知らず考助の言葉に大きく頷くのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 コウヒの対戦が三日後と決まったので、考助はリリカにその日まで塔の攻略はしないことを告げた。
 折角なので、コウヒの対戦を見たいと考えたためなのだが、考助が観戦に来ると聞いたコウヒが気合を入れたのは言うまでもないだろう。
 それは容易に予想できたことなので、皆が無視を決め込んでいたが、心の中では対戦相手にご愁傷様と考えていたのは間違いない。
 そんなやり取りはともかくとして、二日間だけ塔に行ったとしても調査らしい調査は何も出来ない。
 そんな状態で行動を縛っても仕方ないので、コウヒの対戦が終わるまでは自由行動ということにしたのだ。
 折角二日も予定が空いたので、考助は久しぶりにアマミヤの塔へと戻ることにした。
 特に何か特別な用事があるわけではないのだが、顔を見せるだけでも皆が喜ぶ。
 それがわかっているので、暇を見つけては管理層へと戻るようにしているのである。
 旅の間はなかなか難しいのだが、こうしてちょっとした合間が出来た時は転移を使って戻ることにしているのである。
 普通はこれほどの距離を、しかも塔の中に戻ることなど出来ないのだが、そもそも考助が現人神になったきっかけが神域へと送還だったのだ。
 ある意味では、考助の本領発揮といえるだろう。

 というわけで翌日にはコウヒとミツキ(&ナナ)を伴って、アマミヤの塔の管理層へと戻った。
 管理層へ戻るには、百合之神社を経由して戻るのが一番楽で早い。
 百合之神社の能力と考助の現人神の力が合わさった結果、既にアースガルドのどの大陸にいても一瞬で戻ってこれるようになっている。
 そこまで戻ってこれれば、後は転移門を使って管理層へと戻ればいい。
 考助たちが管理層へと戻ると、転移門のある部屋でばったりとシュレインと会った。
「コウスケ!? 戻って来たのか?」
 驚いた表情で自分を見てくるシュレインに、考助は手を左右に振った。
「いやいや。ちょっと時間が空いたから休みに来ただけ」
「そうか。では、すぐに用事を済ませてこよう!」
 シュレインはそう言ってすぐに転移門を動作させた。
 ヴァミリニア城に用事があったのだろうが、何とも慌ただしいことだ。
 勿論、用事を済ませて考助と過ごしたいという思惑があるのだろう。

 そんなシュレインと対面を果たした考助だったが、ピーチやコレットにも同じような反応を返された。
 コレットはエルフの里で会っているのだが、それとこれとは別、と返されてしまった。
 そんなコレットは、こうしてはいられないとばかりに転移門へと向かった。
 フローリアやシルヴィアに、考助が一時的に帰ってきたことを連絡するのだ。
 以前に考助が帰ってきたときは連絡しなかったのだが、ふくれっ面が返って来たとのことだった。
「ああいう経験は、一度すれば十分です~」
 というのが、コレットを見送った時のピーチの言葉だった。

 考助が戻ったことをどうやって嗅ぎつけたのか、ワンリまで管理層にやって来た。
 狐モードでひとしきり考助にモフられた後は、ナナとじゃれ合っていた。
 そんな二匹の様子をくつろぎスペースで眺めていると、忙しいはずのフローリアやシルヴィアまでやって来た。
 残念ながら子供たちは連れてきていなかったが、それでも本当に久しぶりに全員が集合したことになる。
 流石にフローリアは「絶対に夜には戻ってくる」と言って、少しだけ顔を見に来ていた。
 その宣言通り夜には再び戻ってきて、一緒に食事をとることになった。

 その夕食の席で、ガゼンランの塔に神が関わっているのではないかという話を出した。
 そこで視線はシルヴィアに集中することになったのだが、シルヴィアも聞いたことが無いと首を左右に振っていた。
「もし本当に関与していたとすれば、神話の時代よりもさらに古い話になるのかもしれません」
 しばらく考えたシルヴィアが最後にそう締めくくったのだが、結局はきちんと塔で調べないと分からないという結論に落ち着いた。
 ちなみに、リリカたちと話をしている時もそうだが、直接女神達に聞いてはどうか、という言葉は誰も口にしていない。
 こう言う事は、自分で調べて結論を出すのが良いのであって、直接聞いても何のありがたみ(?)もない。
 勿論、聞けば教えてくれるだろうが、それは最後の手段と誰もが考えているのであった。
というわけで、久しぶりの帰省でした。
ピーチだけ台詞が出てきていませんでしたが、きちんと理由があります。
それはまた次の話で。
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