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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 ガゼンランの塔

519/1217

(1)セイチュン

説明回です。
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本日、なろうコンの最終結果が発表されました。
本作は書籍化が決まっていましたが、今回は出版社が新紀元社様と新たに発表されました。

今後とも「塔の管理をしてみよう」をよろしくお願いします。
それでは、本編をどうぞw
 セウリの森に入って一つ目の村を出た考助達は、その後半月ほどかけて森を抜けた。
 森の中には全部で五つの村があったのだが、最初の村を抜けた以降は特に大きなイベントも発生しなかった。
 おかげで順調に森の行程を進むことが出来た。
 勿論、途中でモンスターに遭遇するという事はあったが、それはいつもの通りナナが喜び勇んで討伐に行っていた。
 そんないつも通りの行程を進む中、いつもとは違う光景も見ることが出来た。
 やたらと野生動物たちが、考助達の馬車に近づいてくるようになっていたのだ。
 村にいるときは当然そんなことは無いのだが、例えば考助達だけで移動している時や、夜営しているときなどに様子を伺われるのだ。
 これは、考助がセウリの森の世界樹の名づけ親(?)になったためだ。
 ちなみに、エルフの里を出る前に世界樹を左目で見てみたが、特に眷属になったりはしていなかった。
 眷属になるには、特別な契約などが必要なのかもしれない。
 その辺りは詳しく調べないと分からないのだが、考助にとっては現状塔の召喚獣たちだけで十分なので、敢えて手を付けようとはしていない。

 セウリの森を無事に抜けると、目標であるセイチュンの街が見えて来た。
 地理的には、セイチュンの街を中心にすると南西から南東側にかけてセウリの森が広がっている。
 そして南西から北西にはライネス共和国、北西から北東にかけてはドミニント帝国が、北東から南東にかけてはヘイテイ王国が支配している。
 丁度三国に囲まれた位置にあるセイチュンの街は、どの国にも支配されることなく独立都市として保たれていた。
 ガゼンランの塔の麓にあるセイチュンの街は、昔から冒険者が集まる街として知られている。
 その冒険者たちの力で独立を保って来たとも言えるのだが、実際のところはガゼンランの塔の支配権を狙って各国が激しくせめぎ合っているためでもある。
 今は三竦みの状態になっているが、過去を遡るとさらに多くの国家に囲まれていたこともあるのだ。

 そんなセイチュンの街だが、そうした政治的な思惑はともかくとして、完全に冒険者を中心とした街になっている。
 街の中心には闘技場まで完備されており、そこでは毎日のように戦闘が繰り広げられていた。
 勿論、その勝敗は賭け事の対象となる。
 それだけではなく、セイチュンの街には冒険者たちが利用するであろうあらゆる施設が整っていた。
 まさしく冒険者の街と言えるのだが、この街にクラウンが進出していないのにはわけがある。
 三竦み状態で各国から睨まれているために事が進まないというのも理由の一つなのだが、この町ではそれぞれのギルドの力が強いため話し合いが上手くいかないのである。
 行政機関はあるのだが、それはあくまでも街の治安を維持したり外部からの圧力を躱したりする場所だ。
 中心はあくまでもギルド、その内でも冒険者ギルドが大きな力を持っているのである。
 セイチュンの街には、大小さまざまなギルドがあるが、当然ガゼンランの塔での稼ぎが大きいギルドが発言権を持っている。
 ガゼンランの塔からの素材がセイチュンの街の一番大きな収入源であるためだ。
 セイチュンの街にあるギルドは、メンバー達を塔に送り込んで素材を仕入れては、それをギルドの運営資金に充てている。
 当然ギルドが大きくなれば、その分入る素材も多くなり街におけるギルドの立場も大きくなるというわけである。

