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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 タウゼン王国編

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(20)予想外の対面

「もう一つも聞こうか」
 考助へと視線を向けながらエルネスト国王がそう言って来た。
 考助が望んだ褒美は二つ。
 一つは果たしたが、もう一つはまだ達成されていないのだ。
「はい。ではこれを」
 考助はそう言って、懐から小さな水晶の透明な球体を出して、王へと差し出した。
「・・・・・・む?」
 エルネスト国王は訳が分からずに首を傾げた。
「お手に取っていただけますか?」
「ふむ。・・・・・・まあいいだろう。おい」
 国王は一つ頷いてから、傍にいた者に指示を出した。
 流石に国王に直接渡すことは出来ない。
 魔道具という物がある世界では、どんな危険な物を渡されるかも分からないからだ。
 考助もそれがわかっているため、近寄って来た側近に持っていた物を手渡した。
 渡された側近は、丹念にそれを調べたがすぐに危険な物ではないと判断して、国王に差し出した。
「問題ございません」
「そうか。それで? これをどうするのだ?」
「ええ。持っているだけで大丈夫ですよ」
「ふむ?」
 訳が分からず首を傾げる国王。
 周囲の者は、一応安全が確認されたとはいえ、何か隠されているのではないかと警戒している。

 それをエルネスト国王が手にしてから数秒も経たないうちに、状況に変化が現れた。
 今までいたはずの部屋ではなく、全く何もない白い空間に変わっていたのだ。
 それも、その場にいるのは考助とエルネスト国王の二人だけだ。
 信用し過ぎたかと内心で舌打ちしたエルネスト国王だったが、表情を変えずに考助へと問いかけた。
「どういうつもりか?」
 対する考助は、国王の視線を受けて一つ頷いた。
「まあ、不安になるのも分かりますが、もう少しだけお待ちください。すぐに来るはずですから」
「何だと?」
 首を傾げたエルネスト国王だったが、すぐに考助の言った意味が分かった。
 考助を間に挟んで相対する位置に、今までいなかったはずの女性がいたのだ。
 その女性は、エルネスト国王から見ても豪奢な衣装に身を包んでいる。
 一目で高貴な身分だと分かる装いだった。

 その女性は一瞬だけエルネスト国王に視線を向けた後、考助へと笑顔を見せた。
「珍しいな。何があったのだ?」
「フローリア、ごめんね。パーティか何かに出てたの?」
「何、気にするな。多少の時間であれば離れても気にする者はいないさ」
「よかった」
 そう。現れた女性はフローリアだったのだ。
 一時的に考助が作り出した空間に、エルネスト国王とフローリアを呼び出したのである。
 勿論、きっかけになったのはエルネスト国王に渡したあの透明な球体だ。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 親しげに会話をする二人を見ながら、エルネスト国王はどういう事態なのかと頭を働かせていた。
 そんなエルネスト国王を見て、考助が若干困ったような顔になった。
「そんなに警戒しないでください。別にあなたを害するつもりはありません」
 そんなことを言った考助を見ながら、フローリアは笑って言った。
「そんなことを言っても無駄だと思うぞ? 私とて其方以外にこのような場所に連れてこられれば、警戒するだろう。それよりもさっさと紹介したほうが良いと思う」
「それもそうか。エルネスト国王、こちらはラゼクアマミヤ王国のフローリア女王です。フローリア、こちらがタウゼン王国のエルネスト国王だ」
「直接会うのは初めまして、だな」
 考助のやることになれているフローリアは、あっさりとそう言ってエルネスト国王に軽く頭を下げた。
 一方のエルネスト国王は、呆然とした表情から抜けきっていなかった。
「・・・・・・フローリア女王、だと?」
 確かに目の前にいる女性は、それだけの貫録を持っているように見える。
 豪奢なドレスに身を包んでいるその姿も、噂に聞いている特徴そのままだった。
 だが、それでも頭の中ではそれを認めようとはしていなかった。
 何しろ先ほどまで自分は自国の城にいたのだ。
 他大陸の国家であるラゼクアマミヤ王国の女王と対面できるはずがない。

