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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2章 セウリの森編

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(6)召喚

 世界樹の妖精が口にした「朝露の滴」というのは、エルフの里の独特の表現で、里を出て行った者達のことを指している。
 外とのやり取りをほとんどせずに、里内だけで文化を築いているエルフにとっては、里を出ていく者達をあまりいい顔で見ない。
 朝露と表現されていることから、消えてなくなった者という感覚で見られたりもするそうだ。
 もっともシオマラ曰く、そんな考えが主だったのは一昔前の事で、今ではそこまで風当たりが強くなるというわけではないそうだ。
 エルフ、しかもハイエルフのシオマラの感覚で一昔前という事なので、ヒューマンの感覚で言えばかなりの昔という事になるのだが。

 コレットが、この里の出身だと聞いて驚いた考助は、思わずコウヒやミツキへと視線を向けた。
 だが、その視線を向けられた二人も首を左右に振っていた。
 二人共知らなかったらしい。
 そんな三人の様子を見て事情を察したのか、シオマラがため息を吐いた。
「どうやら、お三方ともご存知なかったようですね」
「あ~、はい。そもそもコレットとは昔の話とかは、ほとんどしたことが無かったな」
 何となく上を見て、昔のことを思い出そうとした考助だったが、そもそもそうした話をしたことが無かった事に思い至った。
 別にコレットに限ったことではないが、そうした昔の話を考助から聞くことはほとんどない。
 あくまで向こうから話して来た時にだけ聞く、というのが考助のスタンスなのだ。
「そうですか・・・・・・」
 シオマラがそう言った後、若干俯いたのを見て何かあったのかと察した考助は、これ以上この話を進めることは駄目だと考えた。
 そして、シオマラが思ってもみなかった提案をした。
「本人が不在で話を進めるのもなんですから、きちんと本人に聞いてみましょうか」
「・・・・・・はい?」
 サクッと言った考助に対して、シオマラが意味が分からず首を傾げた。
 そんなシオマラに構わず、考助はさっさとコレットに<神力念話>を使って連絡を取った。

『コウスケ? どうしたの、突然』
 コレットからの返事はすぐに返って来た。
『あ~、うん。今、前にコレットがいた里にいるんだけど・・・・・・大丈夫?』
『え? 里にいるの? あ~、何となく事情が分かった。ちょっと待ってもらって良い? すぐ終わるから』
『うん。分かったよ。待ってるから』
 取りあえずはそれだけで、<神力念話>の通信は終わった。
 コレットからの連絡待ちになったのだが、声の調子からすぐ終わるだろうと考助は予想した。

 ついでに、その間にポカンとした表情のシオマラに状況を説明する。
「あ、今コレットと連絡が取れたんですが、少し待ちになっていますので、ちょっと待ってもらっても良いですか?」
「え、ええ。それはいいんですが・・・・・・連絡って、どうやって?」
 そもそもの根本的な疑問に、シオマラが首を傾げた。
 結局、コレットからの連絡が来るまで、考助は<神力念話>についての話をシオマラにするのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 世界樹の妖精やシオマラは、考助の話を感心した様子で聞いていた。
「素晴らしい技術ですが、一般的に広めるのは難しいでしょうね」
 その世界樹の妖精の言葉に、考助も同意して頷いた。
「<神力>を使っているのが、どうしてもネックになりますからね」
 神力念話の使い方については、世界樹の妖精にもシオマラにも説明してある。
 そもそも<神力念話>について話をしようとすれば、どうしても<神力>について話さないといけないからだ。
「それに・・・・・・っと。コレットから連絡が来ました」
 話を続けようとした考助だったが、コレットからの知らせが来たのを感じて、話を打ち切った。
 <神力念話>を使った連絡をする際には、着信音のような感じで最初のお知らせをするようになっているのだ。

