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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 タウゼン王国編

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(13)侵入者

 考助達やレネーが見守る中、二つの騎士団による荷物検査は行われた。
 門のところで繰り広げられた騒動とは打って変わって、検査自体はスムーズに行われていた。
 考助は二つの騎士団が、普段どういう役割を持って動いているかまでは知らないが、普段からやり慣れている作業のように見えた。
 騎士団は、荷物の検査を行ったりすることもあるとレネーから聞いているので、実際にやり慣れているのだろう。
 二つの騎士団は、お互いがお互いを監視しているような状態で、おかしな動きを見せることは無かった。
 正確に言えば、出来なかった、という方が正しいのかもしれないが、真実は不明だ。
 「荷物に特に異常は見当たらなかった。捜査のご協力に感謝する」
 と、第一騎士団の団員が宣言したところで、騎士団による荷物の検査は終了となった。
 結果を淡々と述べていたことから、特に揚げ足を取るつもりもなかったのかもしれない。

 検査が終わった倉庫は、再び静けさを取り戻していた。
「それにしても騎士団の連中は、何がやりたかったんでしょうね?」
 首を傾げるレネーに、考助も同じように首を傾げていた。
 彼らの目の前には、王家への献上品を納めていると見せかけている箱が鎮座している。
 本物はコウヒのアイテムボックスの中にあるので、目の前の箱の中にあるのは偽物である。
 ただ、騎士団たちは献上品の外見は見ることはしても、中を検めようとはしていなかった。
 いくら令状が発行された検査とはいえ、王家への献上品を勝手に開けるわけには行かないのだろうが、そうなると検査を行われたこと自体がよくわからなくなる。
「案外、本当に検査をするつもりだけだったのかもしれませんよ?」
 そう言ったのは考助だが、言った本人もそれはないだろうと考えている。

 考助とレネーが二人そろって首を傾げていると、話を聞いていたミツキから助言が飛んできた。
「第一騎士団は、全体の検査をするのではなくて、献上品だけを検査したかったという事はないの?」
「いや、だからそれは・・・・・・あっ?!」
 ミツキの言葉を反射的に否定しかけた考助だったが、途中で彼女が言いたいことがわかった。
「単に第一騎士団は、献上品が本物だとお墨付きを付けたかっただけという事?」
「そういう事ね」
 考助の言葉で、レネーも理解できたような顔になっている。

 考助達は最初に騒ぎを起こした第一騎士団が黒幕だと決めつけていたが、実は助けに来たと思っていた第三騎士団に命令を下した方が黒幕だという事だ。
 そもそも第一騎士団が最初から令状を持っていれば、第三騎士団が混じることなく検査は行われただろう。
 そのまますんなり検査が終われば、騎士団の検査が終わっているというお墨付きを得ることが出来る。
 もし第一騎士団の行動が、正常に王都まで運んでほしいと考えている者の手引きだとすれば、考助達にとっては十分すぎるほどのお墨付きとなる。
 さらに言うと遅れて来た第三騎士団は、「第一騎士団の検査済み」という結果を残したくないがために邪魔しに来たという事になる。
 第一騎士団の検査に乱入したのは、どうにかして検査の邪魔が出来ないかと行動するためだったわけだ。
 あくまでも推測でしかないが、あり得ない話ではないだろう。

