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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 塔の外で色々やろう

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(17) サキュバス?

本日2話投稿の1話目です。
2話目は20時投稿予定です。
 シュレインの連れてきた女性は、ピーチ・トレインと名乗って、実に簡潔に考助たちを尾行していた理由を話した。
「え? 占い?」
「はい~。私の居た村には、占いのよく当たるおばあさんが居たんですが、そのおばあさんの占いで、この街で私の運命と出会うと出まして」
「・・・それはまた曖昧な占いだなぁ・・・。運命って?」
「私も聞いたときは、わかりませんでしたが、今はわかってますよ~?」
 ピーチはそう言って、考助をじっとみている。
「・・・? どういう事?」
「ですから~。貴方が、私の運命なんです」
「・・・・・・・・・はっ!?」
 考助は、思わず絶句した。

(いやいや、無いから。そんな展開は、二次元の中だけで十分だから)

 まさか、そんな展開が自分に降りかかるとは思っていなかった。
 周りで聞いていたシルヴィアは、胡乱げな視線を考助に向け、シュレインとミツキは面白そうな視線を向けている。コウヒはいつも通り平常運転である。
「あ、待ってください。別に、運命の人とかそんなんじゃなくて、私の人生に大きく関わる人とかいう意味ですから~。・・・まあ、別に私は運命の人でも構いませんが?」
「・・・人生に関わるって、どういうこと?」
 考助は、後ろの言葉は聞かなかったことにして、ピーチに問いかけた。
「ええと、もう既に私の人生に関わっていますよね~。先ほどミツキさんが、私に楔を打ち込んでくださいましたから。でもそれだと、ミツキさんが私の運命に関わると占いに出るはずですが、そうではなくコウスケさんが出ているということは、私の運命に関わる何かが、まだあるということだと思います~」
「いやいや、ちょっと待って。その前に、なんで僕が君の運命に関わると?」
「・・・勘?」
「・・・いやいや、勘って・・・」
 考助はがっくりと肩を落とした。
「あ~、馬鹿にしましたね? 私達の種族の勘の良さは、有名なんですよ~?」
「・・・は?」
「あの・・・もしかして、貴方の種族は、サキュバスですの?」
 はてなマークを浮かべた考助に対して、シルヴィアが疑問を挟んだ。
「そうですよ~」
 ピーチの回答に、シルヴィアが納得したように頷いている。
「えっと、どういうこと?」
「サキュバスという種族は、せ、性的な方面でも有名なのですが、その勘の良さでも有名な種族なのですわ」
「勘の良さというよりは、先を見通すことが出来るような感覚を持っているということだの」
 シルヴィアの説明に、シュレインが付け足した。
「その通りですわ~。おかげで私の一族からは、その能力を生かして、優秀な占い師を輩出していますね」
「へ~。そうなんだ」
「世間一般では、性的な方で有名になってしまって、そちら方面での奴隷に無理やりされたりすることがあったから、身に着いた能力とも言われてますね~」
 サキュバスの意外な歴史に、考助は思わず感心してしまった。
 まあもっとも考助の知るサキュバスとは、あくまでも地球で語られているものなのだが。

「あれ? じゃあ、隠密の能力の方は?」
「あれは、訓練で身に着けた能力ですね~。何せ私の場合は、今まで能力を隠せなかったおかげで、周りの人を問答無用で魅了してしまうような状態でしたから」
「なるほどね」
 若干引き気味に納得する考助に、ピーチは笑顔を向けて言った。
「大丈夫ですよ~。魅了にかかっていたのは私の一族の者だけで、一族にはそれを治療する方法も伝わっていますから。それに私は、隠密の技を仕込まれるまでは、村を出ることを禁じられていましたよ」
 魅了の力に関しては、サキュバス達は意外なほどに気を使ってるということだった。
「なるほど・・・って、あれ? 隠密って冗談で言ってたんだけど、ほんとにそっち方面の仕事も請け負ったりしているの!?」
「そうですよ~。むしろ占いよりそっちの方が、歴史がありますね」
「へえ、そうなんだ。・・・あれ? そんなこと簡単に話していいの?」
「本来はダメですよ~。ですが、貴方は私の運命の人ですから」
 魅了の力を封じられているはずのピーチの笑顔にドギマギしながら考助は、なんとかそれを振り払って突っ込みを入れた。
「いやいや。運命の人じゃなく、運命に関わる人、だよね・・・!?」
「どっちも一緒ですよ~」
「さっきと言ってること違ってるし!!」
 考助の様子を見て、ピーチはクスクスと笑っている。
「あら、残念です~。私はいつでも、うえるかむ、ですからね。ちなみに私はサキュバスですが、先程のような事情もあって、きちんと純潔を守ってますからね?」
「そ、そこまで、聞いてないし・・・!?」
 やっぱりピーチはサキュバスだ、と思う考助であった。