 そんなエルネスト国王の考えを読んだのか、フローリアは若干苦情を浮かべつつ首を左右に振った。
「エルネスト国王。信じたくないという気持ちは分からなくはないが、現人神のやることに一々驚いていては身が持たないぞ?」
 フローリアのその言葉を聞いたエルネスト国王は、目を見開いて考助の方を見た。
 そして、口の中で反芻するようにその名前を呟いた。
「コウ・・・・・・。現人神、コウスケ・・・・・・そう、そういう事だったのか」
 ようやく理解できたのか、エルネスト国王が納得したような表情になった。
 同時に、考助に対して敬意や畏れのような複雑な表情を向けて来た。
 エルネスト国王からそんな顔を向けられた考助は、多少申し訳なさげな表情になった。
「少々強引な方法になったことはお許しください。折角の機会でしたので」
 考助が、そう言うと若干表情が硬くなっていたエルネスト国王は、一度大きく深呼吸するような仕草を見せた。

「其方は・・・・・・本当に神であるのか?」
 そのエルネスト国王の言葉に、反応したのはフローリアだった。
「エルネスト国王。コウスケに従来の神を当てはめるのは間違っているぞ」
 クツクツと笑いながら、フローリアはそんなこと言った。
 それから真顔になって、更に続ける。
「だが、神であることは間違いない。対応を間違えると傍にいるあの二人が許さないから気を付けると良い」
 フローリアの助言に、エルネスト国王は考助の傍にいた二人の美女の姿を思い出した。
 同時に、あの二人がどういった存在なのかも理解した。
「・・・・・・フローリア女王、忠告感謝する」
「何。ちゃんと言っておかないと、此方にもとばっちりが来かねないからな」
「なるほど」
 フローリアの物言いに、大いに納得したような表情で頷くエルネスト国王であった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 そんな二人のやり取りを微妙な表情で見ていた考助だったが、フローリアへと視線を向けた。
「言った物はちゃんと持って来た?」
「勿論だ」
 エルネスト国王が首を傾げる中、フローリアが手に持っていた袋の中からある物を取り出した。
 見た目は先ほど考助がエルネスト国王に渡した透明な球体とほとんど変わらない。
 だが、その球体は台座のような物とくっついていた。
「・・・・・・これは?」
 フローリアから直接それを渡されたエルネスト国王は、首を傾げつつ魔道具と思しき物を受け取った。
「噂には聞いていたであろう? 近しい者に渡している通信具だ」
 それを聞いたエルネスト国王は、マジマジとその通信具を見つめた。
 フローリアの言う通り、ラゼクアマミヤの王家が独自に開発した通信具を近しい存在に渡していることは、既に各国の上層部では噂になっていた。
 その通信具は、非常に高価なのだが、従来の物と違って繰り返し利用することが出来るという優れものだった。
 各国ではその通信具をどうにか手に入れようと血眼になっているという代物だった。

「これがそうか」
「ええ。それを渡したくてわざわざここへと来てもらいました」
 考助の目的は、エルネスト国王にラゼクアマミヤと直通の通信手段を持ってほしかったのだ。
 そのため多少強引とはいえ、このような場所に来てもらうことにしたのである。
「国王が手にした時点で、所有者情報は登録されています。貴方以外にはもう誰も使えなくなっています」
「ふむ」
 考助の説明に、エルネスト国王は神妙な表情で頷いた。
 エルネスト国王にとってもこの通信具は、とてもありがたい物になる。
 何しろ、余計なフィルターを通さずに、ラゼクアマミヤのトップとの会話をすることが出来るのだから。
 それがタウゼン王国にとってどのような効果をもたらすことになるかはまだ分からない。
 だが、何らかの影響を与える事になるのは間違いないだろうと確信するエルネスト国王であった。
フローリア登場!
三人が会った空間は、考助が創った独自の世界と言って良い空間です。
狭いですがw
順調に神としての力を発揮している考助でした。
+注意+
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