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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(18)攻略者?

 休日と決めた二日間は、コウヒとミツキを連れてセイチュンの街を歩き回った。
 基本的には、露店の冷やかしだったりするのだが、考助が見たことのないような料理などもあって、確かに色々な食が集まっているという事が分かった。
 一気に有名人になったコウヒは、女性から黄色い歓声を浴びせられ、一方で、コウヒを連れて歩いている考助は、野郎どもから刺すような視線を向けられることとなった。
 ただし、物理的に刺されるようなことがあったとしても、鉄壁の防御二枚があるので、考助自身に何かが起こるわけはないのだが。
 そんな感じで、考助達三人は街の観光もどきを楽しんだのだが、リリカは二日間ゆっくりと部屋で休んでいたようだった。
 一応疲れているのではないかと聞いたのだが、以前冒険者だった時も休みの日はそんな感じだったそうだ。
 塔の街にいるときは、神殿の清掃作業をしていたのだが、セイチュンの街では清掃するべき神殿が無い。
 流石に西大陸の中央にある神殿で、現人神が祀られているという事はなく、巫女としての作業もすることが無いのである。
 結果として、部屋の中でゴロゴロして過ごすという事になったようだ。

 そんな二日間を過ごしたのち、考助達はガゼンランの塔へと向かった。
 今回はセシルとアリサに加えて、コウヒも付いてきている。
 第四十五層から第四十六層を通過するのが今回の予定なので、さほど時間が取られないためだ。
 確認をするのは、セシルとアリサの二人のカードとコウヒのカードである。
 予想では三人とも第四十六層が最高到達階層として記録されると考えているが、それ以外だとまた別の法則が考えられる。
 その時は、またなにが原因になってそうなったのかを確認しないといけない。
 そんな感じですぐに第四十五層に転移して攻略を始めたのだが、結果は予想通りで終わった。
 セシルとアリサ、そしてコウヒのカード全てが最高到達階層が第四十六層と表示された。
 要するにカードの最高到達階層は持っている本人が最後に通った階層であればよくて、途中の階層については考えられていないというわけだ。
 ただし、このカードの機能については塔攻略ギルドでは説明されなかった。
 さすがに塔攻略ギルドでこの機能について把握してないとは考えられない。
 そこから考えれば、敢えて説明していないと思われる。
 この機能を使って無茶な攻略をしようとする者を防いでいるのか、あるいはこのことに気付いたギルドだけで握られている情報だからなのかは不明だ。
 あるいは、そのどちらとも考えられる。

 確認を終えた考助が、セシルとアリサに向かって言った。
「それはともかく、これが分かったお陰でギルド員たちの方針も決まったかな?」
「はい。各階層を一々攻略するのではなく、実力に合わせた階層に一気に行けるのはありがたいです」
 考助が言いたいことを理解したアリサが、そう言いながら頷いた。
「案外、セイチュンの上位ギルドは、そうやって地位を維持しているのかな?」
 新規のギルド員を一から育てるのも重要だが、外部から強い冒険者を引き込んでその者達をいきなりある程度の階層で活躍させればギルドの強さは維持できる。
 新規参入のギルドが中々上位に上がれないのも、こうした情報を持っていないという可能性もある。
「考助様のように、塔の攻略を進めながらこんな調査もするような余裕のあるところも少ないでしょうからね」
 セシルがそんなことを言ったが、アリサとリリカも頷いていた。
 褒められているような気がしない考助だったが、気のせいだと思う事にした。
「と、とにかく、これで知りたい事の一つは終わったから、セシルとアリサは今後は自由に動いていいよ。後で何か頼むかもしれないけれど」
「はい」
「畏まりました」
 考助の言葉に、セシルとアリサが同時に頷いた。

