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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5章 塔のメンバーと仲良くしよう

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いよいよ第五章スタートです。
 考助たちが、ナンセン、ケネルセン、ミクセンの三つの街を訪れてから一か月ほどが経った。
 その間にリュウセンと同様に、三つの街の外にそれぞれ転移門用の施設を作り、その建物に転移門が設置された。
 今回はリュウセンの時のように、前もって街の冒険者に宣伝などはしていない。
 門を通った冒険者が、勝手に口コミで広げてくれると考えてたのだ。
 そして、新たな三つの門が開く一週間ほど前にクラウンが結成された。
 当初は知名度もない上に、利点などもほとんど周知されていなかったため入会する者は、ほとんど居なかった。
 ところが、クラウンカードの機能が口コミで知られるや否や、徐々に冒険者たちが入会してくるようになった。
 考助としては、冒険者にとっては能力を知られるのは、生死に繋がる場合もあると考えて、ステータスの非表示機能も付けていたのだが、逆に技能を持っていることを証明(開示)するために、クラウンカードが使われていると聞いたときは、なるほどなと思った。そもそもスキルという概念すらなかったのだから、そういう利用のされ方もするのだろう。
 とはいえ、それも最初の内だけだと考えている。
 ステータスというが、冒険者の生死に直結することは、まぎれもない事実であるからだ。
 とはいえ、クラウンとしては、特にステータスの表示非表示をどちらにするかを強制するつもりもなかった。
 ステータス表示が生死に直結すると知られれば、自然に減っていくだろうからである。同時にスキルについても、広がっていくだろう。
 徐々に冒険者のクラウン登録が増えていき、登録者が三十人ほどになった時に、さらに爆発的に増えるきっかけが起こった。
 それは、先の三つの街との転移門の接続である。
 クラウンメンバーだと、転移門使用料が掛からないというのが、入会に拍車をかけた。
 結果は、あっという間に、メンバーが百人を超える組織になった。
 これは冒険者部門だけと考えてもかなり大きな組織になる。
 冒険者部門は、ドルを中心にして動いている。
 ドルを筆頭に実際の冒険者の部門と事務や転移門を管理する部門に分かれることになったのである。

 もちろんクラウンを名乗ったからには、メンバーは冒険者だけではない。
 商業部門と工芸部門も管轄下に入ることになった。
 まず、商業部門に関しては、シュミットが中心となって商人メンバーが増えた。
 シュミットの読み通り、登録を望む商人が多くいたのだ。
 しかも驚くことにというべきか、流石商人というべきか、ギルドごと加入を望む商人ギルドがあった。
 さほど大きいギルドというわけでは無かったのだが、それでも彼らは今後商業部門の中核を担っていきそうである。
 工芸部門に関しては、今のところはリュウセンで活動していた一つの工芸ギルドが傘下に入った。
 彼らは、もともと塔の村で建物の建築を請け負っていたギルドの一つだ。
 今後も村での建築は止まらないだろうとのことで、そのままクラウンとして工芸部門として活動したほうがいいだろうということになった。

 そういうわけで、考助の予想を超えてアッと言う間に大きな組織になってしまったクラウンだが、現在はほとんど考助の手を離れていた。
 というのも、
「・・・私に任せっきりになってしまって、よろしいんですの?」
 管理層の広間のソファーで、シルヴィアが、ぐったりしながら聞いてきた。
「うん」
「・・・その笑顔で、殺意を覚えるのは、きっと気のせいですわよね?」
 シルヴィアの刺すような視線に、考助はごまかすように笑って、
「いや、今からシルヴィアが先頭に立っておくと、後々のためになるよね? いずれはシルヴィアに、押し付・・・じゃなくて、任せるつもりだったし」
 考助の弁明(?)に、シルヴィアはしばらく考助をにらみつけていたが、諦めたようにため息を吐いた。
「まあ・・・仕方ありませんわね」
「そうよねー。惚れた弱みだから、しょうがないよねー」
「コレット・・・!!」
 二人のやり取りに茶々を入れてきたコレットに、シルヴィアが思わず声を張り上げた。
 ちなみに、二人が仲間になってから何度も同じようなことを考助の目の前で繰り返しているが、いまだにシルヴィアは慣れないようだった。
 そのコレットは、世界樹の巫女としての修業は一段落したようで、以前よりは自由に管理層に戻ってきていた。
 そのおかげなのか、世界樹も順調に成長しているようで、現在一日で神力を一番稼いでいるのは、世界樹がある第七十三層になっている。
 ちなみに、<世界樹の苗木>は、いつの間にか<世界樹の若木>になっていた。
「まあ、しばらく村の門は四つだけでいくつもりだから、すぐに落ちつくと思うよ」
「そうですわね」
 考助もシルヴィアも、今の状況がずっと続くとは思っていない。
 何より最初は混乱していたが、今は職員が作業に慣れてきたのか、落ち着いて作業を行っている。
 クラウン結成前と門開通前に、それぞれ労働奴隷を増やしたこともよかったのだろう。
 最初の登録手続きラッシュが収まれば、今いるメンバーで十分だとワーヒドとも話していた。

