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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

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(10)それぞれの役割

 セシルとアリサに視線を向けた考助は、早速やってほしいことを話し始めた。
「二人には、塔の攻略をしながら出来るだけ公的ギルドの依頼をこなしてほしいかな」
 考助の言葉に、二人が頷いた。
「はい」
「畏まりました」
「ただ、最初だけ僕らと一緒に塔に行ってほしい」
 考助の言っている意味が分からずに、二人は首を傾げた。
 一度だけ一緒に行くのに何の意味があるのか、分からなかったのだ。
 そのことも最初から説明するつもりだった考助は、更に話を続けた。
「ちょっと実験したいことがあってね」
「実験ですか?」
 首を傾げたセシルに、考助はさらに続けた。
「うん。ここの塔がカードで攻略者を管理していることは知っていると思うけれど、攻略者の階層の管理がどうなっているのかをちゃんと知りたいんだ」
「えーと、どういう事でしょう?」
 考助のいう事が分からずに、今度はアリサが首を傾げた。

 その疑問はもっともなので、考助は今この場にいるメンバーにしっかりと説明することにした。
 まず考助が最初に不自然に思ったのは、塔の攻略状況を示すカードがあることだ。
 全く人の手が入っていなかったセントラル大陸にある塔だけではなく、この世界全てを探してもそんな物が存在しているのはガゼンランの塔だけだ。
 そんな物だと納得してしまえばそれまでなのだが、考助にはどうしてもそれが不自然に思えるのだ。
 考助の話を聞いたエクが、それまでの話を纏めるように聞いた。
「考助様は、ガゼンランの塔は既に管理がされていると思っていらっしゃるという事ですか? 管理者が表に出てきていないだけで」
「いや、それはないよ。もしそうだとしたら他の塔の管理者が気づかないはずないから」
 エクの言葉に首を振って否定した考助が、今考えていることを話した。
「今現在管理者がいなかったとしても、過去にはいたかもしれない、よね?」
 考助のその指摘に、全員が「あっ」という表情になった。
 それをみた考助は、一つ頷いてからさらに続ける。
「それがどれくらい昔なのかは分からないし、もしかしたらただの穿った想像かもしれないけれど、可能性としてはない話ではないよね?」
「確かに、そうですね」
 代表してエクが考助の話を肯定した。
 それに引き継いでセシルが疑問を口にした。
「それと、私達がコウスケ様と一緒に行動するのと何か、関係があるという事ですか」
「こんな思わせぶりな話をしていて何だけれど、関係あると言えばあるし、無いと言えばないかな?」
「どういう事ですか?」
「二人に確認してもらいたいのは、登録したばかりのまっさらの状態で途中の階層をクリアしたらどうなるか、だね」
 考助が考えているのは、カードを作ったばかりの二人を連れて第二十一層に行ったらどうなるのかという事だ。
 その辺りは、他の冒険者達も自身が所属するギルド内で試していそうだが、そうした話はほとんど外に出てこないのである。
 ギルドとして攻略に有利になるために隠しているのか、それともそうした不正(?)が出来ないようになっているからなのかは不明だ。
 その確認のために、二人に付いてきてもらいたいというわけだ。

 考助の目的を知って、セシルとアリサが納得して頷いた。
「そういう事でしたら協力いたします」
「と、言っても私達が出来ることは少ないでしょうけれど」
 既に考助とはパーティも組んだことがある二人だ。
 コウヒやミツキの実力は知らなくても、ナナの実力はよくわかっているのだ。
「まあ、それは僕も同じだからね。取りあえずついてきてもらうだけで今回は十分だよ」
「はい」
「畏まりました」
 考助の言葉に、二人は頷いた。