 それを見たリリカが、何か聞きたそうに考助を見ている。
 それを察した考助は、先んじてリリカに釘をさす。
「リリカはまだ確認したいことがあるからしばらく一緒に行動ね」
「はい!」
 そう元気に返事を返したリリカだったが、しばらく考助達のペースで塔の攻略を進めることになったので、何とも複雑な表情になっていた。
 それに加えて聞きたいことがあったリリカは、疑問の表情になった。
「それにしても、私を連れていく理由はなんでしょうか?」
「うーん・・・・・・前にも言ったと思うけど、どうにもこのカードといい、この塔は人為的ななにかがある気がしてね」
「はい」
 考助の言葉に、リリカが頷いた。
 ただ、それとリリカが考助達の攻略に付いて行くことが結びつかないのだ。
「この場合、人為的というのは、人類種だけに限らないってこと」
「あっ・・・・・・!?」
 そう叫んだのはリリカではなく、アリサだった。
 自分を見てくるセシルやリリカを無視して、驚愕の表情になったまま考助を見ている。
「もしかしてコウスケ様は、以前にこの塔を攻略したのが神のどなたかだと疑っているという事ですか?」
 そのアリサの言葉に、セシルやリリカも驚きで目を見開いた。
 そして、考助に視線を向けて来た。
 コウヒやミツキはある程度察していたのか、驚いてはいない。

 そもそも考助が、神の誰かが関わっていると考えたのは、アマミヤの塔の事を思い出したからである。
 塔が攻略されているのに、現在では管理者がおらずに無管理状態になっている。
 でも、どこか人為的な管理が残っているような感じがある。
 それだけでは、神の誰かがが関わっているという事まで考えなかっただろうが、ガゼンランの塔は西大陸の中心・・にある塔だ。
 条件としては、アマミヤの塔とほとんど同じなのだ。
 ただ、これだけの条件として、以前のこの塔の持ち主が神の誰か、というのは強引すぎる気がする。
 そのため、わざわざ巫女であるリリカを連れてきているというわけだ。
「そう言うわけですか・・・・・・」
 納得したような表情になっているリリカだったが、その表情はどこか暗かった。
 リリカの表情に気付いた考助が、その理由を察して付け加える。
「いや、無理やりにでもリリカに神威を見つけてほしいとかじゃないよ? そもそもそういった神の残滓が残っているとも思っていないから」
「え? ではなぜ私を?」
「攻略している最中に、何かヒントになりそうなものを見つけた場合に、すぐに聞けると思って」
 考助自身は現人神だが、この世界の神について詳しいわけではない。
 それよりも遥かにリリカのほうが神々については詳しいのだ。
 なにかを見つけるたびに、一々拠点に戻って聞くよりもそう言ったことに詳しいリリカにいてもらった方がいいと思っている。
 考助は、神力念話でシルヴィアと連絡を取ることが出来るが、それでも現物を目の前で見てもらった方が遥かに分かりやすい。
 口頭での説明だとどうしても伝えられないこともあるのだ。

「例えリリカが分からない物があったとしても、僕よりは遥かに上手くシルヴィアに伝えることが出来るだろう?」
 そうまとめた考助に、リリカは改めて納得したような表情になった。
「分かりました。お役に立てるように頑張ります」
 そう言って頷いたリリカを見て、考助はそれ以上は何も言わなかった。
 本当であれば、そんなに頑張らなくてもいい、と言ってもよかったのだが、リリカの場合は逆効果になると考えたのだ。
 考助とて、今まで一緒に行動してきて、多少は学習しているのである。

 そういうわけで、今後の予定はともかくセシルとアリサに付き合ってもらう調査はこれで終わった。
 またなにか出てくるかもしれないが、あとは個別に行動してもらう事になる。
 その前に、今いるギルドの三つのパーティを、それぞれに合った階層に連れて行ってもらわなければならない。
 ギルドの名前を上げるために、考助達が最前線で塔の攻略を進めるにしても、それ以外に出来ることは山ほどある。
 今後の為にも出来る限りのことをやっていく必要があるのであった。
今回は、ちょっとばかりフラグを回収しました。
で、新たにフラグを立てたわけですが・・・・・・、果たして以前の攻略者は神の中の誰かなのか! それともまた別の存在なのか! 乞うご期待!
という盛大なフラグをたてて終了いたします。
ちゃんとこの章の間に回収するのでご安心ください(何話まで行くかさっぱりわかりませんがw)
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