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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 タウゼン王国編

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(15)到着

 盗賊という通常のイベント(?)をこなしつつ、考助達一行はついにタウゼン王国の王都へと入ることになった。
 王都に入る際に検問で何かひと悶着あるかと懸念していたのだが、特にそう言ったことも起きず通常通りの検問で終わった。
 王都に入った商隊は、予定通り商会の本社へと無事に運ぶことが出来たのであった。
 あとの商談その他は、レネー達商人の役目となる。
 考助達冒険者は、これで解散、となるはずだったのだが、献上品が運ばれてきたという事で出てきていた商会の会長が冒険者たちに向けてにこやかに言って来た。
「ご苦労様でした。途中で奪われたりしなかったのは、貴方達の働きのおかげです。今夜にでも労いの飲み会を開きますから出席しませんか?」
「それはあんたの奢りか?」
 考助が何かを言うより早く、クレールが反応した。
 移動中は考助が護衛のリーダーだったが、既にその役目も終わっているのだ。
 考助が周囲を見ると、クレールのパーティは勿論、もう一つのパーティも期待の視線で会長のヘイノを見ている。
 そのヘイノは、元から予想していたのか笑顔を崩さず頷いた。
「勿論です。詳しいことは後ほど商会の者が伝えますから、何処に泊まるか教えておいてください」
 ヘイノはそう言って視線を脇に控えていた部下に向けた。
 飲み会に関しては、その部下が対応するという意味だ。
「おう。決まったら知らせに来るぜ」
 クレールはそう言って、仲間たちと共にその場を離れて行った。
 もう一つのパーティも同じ方向に向かっている。
 依頼が終わったので、冒険者ギルドで完了の手続きをするのだろう。

「それじゃあ、僕たちも行こうか」
 考助も両脇に控えているコウヒとミツキにそう言った。
 それに気づいたレネーが、商談を一旦やめて考助に向かって話しかけて来た。
「ああ。コウさん。ご苦労様でした。飲み会は出られるんですよね?」
「ええ。まあ、あの様子だと辞退は出来ないでしょうね」
 笑いながらそう言った考助に、レネーも笑顔を浮かべた。
 考助が辞退すると言おうものなら、クレール達が無理やりにでも引っ張り込もうとするのは目に見えている。
 考助としても冒険者のそう言うノリは嫌いではないし、何より元々辞退するつもりはなかったので特に問題はない。
「確かに。それでは、今回の詳しい話はその時にでもしましょう」
 レネーが言っているのは、旅の間に起こったことを振り返りながら話しましょうという意味だ。
 特に深い意図はない。
「分かりました」
 考助もそれがわかったので、軽く頷いて返事をするのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 クレール達と同じように依頼終了の手続きをした後は、今夜泊まるための宿を探して回った。
 今回はサウリの街の時と同じように、多少割高の宿に泊まることにした。
 そもそもの目的はコウヒとミツキの慰安旅行なのだ。
 多少贅沢をしても許されるだろう。
 もっとも、考助は魔道具の開発だけでも一国の予算に匹敵する稼ぎがあるので、この程度の宿に泊まり続けても特に問題がない。
 誰も反対しないどころか、シュミットあたりに知られれば、なぜそんな安い宿に泊まっているのかと突っ込まれるかもしれない。

 従業員に案内されて宿泊する部屋に入った考助達は、ある物を見つけて驚きの声を上げた。
「おっ!?」
「あらあら」
 声を上げたのは考助とミツキだったが、コウヒも驚いて部屋の天井を見上げていた。
「おや。お目が高いですね。あれが何かご存知なのですか」
 考助達の視線に気づいて、従業員が多少誇らしげな表情になった。
 彼らの視線の先には、魔道具である部屋の照明が飾られていたのだ。
 いくら高めの設定になっている部屋とはいえ、まだまだ国外への輸出は少ないはずだ。
 タウゼン王国は、直接ラゼクアマミヤとの取引があるとはいえ、このような宿にまで届いているとは思っていなかった。

