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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(17)予定

 次のコウヒとの対戦をかけて裏で色々な話が進む中、考助達が塔の攻略を終えて帰って来た。
 今回は第四十一層から第四十六層までの攻略で、大体一週間の遠征だった。
 若干早めになっているのは、セシルとアリサの持つカードがどうなるかを早く確認したかったからである。
「お帰りなさいませ」
 考助が拠点に入ると、入口のところでコウヒが待っていた。
「うん。ただいま」
 コウヒが待っていたことに全く疑問を感じずに考助がそう返事を返した。
 もしこの場に誰かがいて、それを聞いてきたとしても「コウヒ(コリー)だから」の一言で済ませただろう。
 それで納得できるのがコウヒなのだ。
 ちなみに、ミツキも全く同じである。

 そんな小さなやり取りがあったあとで、考助はコウヒから現在の状況を確認した。
 ロマン達を含めた三つのパーティは、順調に依頼をこなしているようで今のところ失敗したパーティは無いようだった。
 アリサとセシルは自分達も依頼をこなしながら、彼らの補佐をしている。
 ただ、アリサとセシルがわざわざ出て行かなければならないような事態にはまだなっていない。
 それぞれのパーティが、自分たちの実力をきちんと見極めた上で依頼を受けているということだ。
 最後に考助は、コウヒの闘技場での活躍を聞いた。
 コウヒがランカーをあっという間に倒すことは、考助の中では織り込み済みなので報告を聞いて驚くようなことはしなかった。
 代わりに、今後の予定を聞いておくことにした。
「それで、後の予定は決まっているの?」
「いえ、それが・・・・・・。一応、いつでも大丈夫な予定で出しているのですが、未だに返事が来ません」
 上位二十位に入ると、ランカー同士での戦いも行われることになる。
 本人同士で日にちを合わせて戦闘をすることもあるし、闘技場ギルドで設定する場合もある。
 コウヒの場合は、そもそも他のランカーとの面識が無いために、基本的にはギルドが設定するのを待つだけになる。
 その報告がギルドから来ていないのである。

「さて、裏では何をやっているのかな?」
 コウヒの次の試合が組まれていないのは、それこそ色々な調整が行われているためだと考助は察している。
 勿論、コウヒもそのことがわかっているので、ギルドまで確認しに行こうとはしていないのだ。
「推測しかできないですが、相手がいないという事は無いかと思います」
「ああ、そうなんだ」
「はい。他の方たちから聞いた話ですと、割と戦闘狂の方々が多いようですから」
 コウヒの情報源は、ギルドのメンバー達や他の色々な所から情報を集めているエクだ。
 既に有名になっているコウヒは迂闊に町を出歩けなくなっている。
 一度、考助のために衣服を揃えようとして街を出歩いたのだが、同性のファンと思しき者達に囲まれてしまったのである。
 もっとも、コウヒが自由に町を出歩けたとしても、まともに情報が集められるわけではないのだが。
 それはともかくとして、考助はコウヒの情報に納得したように頷いた。
「まあ、闘技場でトップに立とうとする人たちだからねえ・・・・・・」
「はい。ですので、次の相手を誰にするのか選ぶのに苦労しているのかと思います」
「そういうことね」
 それはあくまでもコウヒの予想でしかないが、かなりいい線をいっていた。
 実際にギルド側では予想以上の対戦申し込みが来ていて、コウヒの次の相手を誰にするのか喧々諤々の議論がされているのである。

「ギルド主催のトーナメントは?」
「上位ランクが出場できるトーナメントは、すぐには無いです。ひと月ほど待てばありますが」
「ああ、それじゃあしょうがないか」
 考助達が塔の攻略を進めている間に、コウヒがトーナメントに出ることもあるだろうが、残念ながら今すぐその活躍を見ることは出来ない。
 考助のその思いを読み取ったのか、コウヒが首を傾げた。
「? トーナメントに出た方がいいのですか?」
「え? いや、せっかくだからコウヒが優勝する所とか見てみたいしね」
「!!!? そ、そうですか」
 コウヒは何気なく頷いてそう言ったので考助は気づかなかったが、傍で二人の話を聞いていたミツキは思わず天井を見上げていた。
 考助にそんなことを言われれば、コウヒが張り切らないはずがない。
 もし自分が同じ立場に立てば同じ状態になるだろう。
 そんな状態が予想できたので、ミツキとしてはトーナメント出場者に同情したというわけだ。
 もっとも、コウヒが優勝する所が見たいというのが考助の希望なので、ミツキもコウヒの半暴走(?)を止めるつもりはまったくないのであった。