「うーん。確かに考えられなくはないですが・・・・・・」
「まあ、ここで悩んでもしょうがないでしょうね。ともかく山場は無事に乗り越えたのですから」
「そうですね」
 当初からレネーも考助達も、王家の献上品に伴う騒ぎは認識の外にある。
 自分達は、王都まで無事に荷物を運び終えればいいだけだと考えているのだ。
 二つの騎士団がどういう裏があって動いていたかなど、はっきり言えばどうでもいいことなのだ。
 そう結論を出した考助とレネーは、気楽になった顔をしてその場を離れるのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 騎士団の立ち入り検査があった日の夜中。
 王家への献上品が置かれた倉庫に、あからさまに怪しい人影があった。
 献上品が置かれているという事で、普段よりも警備を厳重にしている倉庫だったが、それでもその警備を潜り抜けて来たその人影は、かなりの手練れと言えるだろう。
 現に、その人影の傍には、二人の警備員が倒れている。
 倒れているのは、献上品のすぐ傍で警備をしていた護衛だ。
 一瞬で警備の二人を倒したことからも、その人影が相当の実力者であることがわかる。
 倉庫の管理をしている商会側も、警備員の費用をケチったわけではないのだ。
 それなりの実力がある冒険者を雇っていた。
 それが一瞬で倒されるのだから相当な腕だという事になる。

 その人影は、しばらく献上品の前で何やらごそごそと作業をしていたが、すぐにその場から立ち去っていった。
 しばらくして人影の攻撃から回復した警備の二人は、慌てて献上品を確認したが、変わらず置かれている様子を見て安心した様子を見せていた。
 とはいえ、身体の調子から何かの攻撃を受けたのは明らかだった。
 最初は誤魔化すことも考えた二人だったが、結局素直に報告することとにしたのである。

 

 翌朝。
 のんびりと顔を洗ったり朝食をとっていた考助は、同じようにのんびりとした様子のレネーから昨夜倉庫に忍び込まれたことの報告を受けた。
 二人が慌てていないのは、倉庫にあるのが本物ではないことを知っているためだ。
 ちなみに、コウヒが本物を預かっていることを知っているのは、考助とレネー、後はコウヒ本人とミツキしかいない。
 そのため、のんびりとした様子で現れたレネーに、倉庫での警備の担当者が怒った表情で近づいて来た。
「襲撃されたと報告したのに、何故のんびりしているんですか!」
「いや、そうなんですが、献上品そのものは無事だとも聞いていましたよ?」
「そう言う問題ではありません!」
 事件の報告を受けてから寝ていないのか、その担当者はしばらくレネーに対してくどくどと文句を言い続けていた。

 その間、考助は少し離れたところで、コウヒやミツキと会話をしていた。
「・・・・・・どう?」
「見事に入れ替わっていますね」
「ケースごと?」
「はい」
「へー。凄いね。見た目じゃ、全く分からないや」
 昨日騎士団の検査があった時と同じ場所に、王家への献上品が置かれているが、それは昨日の物とは全くの別物だった。
 昨夜侵入した者が、全く同じケースの物と入れ替えたのだ。
 考助の言う通り、外見上は全く同じように見える。
 こうしたことが起こるだろうと、前もって考助がコウヒに頼んで識別できるようにしてもらっていたのだ。
 ちなみに、侵入者が持って行ったのは、そもそもが偽物なので全く意味がなかったりする。

「追う事も出来るけれど、どうする?」
「ん~? まあ、このまま放置していていいんじゃない? 王都に着くまで静かになりそうだし」
 ミツキの問いに、考助はのんびりとした口調で答えた。
 これまで商隊を襲撃して来た黒幕が、この侵入で本物を手に入れたと勘違いして襲撃が無くなれば、この先の移動がかなり楽になる。
「分かったわ。放置で良いのね」
「うん」

 簡単に今後の方針を決めたところで、ようやくレネーがやって来た。
 こってりと絞られたのか、げんなりとした表情になっていた。
 本当のことは言えないので、ひたすら文句を聞き続けていたのだ。
「やっと解放されましたよ」
「お疲れ様でした」
 疲れ切った表情のレネーに、考助が慰めるように声を掛けるのであった。
罠に嵌めようとしている黒幕ですが、実際には考助達の罠にはまっているという話でしたw
これもテンプレと言えばテンプレになるのでしょうか?

次の話で補足しますが、献上品は一度封をされると王の元に届くまで開けられることはありません。
それを利用した騒ぎという事になります。
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