「ああ。ラゼクアマミヤ製の照明だろう?」
「ええ。本来であれば、貴族たちに優先していくはずなのですがね。昔ながらの照明を好んでいる貴族が多いらしく私どものような所にも回ってくるのですよ」
 従業員がそう言うのを聞いて、考助は納得したように頷いた。
 昔ながらの照明を好む者がいるのは、ラゼクアマミヤでも同じだからだ。
 第五層にある街は、新しく出来たばかりの街という事もあって、考助が開発した新しい照明が広がっているが、昔からある街の屋敷では昔ながらの照明にこだわっている屋敷もある。
 考助としてもそれぞれの風情があるので、維持が出来るのであればどちらかを駆逐する必要はないと考えていた。
 何事も多様性が大事だと思っているのだ。
「そうでしたか。まあ、おかげで僕らは明るい夜を過ごせるのだから、喜ぶべきでしょうね」
「ははは。そうですね」
 従業員は、部屋の使い方を説明をしながら、そんな軽い会話を行い部屋から去って行った。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「おや。コウさんは、あの宿に泊まっているのですか」
 飲み会の席で、レネーに宿のことを話すとレネーがそんなことを言って来た。
「知っているのですか?」
「ええ。多少値が張りますが、いい宿ですよ」
 以前にレネーも泊まったことがあるそうだ。
 前に泊まった時は、行商の相手が宿を提供してくれて泊まることが出来たということだった。
「今の私には高くて泊まれませんがね。コウさんほどの収入があれば、おすすめの宿ですよ」
 今回の依頼もそうだが、Cランクの冒険者としてもかなり稼ぐことが出来ることを知っているレネーは、ためらうことなくそう言った。
 考助達の実力であれば、Cランクの依頼は難なくこなすことは分かっている。
 それであれば、どれくらいの収入があるかも予想することが出来るのだ。
 ついでに今回の依頼は、かなりの高額報酬が出ているのも分かっているので、一週間程度あの宿に泊まっても大丈夫だという事もわかっている。

 そんなレネーと考助の会話に、商会長のヘイノが話しかけて来た。
 献上品に関して、忙しく動いていたヘイノだったが、ようやく時間を作ることが出来てこの会場に来ることが出来たのだ。
 ちなみに、彼らが飲んでいる場所は、商会が普段会議やこういった席に使っている場所で、今回はこのために用意されていた。
 料理や飲み物は、商会持ちで次々と運ばれている。
「お疲れ様でした。おかげで、無事王家に届けることが出来そうですよ。・・・・・・最後まで油断できませんが」
 ヘイノにとってはここからが勝負になる。
 完全に王家に渡すまでは、油断することが出来ないのだ。
 ちなみに、コウヒのアイテムボックスに入れてあった献上品は、きちんとヘイノに直接渡してある。
 初めてそのことを知ったヘイノは感心したような表情を見せ、さらには同じような事が出来ないかと真剣な表情で考えていた。
 その後ヘイノがどのようにしたのかは分からないが、何らかの対策は取っているだろう。
 ただし、それは考助達にとってはもう感知すべき事柄ではない。

「いえ。こちらも仕事ですから」
 レネーがそう言うと、ヘイノは首を左右に振った。
「いやいや。今回の事は、貴方達でなければ達成できなかったと思っています」
 謙遜ではなく、と前置きして言って来たヘイノは、本気でそう思っているようだった。
「私達、というよりも、コウさん達でなければ、と言うべきでしょうね」
「ええ。私も報告書でそのように伺っています」
 ここまでの道のりを考えながら、レネーとヘイノは考助達を見てそう言った。
 二人の視線を受けた考助は、ここで謙遜したら逆に嫌味になるだろうなと思い、軽く笑うだけで答えるのであった。
何でもないごく普通の回を挟みました。
次は、どうしましょうか?w
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