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 そんなことを考助がコウヒと話していると、セシルとアリサが依頼を終えて戻って来た。
 考助の姿を見て、セシルが頭を軽く下げた。
「戻っていらしたのですか」
「リリカ様はどうされたのですか?」
 傍にリリカの姿が無いことに気が付いたアリサが、考助に聞いてきた。
「休むと言って部屋に戻ったよ」
 攻略中は例によって戦闘がほとんどないとはいえ、ずっと馬車の中で動かずにいるのはそれはそれで疲れるのだ。
 そんなわけで、馬車の中にこもりきりというのが初めての状態だったリリカは、戻ってくるなり部屋に戻ってお休みモードに入ったのだった。

 考助達の馬車を使った移動を少しだけ経験したセシルとアリサは、それを聞いて納得したように頷いていた。
 あのペースで一週間も続けられると、疲れたというのも分かるというのが二人の感想だった。
「そうですか」
 そう言って頷くセシルに、考助が首を傾げながら聞いた。
「ちょっとペースを落とした方が良いかな?」
 今までは、傍にいるのがコウヒとミツキの二人とナナの一匹だけだったので、ペース配分が分からなくなっているのだ。
 あまり無理をして倒れられても意味がない。
 そう考えての言葉だったのだが、セシルは首を左右に振った。
「無理なら無理と言って来ると思います。それがパーティですから」
「そうですね。その辺はリリカ様も弁えていますよ」
 セシルの言葉に付け加えるように、アリサもそう言って来た。
 今でこそリリカは現役から離れているとはいえ、元は冒険者の一員だったのだ。
 その辺りの暗黙のルールはきちんと分かっているだろう。
 戦闘中ならともかく、冒険の最中に倒れてしまうのは、冒険者としては一番やってはいけないことになる。
 それくらいなら、最初から無理と言ってしまうのが最低限のマナーとなっているのだ。
 幾ら相手が考助とはいえ、それくらいの事はリリカも分かっているはずだった。

 リリカの様子は置いておくとして、今後の予定が気になったアリサが考助に聞いてきた。
「戻っていらしたということは、第四十六層に到達したのですよね?」
「うん」
「では、次は私達も行くことになると思いますが、いつ向かいますか?」
 アリサの問いかけに、考助は少しだけ首を傾げた。
「うーん。元々二日ほど空けてから行く予定だったけれどね」
 どうしようかと首を傾げる考助に、セシルが笑いながら答えた。
「素直に聞けばいいと思いますよ。次は三日後だけれど、大丈夫かって」
「なんか、自分が聞くと絶対に大丈夫だと返してきそうで」
 苦笑しながらそう言う考助に、セシルとアリサも苦笑を返した。
「まあ、普段のリリカを見ていればそう思うかもしれませんが、そこは先程も言った通り大丈夫ですよ」
「二人がそう言うんだったらそうなんだろうね。明日にでも聞いてみるよ。二人は大丈夫?」
 考助がそう聞くと、セシルとアリサは同時に頷いた。
「「大丈夫です」」
「それじゃあ、リリカに確認を取ってからちゃんと決めるね」
「「はい」」
 再び二人が頷くのを見てから考助も頷いた。

 結局、翌日考助がリリカに確認を取ると、特に問題ないという答えが返ってきたため予定通り中二日空けて再び塔の攻略をすることになったのであった。
リリカがダウンです。
というほど、ひどい状態ではないです。
単に馬車という狭い空間ではない場所で寝られることに満喫していただけですw
通常の遠征でも狭いテントで寝るのが普通ですからね。
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