 第七十六層のヴァミリニア城に関しては、ほとんど進展がない。
 そもそも何をすれば、世界樹のように、神力の生成が増えていくのか条件が分からない。
 これに関しては、シュレインと一緒に首をかしげていた。
 ヴァミリニア宝玉はもとはシュレインの一族の物だったそうだが、ある時失われてしまったとのことである。いつの間にか、塔の設置物になっていたのだろうが、どういう経緯でそうなったのかは、わかっていない。
 また、宝玉と神力に関しての関係性の話などは聞いたことがないということだった。
 結局第七十六層では、吸血一族とイグリッド族の活動がそのまま神力の生成に繋がっている状態だった。
 シュレインが呼び寄せた吸血一族は、現在は五十人ほどになっている。
 イグリッド族は、地底世界の者達と塔の者達の話し合いが行われたおかげで、数が増えて二百人ほどになっていた。
 住居はどうしているのかというと、元々地底に住んでいる一族であるため、簡易的に地下を掘ってそこを住居としていた。
 といっても流石にそれだけでは済まないので、急ピッチで地上にも住居を建築している最中になっている。
 当然、一部の者達は、既に出来た住居に住んでいる。
 今後は、彼らが作った細工物をクラウンの工芸部門の特産品とすることを考えていた。

「そう言えば、吾らもクラウン登録してもいいのかの?」
 二人のやり取りを見ていたシュレインが、唐突に聞いてきた。
「吾らって、吸血一族?」
「うむ。・・・いやイグリッド族も、だの」
 シュレインの提案に、考助はしばらく考え込んだ。
 それぞれ別の層に、吸血一族やイグリッド族、エルフ一族が住んでいることを、第五層の者達には知られていなかった。
 そもそも、それぞれの階層に行く門が存在していないのと、考助達管理者が知らせていないのだから当然である。
「いや、どうかな・・・確かに、吸血一族の戦闘能力は得難いけどね」
 冒険者として非常に優秀な存在になる。
 特に護衛要員として。
「何か問題があるのかの?」
「この場合、どちらかというと、ヒューマン側の問題」
「・・・む。そうか」
 考助の言いたいことを察して、シュレインも押し黙った。
 吸血一族は、血の契約の番人と言われているらしく、契約を重んじる傾向がある。
 一方のヒューマンは、推して知るべし、である。
 もし第五層と第七十六層をつなげる転移門を作った場合は、どういうことを言ってくるか予想がつかない。
 もっとも、コウヒとミツキが結界で覆ってしまえば、そこを無理やり通れるものはほとんど存在しないので、さほど心配しなくてもいいのかもしれない。
 とはいえ、わざわざ騒ぎの原因になる物を作らなくてもいいかと思っていた。
 だがしかし、今後のことを考えたら、吸血一族をクラウン登録の冒険者として使うのは、良い考えだと考助も考え直した。
「そうか・・・どっちみち、イグリッド族の工芸品をやり取りするようになったら、門はいるんだよな」
「その門の護衛を吾の一族に、任せるとか、かの?」
 考助の呟きに、シュレインも乗ってきた。
「・・・そうだね。最初は、それで様子を見るのもいいのかもしれないね」
「ふむ。わかった。では、そういう方向で人員を探しておく」
「そうしておいて。・・・それで、エルフはどうする?」
 シュレインと考助のやり取りを聞いていたコレットが、考助に水を向けられて答えにくそうな表情になった。
「いや、ほら。第七十三層のエルフって、もともと閉鎖的な所の出身じゃない?」
「・・・ということは、あの階層以外に興味がない?」
「ぶっちゃけるとそういうことね。そもそも自給自足出来るように、あの階層を開拓していってるみたいだし」
「なるほどね。じゃあ、当面は考えなくていいか」
「そうね。出たがってる人が出てきたら、また相談するわ」
「了解。まあ、エルフに関しては、世界樹さえきちんと育ててくれれば、今のところ問題ないからね」
「わかってるわ」
 そもそもエルフは、世界樹の守護者として誇りを持っている。
 世界樹の育成に関して手を抜くことは、まずあり得ない。
 結局この時は、第七十三層に関しては、転移門の設置は見送られることになったのである。
活動報告でも書きましたが、この章タイトルはどうなんだろうと思っています。
変えずにそのまま行くかもしれませんが、突然変えることもあり得ますのでご了承ください。

2014/4/24 訂正
2014/6/11 誤字訂正
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