『コレット?』
『ええ、そうよ。それで今、セウリの里にいるって?』
『うん。まあ、正確には世界樹の麓にいるんだけど』
 考助がそれだけ言うとコレットは、すぐに状況を察したようだった。
『麓にいるって・・・・・・ああ、説明はいいわ。何となく状況が理解できたから』
 その口調から、何となく額に手を当てているのが想像できた考助である。
『大方、神樹様に呼ばれてそのままに向かったって所でしょう?』
『ああ、うん、はい。その通りです』
 見事に考助の行動を当てたコレットに、考助はただ素直に返事を返すだけだった。
『それはともかく・・・・・・そうね。折角の機会だから、一度そっちに顔を出しましょうか。召喚んでもらえる?』
 あっさりとそう言ったコレットに、逆に考助が戸惑った。
『いいの?』
『いいわよ別に。私にとっては過去のことだし、今はちゃんとした生活の基盤があるわけだしね』
『そういう事なら。召喚して良いのか確認するよ』
 今の考助の力であれば、コレットの召喚自体は出来るだろうが、この辺り一帯に結界を張っている世界樹の許可は取らなくてはならないだろう。
『ええ。そうね。ああ、召喚ぶのはいつでもいいから』
『わかった』

 コレットに返事を返して<神力念話>を終えた考助は、世界樹の妖精を見た。
「今からコレットを呼ぼうと思いますが、ここで召喚魔法を使っても大丈夫ですか?」
「え? 召喚? ここで?」
 考助の言葉に反応したのは、世界樹の妖精ではなく、シオマラだった。
 それに対して、考助の視線を受けた世界樹の妖精は少しだけ考えた後、問題ないという風に頷いた。
「ええ。問題ありませんよ」
「え? ええ!?」
 何故か置き去りにされているシオマラを余所に、考助はすぐにコレットを召喚するための準備を始めた。
 この場合の召喚は、単に別の場所にいる指定した存在(人・物に限らず)を召喚陣へと引き寄せるためのものだ。
 世界樹がこの森全体に創っている結界の存在があるが、神域さえ自由に出入りできる考助にとってはあまり関係がない。
 現人神になるきっかけの一つとなった召喚送還は、いつの間にか考助の真骨頂の一つと言える技術となっているのだった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 準備と言っても、地面に木の枝で魔法陣を描くだけで終わりである。
 それを見たシオマラは、今にも卒倒しそうな表情になっていたが、ミツキに何かを呟かれて気を持ちなおしていた。
 それを横目で見ながら考助はコレットの召喚を始めたのだが、召喚そのものは一分もかからずに終わることが出来た。
 木の枝で書いた召喚陣が一瞬光ったかと思うと、そのすぐ後には召喚陣は消え去りコレットだけが残されていた。
 木の枝で描いたはずの召喚陣の跡は残っていなかった。

 一方、召喚で呼ばれたコレットはというと、召喚の光が消えた次の瞬間には考助の所へと駆け寄っていた。
「コウスケ!」
 駆け寄って来たコレットは、すぐに考助の首へと両腕を回した。
「・・・・・・おっと」
 思わずよろけそうになった考助だったが、何とかよろけずにコレットを抱き留めることが出来た。
 そんな二人の様子を見て、何故か世界樹の妖精とシオマラが驚いた表情になっていた。
 考助は、何故そんなに驚いているのか分からずに首を傾げたが、コレットはそれに構わず考助に回していた腕を外して、二人に向かって頭を下げた。
「・・・・・・ご無沙汰しております。それから、神樹様は初めまして、ですね」
「コレット・・・・・・なのですか?」
 相変わらず驚いた表情のままのシオマラが、口に手を当てながらそう聞いてきた。
「ええ、そうですよ? まあ、色々聞きたいことはあるでしょうが、とりあえずは落ち着きませんか?」
 コレットは苦笑しながらそう言った。
 そうして今度はコレットを加えて、一同は再び世界樹の麓にある椅子と机に落ち着くのであった。
コレット登場!
そしてさくっと考助の優れた技術が披露されました。
考助は難なく召喚していましたが、普通は世界樹の結界に阻まれて出来ませんw
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