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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2章 セウリの森編

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(1)森へ

祝! 総話数500話。
・・・・・・だからといって、特別な何かがあるわけではありません。
平常運転ですw
 エルネスト国王の願いが通じたのか、特に問題なくタウゼン王国を出た考助達は、順調に旅を進めていた。
 旅の間に、考助が馬車での移動を改善するための魔道具を開発したり、ナナが時折はっちゃけたりはあったが、概ね平穏な日々が続いている。
 考助が作った魔道具は、クラウンで使われている商隊用の魔道具をさらに改良した物になる。
 基本的には、速度を速めるための魔道具なのだが、それプラス快適性を求めて作っている。
 長期間旅をしていて思いついた物を、実際に作ってみたという事だ。
 作った魔道具を初めて使った時の考助のコメントは、「やっぱり実際に長期間旅をして分かることもあるよね~」だった。
 それを聞いたコウヒとミツキが、「流石、考助(様)」と言っていたのだが、考助は聞き流していた。
 ちなみに、旅の後、考助が作った魔道具を見たシュミットが目の色を変えることになるのだが、それはまた後日の話である。

 現在考助達は、アシルという街で長期間の森の中を進む旅に耐えるための準備を行っていた。
 というのも、これから先に向かおうとしているのは大きな森林地帯で、半月以上もその状態が続くのだ。
 途中に小さな村がいくつかあるとはいえ、森を行くのに必要な消耗品が揃っているとは限らないのだ。
 さらに、食糧は現地調達できるにしても、細かい道具などの準備はどうしても必要になってくる。
 そのための準備という事になる。
 その準備もひと段落して、いよいよ出発となった前日。
 考助達は、酒場で冒険者達と酌み交わしていた。
 彼らは、依頼を受けるわけでもなくひたすら旅の準備をすすめる考助達に、興味を持って声を掛けて来た者達だった。
 勿論、考助達が乗っている馬車に目を引かれたというのもあるだろう。
 ついでに、今まで通って来た道の情報を仕入れるという目的もあったようだ。
 商人たちの護衛に着くこともある冒険者にとっては、街道についての生きた情報はとても大切な話なのだ。

 既に酒で顔を赤らめた冒険者の一人が、グラスを片手に考助へと話しかけて来た。
「なんだ。お前さん達、セウリの森を抜けるつもりなのか」
「ええ。そうなんですよ」
「なんでまた、あんな面倒な所を?」
 冒険者がこう言ったのにはわけがある。
 これから考助達が抜けようとしているセウリの森は、一応馬車が通れるような道は通っている。
 だが、森という環境条件があるために、モンスターの出現率が他と比べて高いことも有名なのだ。
 疑問を浮かべる冒険者に、考助は肩を竦めた。
「ガゼンランの塔を目指すんですよ」
 その答えで、他の冒険者も納得したような表情になった。

 別にセウリの森を抜けなくてもガゼンランの塔を目指すことは出来る。
 ただし、目的地に到着する時期が一か月以上先に延びるが。
 今考助達がいる方面からガゼンランの塔を目指そうとすると、セウリの森を抜けるのが一番早いのである。
「なるほどなあ。そういう事なら納得だわ」
 話を聞いていた別の冒険者がそう口を挟んできた。
 ガゼンランの塔を目指してみたいというのは、この西大陸で活動している冒険者であれば一度は夢見ることだ。
 今いる場所から考えれば、セウリの森を抜けるのが一番早いことは、この町で活動している冒険者であればだれもが知る事実なのだ。