「ところで、ミツキとシュレの言ってた、混ざってるってなに?」
 何とか気持ちを落ち着かせた考助が、ミツキの方へ話を向けた。
「あー、それは私も興味ありますね~」
「そうね。それについては、シュレインの方から説明したほうがいいかしら?」
「まあ、そうだの」
 シュレインは、ピーチの方へ視線を向けた。
「そなた、先程セイレーンの血が入っていると言っていたが、他の血筋については、何か聞いておらぬか?」
「他ですか~? 特には聞いていませんが?」
「ふむ。なるほどの」
「シュレ、一人で納得してないで、説明説明」
 ミツキと二人で頷いているシュレインを、考助がせっついた。
「わかったわかった。・・・ピーチと言ったか、そなた間違いなく吸血鬼の血が流れておるぞ?」
「・・・へ?」
 ピーチが呆けたような表情をした。
「血の契約で縛られているような感じもないから、先祖のどこかに吸血鬼がおるのではないか?」
「・・・私は聞いたことがありませんが~? ということは、シュレインさんは、もしかして?」
「うむ。吸血姫だぞ?」
「へ~、そうなんですか~。初めて見ました」
「え? 何!? 吸血鬼って珍しいの?」
「珍しいと言えば珍しいが、サキュバスと同じくらいの数はおるぞ?」
 あっさり言われた考助は、この中で一番の常識人と思われるシルヴィアの方を見た。
 見られたシルヴィアは、コクリと頷いた。
 要するに、吸血鬼もサキュバスも亜人として認知度はある程度あるが、数的には珍しい種族であるということなのだ。
「それで吸血鬼の血が混じってるのが珍しいと?」
「いやいや、そうではないぞ。ただ、ピーチに混じってる血が、始祖かあるいは、始祖に近い者のようだの」
「・・・・・・は!?」
 シュレインの言葉に、ピーチとシルヴィアが呆気にとられている。
「しかも、代を重ねるごとに薄まったわけでなく、どうも先祖返りに近い状況だの。それなりに強い力が発現しておったわ」
 考助は、シュレインの微妙な言い回しに気付いて、首を傾げた。
「・・・おった? 過去形?」
「うむ。今はミツキ殿の術で、力の方は封じ込められておる」
「そうなんですか~」
 始祖宣言から立ち直ったピーチが、納得していた。
「ふむ。何か心当たりがあるようだの?」
「心当たりというか、私の力を封じ込めることが出来ないというのが、村では問題になってまして。まさか、そんな力まで混ざってるとは、思われてなかったみたいです」
「なるほどの。そういうこともあり得るのかの?」
 シュレインの疑問は、実際に封じたミツキに向けられた。
「そうね。サキュバスとセイレーンと吸血鬼の力が、いい具合に混ざり合ってたから、知らなければ封じるのは、難しかったかもね」
「なるほど~。納得しました~」
「ところで、始祖って何?」
 危うく聞き逃すところだった考助が、疑問を挟んだ。
「なんだ、知らなかったのか? 別名で『始まりの吸血鬼』と言われている、吸血鬼の元になっている者達のことだの」
「者達? 複数いるの?」
「うむ。十三人居ると言われておるの」
「へ~」

「そういうわけでピーチの力は、今はきちんと封じられているわけ。コウヒも安心した?」
 ミツキに水を向けられて、コウヒは苦虫を噛み潰したような表情になった。
「・・・・・・まあ、魅了の力の方は、ですね」
「貴方も心配性ねぇ。まあ、気持ちは分からなくはないけれど」
 コウヒの答えに、ミツキはクツクツと笑った。
「どういうこと?」
 微妙な言い方に、考助が二人の方を見た。
 そんな考助に、ミツキは新たな爆弾を落とした。
「ピーチの体術とか短剣の扱いは、私達に近いレベルなのよ」
 ほとんど神業に近い二人のレベルに近いと言われて、考助は驚きのあまり魅了のことを忘れて、ピーチを凝視することになった。
2014/6/9 脱字訂正
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