 これで話は終わりと思いきや、考助はコウヒへと視線を向けた。
「その後のことになるけれど、コウヒにもやってもらいたいことがある」
「私にも、ですか。なんでしょうか?」
 首を傾げながらコウヒが聞いてきた。
 この話は今までしていなかったので、疑問に思うのも当然だろう。
「コウヒには、闘技場の試合に出てもらいたい」
 考助の言葉に、その場の全員が理解したような表情になった。
 セイチュンの街でギルドの評価を上げるには、塔の攻略が一番重要になるのだが、それと同時に闘技場での評価も影響してくるのだ。
 勿論ギルドによっては、どちらか一方だけで活躍している所も多いが、折角活躍できる人材がいるのにわざわざ眠らせておく必要はない。
「そういう事でしたら、分かりました。ですが、何故私なのでしょう?」
 ミツキへと視線を向けながら、コウヒがそう聞いてきた。
 もっともな質問に、考助も頷きながら答える。
「別に、どっちでもよかったんだよね。ちゃんとした理由はないかな? 強いて言えば、コウヒの方が向いていると思ったから?」
「向いている、ですか」
 いまいち納得いかなかったのか、コウヒが首を傾げている。
「うーん。僕もよくわかっていないんだよね。何となくその方が良い気がしただけだから、余り気にしないで」
「畏まりました」
 考助自身もよくわかっていないが、今回の場合はコウヒの方が良いと思ったのだ。
 ほとんど勘のようなものなので、考助にもきちんとした理由は説明できない。
 考助がそのことをきちんと告げると、コウヒも同意して頷いた。
 そもそも考助の決定に異議を唱えるつもりはなかったのだ。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ようやく話がまとまった所で、考助がエクへと視線を向けた。
「というわけだから、頼んだよ、エク」
「え? あ、はい?」
 何故自分にそんなことを言って来たのか分からずに、エクは首を傾げた。
「コウヒが暴走したら、エクが止めるんだからね」
 考助がわざとらしく真面目腐った顔でそんなことを言った。
 勿論冗談なのだが、言われた本人は何とも言い難い表情になった。
「わ、私がですか!? わわ、わかりました。お約束は出来ませんが、全身全霊を掛けて・・・・・・」
 何やら悲痛な表情でそう言い始めたエクを、考助は慌てて止めた。
「いや、ちょっと待って。冗談だから。そんなに真面目に取らないで!」
「じょ、冗談でしたか。わかりました」
 エクは、明らかに安心した表情になってそう言った。
 最初から考助の冗談と分かっていたミツキやセシルたちは笑っていたのだが、コウヒとエクだけは笑っていなかった。
 特にコウヒは憮然とした表情になっている。

 そんなコウヒを見て、ミツキが笑いながらフォローを入れて来た。
「まあ、冗談は良いんだけれど、コウヒにはちゃんとフォローは入れた方が良いわよ?」
「わわっ!?」
「・・・・・・必要ありません」
 考助が慌ててコウヒを見るのと、憮然とした表情のままでコウヒがそう答えるのはほぼ同時だった。
「大丈夫ですよ。ちゃんと冗談だと分かっていますから。私が暴走するのは、考助様がらみの時だけです」
 何故か力強くそう言ったコウヒだったが、その場にいる全員の心は一致していた。
 やっぱり暴走はするんだな、と。
 それを聞いたエクの表情が引き攣ったりしていたが、考助はあえてそれを無視してとある道具を取りだした。
「ま、まあ、そんなことは滅多にないからいいとしても、何かあった場合はこれを使って」
「これは?」
「一言で言えば、僕と会話が出来る交神具だね。何か緊急事態があれば、それで知らせてね」
 エクは、そう言った考助から交神具を神妙に受け取った。
「まあ、コウヒが暴走するようなことがあるとは思えないけれど、それ以外の事でも気軽に使っていいから」
「わかりました」
 コウヒの暴走云々は本当にタダの冗談で、本来は他のメンバー達の進捗具合を知りたいが為に用意したものだ。
 本来の話からは大幅にずれてしまったが、きちんとその事をエクに伝えて、なるべく頻繁に連絡を取ってもらうようにお願いをする考助であった。
最後は考助の冗談を持ってきましたが、今のところコウヒが暴走する予定はありませんw
こんな所で本性を出したら、何しに来たんだ、という話になってしまいますからね。
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