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 何事もなく街の検問を潜り抜けた考助達は、馬車を停められる宿屋を探すことにした。
 ただし、探すと言っても宿の情報は、これまでの旅で充分に仕入れられている。
 西大陸にいる全ての冒険者が一度は訪れたことがあると言われているだけあって、セイチュンの街の情報には事欠かなかったのだ。
 いくつか聞いていた宿の中で空いている宿があれば、そこに泊まるつもりだった。
 そもそもセイチュンの街は、冒険者が集まる街だけあっていい宿が満室という事はよくあることだ。
 考助達は、何件か回ることも覚悟していたのだが、その心配は杞憂で終わった。
 考助達が宿の情報を集めているときに、ほとんど全員が最初に名前を上げた宿にすんなり入ることが出来たのだ。
 長期滞在が多いこの街の宿では、一度満室になってしまうと中々空き室が出来ることが少ない。
 そのため、例え入りたくても入れないという事はごく普通に発生するのである。
 中でも人気のある宿は、常にそうした状態が発生しているのだ。
 考助達が宿で手続きをする際にも、従業員から「お客さんたちは運がいい」と言われた。
 勿論、人気が高い宿だけあって従業員の教育もしっかりされており、一歩間違えれば嫌味になり兼ねないその言葉も一度だけだったが。

 流石に冒険者たちが推す宿だけあって、従魔の連れ込みも普通に大丈夫な部屋だった。
 というわけで、案内された部屋にはナナも一緒に付いてきている。
 ついでに言うと、考助達のギルドランクではぎりぎりかちょっと足が出る程度のランクの部屋になっている。
 もっとも考助の収入は、ギルドランクとは全く関係ない所で発生しているので、金額的には全く問題が無い。
 ただ、そんなことは宿側は分からないのに、あっさりとこの部屋に通されたのは、前金で払ったという事もあるのだろう。
 しかも一か月分だ。
 今回考助達は、じっくり腰を据えてセイチュンの街に滞在するつもりなのだ。
 元々の目的が物見遊山の旅なので、街をじっくり見回りたいというのもある。
 勿論、ガゼンランの塔の攻略もするつもりでいる。
 ただし、完全に塔を攻略するかどうかはまだ決めていない。
 コウヒとミツキがいるので、全階層を踏破することは可能だろうが、わざわざ新たな騒ぎを起こすつもりもないのだ。

 それよりも考助は、セイチュンの街をぶらつくのを楽しみにしている。
 ガゼンランの塔がある場所は西大陸のほぼ中心で、その麓にあるセイチュンの街も中央に位置していることになる。
 ということで、セイチュンの街には大陸中の食が集まっているのだ。
 出来れば、この町に出ている食は全て食べつくしたいと考えている考助なのであった。

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 そんな考助の事情も考慮して、普通は朝夕に付く食事を夕方だけにしてもらっている。
 考助達がセイチュンの街に着いたのは、昼もすぎていたので、宿で食べる夕食がセイチュンで食べる初めての食事ということになった。
 そうして出て来た食事が、
「中華・・・・・・?」
 見事なまでにそのラインナップが中華料理に近い雰囲気を持った料理だったのだ。
 思わずそう呟いてしまった考助を見て、コウヒとミツキが顔を見合わせた。
「こんな食事もあったの?」
 中華風の料理を見て嬉しそうな顔になった考助に、ミツキが聞いてきた。
「うん。といっても隣の国の料理だけどね」
 そう言った考助に、ミツキが納得したように頷いた。
 和食は考助のために、既にミツキはマスターしている。
 だが、他の国の食事までは聞いたことが無かったのだ。

 ちなみに、宿の食事は部屋で取ることになっている。
 一番下にある食堂で食べるか部屋で食べるかを選べると言われたので、部屋で食べることにしたのだ。
 ナナがいることもあるが、コウヒとミツキがいるので周囲の注目を浴びるのは分かりきっている。
 わざわざそんな状態で食事をする気にはならなかったのだ。
 案外、宿の従業員もそれを見越して聞いてきたのかもしれない。
 そんなことを考えながら、考助は久しぶりの中華(風)料理を口にするのであった。
と言うわけで始まりました。「ガゼンランの塔編」です。
一応塔の名前を冠しましたが、どちらかといえば「セイチュンの街編」の方が正しいかもしれませんw

折角中央にあって色々な食が集まるとフラグを立てたので、中華以外の食べ物もちょこちょこ出して行きたいです。
食テロ(食レポ?w)をするつもりは無いので、ご安心くださいw
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