「出来ればこの町で活動してほしかったがなあ。そういう事なら仕方ないか」
 ある冒険者が、コウヒやミツキを見ながらそう言った。
 何を目的にそう言っているのか丸わかりだが、気持ちがわかるだけに注意をしたりはしない。
 一々そんなことで目くじらを立てていては、この二人と一緒に行動することなど不可能になってしまう。
 ちなみに、言ったのは一人の冒険者だったが、他の者達も深く頷いていたので、考助の杞憂も的外れではない。
 もしも余計な突込みを入れれば、彼らから総攻撃を食らっていただろう。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「ああ、そう言えば」
 とある冒険者の一人が、酒を口にしながら考助の方を見た。
「最近、セウリの森の街道で変な輩が出ているらしいから気を付けた方がいいかもな」
「ああ、それは俺も聞いたな」
 その冒険者の言葉に、幾人かが頷いていた。
「変な輩?」
 首を傾げた考助に、その冒険者がさらに続けた。
「なんでも、人さらいが出るらしいぞ? 狙っているのは森にいるエルフ達らしいが」
「エルフ?! セウリの森にはエルフがいるんですか」
 思ってもみなかった情報に、考助が驚いた。
 それをみた冒険者たちが逆に驚いた表情になった。
「なんだ、知らなかったのか? この辺一帯では、有名な話なんだが」
「まあ、他から来たなら知らなくても当然かもな」
 セウリの森にエルフがいることは、特に口止めされているような話ではないが、敢えて広めたりもしていない。
 勿論、エルフとの関係が悪くならないようにそうした措置が取られているのだ。

 だが、人さらいの話は、それを覆すような状況だった。
「それにしても、エルフを狙って人さらいですか。割に合うとは思えないんですがね」
 奴隷にするにしても出所は必ず突き詰められる。
 そうそう簡単に奴隷に出来るわけでもないのだが、あくどいことをすり抜けて行うのは人の世の常である。
「全くだな。それぞれの国が合同で動いているっていう話だから、捕まるのは時間の問題だろうが」
 その冒険者が言った通り、セウリの森は複数の国にまたがって存在している森だ。
 どう言った集団が動いているのかは分からないが、国境をめぐって軍が動きづらくなることを狙っていたのだとすれば、余りにも見通しが甘すぎたという事になる。
 考助もその話を聞いて、納得した気分で頷いた。
「国が動いているのでしたら、我々の出番もないでしょうね」
「おうよ。まあ、出番があったとして通常の依頼として出たかは分からんがな」
 冗談めかして言った考助に、他の冒険者も笑っている。
 下手をすれば国家間の問題になりそうな場合は、指名依頼になることが多いからだ。
 掲示板にポンと貼られる通常依頼になることの方が少ない。

「まあ、捕まるのは時間の問題だろうが、十分に気を付けるんだな」
 考助の向かいに座っている冒険者が、コウヒとミツキに視線を向けながらそう言った。
 人さらいたちにしてみれば、コウヒとミツキは十分過ぎるほど商品価値があるだろう。
 その視線の意味を分かった上で、考助も頷いた。
「ええ。忠告感謝します」
 考助もそれだけ言って、後は何も言わなかった。
 この二人をさらう事が出来るとすれば軍など相手にもならないだろうな、と考えていたことも。
 考助と冒険者の話を聞いたいたコウヒとミツキの二人は、ただ笑ってその話を聞いているだけだった。
 いっその事、襲撃してくればいいのに、と考えていたかどうかは、誰にも分からないのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 冒険者達との飲み会が終わった翌日。
 何名かがまだ酒場で倒れていたりするが、考助達は既に馬車の中に身を置いていた。
 昨日の参加者の何人かが見送りに来てくれている。
「それじゃあ、気を付けて行くんだな」
「ええ。わざわざありがとうございます」
「何。良い冒険者とは繋がりを持っておきたいのさ」
 そんなことを言う冒険者に、考助は笑顔を返した。
 考助としてもその意見には賛成だ。
 折角の旅なのだ。いい出会いには感謝をして旅を続けたい。

「では。また、どこかで」
「ああ。また、どこかで」
 いつもの挨拶を交わした後、考助達はセウリの森を目指して馬車を走らせるのであった。
森へ入る前の前振り的な話でした。
ちゃんとフラグは回収するので、ご安心(?)くださいw
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