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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 タウゼン王国編

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(9)お話し合い(尋問?)

 考助達が襲撃者のリーダーとのお話し合い(尋問)を始める前に、レネーとの間で認識のすり合わせが行われた。
 襲撃されたことで、黙っていていい問題ではないと前置きしてからレネーが話し始めたのだ。
 レネーが語ったことによると、先頭馬車に積んでいた荷物の一部には、王族に献上する品が積まれているとのことだった。
 その品は、タウゼン王国にとってはかなり重要な物らしく、なぜか定期的に求められているのだ。
 一般には流布している情報ではないのだが、ある程度の位に就いている者であれば大体知っているとのこと。
 何のために王族がその品を求めているのかまでは知られてはいないのだが、権力を求める者にとってはそれさえ知っていれば十分なのだ。
 今回レネーがとある大手ギルドの依頼を受けて、その品を運ぶことになったのだが、その大手ギルドがどういうルートでその品を捌こうとしているかまでは知らないそうだ。
 ちなみにその品というのが、とあるモンスターの素材だったのだが、それを聞いた考助は顔を歪めた。
 そのモンスターというのが、考助達が消化した依頼の中に記載のあったモンスターだったのだ。
 「偶然にも程がある」と思わず呟いた考助だったが、コウヒとミツキは「やっぱり」と呟いていた。
 それを不思議そうな顔で見ていたレネーだったが、敢えて突っ込んできたりはしなかった。

 レネーから聞いた話を纏めると、今回運んでいる依頼品は王族へ献上する品であること。
 レネー自体は大手ギルドに納品するまでが仕事なので、それ以上の詳しい内容は分かっていないこと。
 この品を得るために、かなりの大金が動いているということを聞くことが出来た。
 どういうルートで漏れたかは分からないが、最初からこの荷物を狙って襲われたのだろうということだ。
 なぜ今になってそれらの話をしたのかは、完全に守秘義務にのっとってのことだ。
 流石に襲撃された今となっては隠す意味もない、というよりも、隠したところで意味がないので最初から襲撃された場合は話して良い事になっていたそうだ。
 何事もなく無事に王都に着ければそれで良かったのだが、残念ながらそういうわけには行かなくなったので、情報公開に踏み切ったそうだ。
 といっても、情報を公開するのは、リーダー役を担っている考助達のパーティまでだそうだ。
 他の冒険者は勿論、商人たちも本来の目的は知らない。
 冒険者達も商人たちも、こういった依頼を受けることは多々あるので、わざわざ聞いてくることは無いだろうという事だ。
 考助もリーダー役をしていなければ、突っ込んで聞いたりはしなかっただろう。

 そんなことをレネーから聞いた上で、考助達は襲撃者とのお話し合い(尋問)を開始したのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「う、ぐっ・・・・・・!?」
 意識を取り戻した襲撃者のリーダーは、慌てて周囲の確認をしていた。
 彼の傍には、既に目覚めているお仲間が二人いるだけだ。
 他の者達は、襲撃地点に放置してきている。
 襲撃者と知っても黒装束のような物を着ているわけではなく、一応盗賊に身を扮しているような恰好をしていた。
「さて、目を覚ましたんだったら色々話してもらおうかな?」
 コウヒとミツキを両脇に従えて、考助がそう問いかけた。
 少し離れた後ろには、レネーが様子を窺っている。

 考助の言葉に、リーダーは意思のこもった視線を向けて来た。
 この世界に来る前の考助であれば、一瞬で逃げたくなるような視線だったが、今の考助にとっては大した圧力には感じなかった。
 理由は簡単で、そんな威圧など全く意味がないという心理的な余裕があるためだ。
「ごめんね。長い間訓練とかしてきたからこそ、そう言う自信がある視線が出来るんだろうけど、全く無意味だから」
 考助はそれだけ言って、さっさとミツキに視線を向けた。
「それじゃあ、お願い」
「はいはーい。貴方も不運ね。まあ、コウが護衛している商隊を襲ったのが間違いだったと思って諦めてね」
 ミツキがそう前置きをしてから、トンと右手の人差し指でリーダーの額に触れた。

 その一瞬で、それまで余裕な表情をしていたリーダーが、焦りの表情を浮かべた。
「・・・・・・何をした?!」
「何をって、貴方にかかっている障壁やらその他もろもろを壊して、普通の状態にしただけよ」
「ば、馬鹿な・・・・・・!! そのようなこと、出来るはずが・・・・・・」
 慌てるリーダーに、ミツキは肩を竦めて答えた。
「信じる信じないは好きにすればいいけれど、今そうして感情を揺らしているだけで、成功していると思うけれど?」
 ミツキの突込みに、リーダーはハッとした表情になる。
 何か思い当たることがあったのだろう。
「ついでに、聞かれたことに素直に答えたくなるような暗示もかけておいたわ」
 はっきりと焦りの表情を見せるリーダーを見たあと、ミツキは更に両脇にいるお仲間二人にも視線を向けた。
「そう言えば、仲間外れは可哀想だから、こっちの二人も同じ状態にしてあげるわ」
 そう言って、リーダーの時と同じように二人の額に、トントンと触れる。
 たったそれだけの作業で、ミツキの作業は終わりだ。
「はい。終わり」
 そう言ってミツキは考助へと視線を向けた。

「ご苦労様」
「大して疲れていないわよ。大した障壁でもなかったし」
 肩を竦めてそう言うミツキに対して、襲撃者たちは恨みのこもった視線を向けている。
 かなり殺気立っているが、ミツキはそよ風ほどの圧力も受けていない感じだった。
「・・・・・・そう言うわけです。レネーさん、好きに質問していいですよ」
 それまでの成り行きを呆然と見守っていたレネーに、考助はあっさりとそう告げる。
「あ、ああ・・・・・・。私が質問しても大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。ねえ?」
 考助がそう答えつつ、ミツキを見た。
「ええ。この場に居る者ならだれでも構いません」
「そ、そうか。それじゃあ、遠慮なく」
 あっさり答えたミツキに、若干引き攣った笑みを浮かべたレネーだったが、すぐに襲撃者へと向き直った。
 ミツキのことを考えるよりも、今は襲撃者のことを優先することにしたのだ。

 その後のことは順調に進んだ。
 ミツキの言う通り、襲撃者たちはレネーの質問に素直に答えて言ったのだ。
 と言っても、襲撃者たちも大した情報は持っていなかった。
 相手の方もそれなりの警戒をしているという事だろう。
 直接襲撃を依頼した物に繋がるような情報は全く持っていなかったのだ。
 精々が依頼を受けた組織名が分かったくらいだ。
 その組織は、元々後ろ暗い依頼を引き受けているという噂のある組織だった。
 どう言った経路でその組織に依頼が舞い込んだのかは、組織の上層部でないと分からないのだ。

 これ以上を問い詰めても意味がないだろうという所で、襲撃者たちとのお話し合い(尋問)は終わりとなった。
 今以上の情報が得られるとは思わないが、彼らは襲撃があったことの重要な証拠となる。
 だが、彼らをどう使うかはレネーが関知する所ではない。
 一応、折角生きたまま捕まえたので、次の町まで運ぶつもりでいるが、彼らは警備兵に渡すことになるだろう。
 もしこの襲撃に関わっているのが高位の人間であれば揉み消しもあり得るが、そこまでの責任はレネーには無い。
 一介の行商人に軍相手の交渉をするというのが無茶なのだと、レネーは笑っていた。
 勿論、襲撃があったことは、依頼を受けた商人ギルドにも伝えるが、レネーとしてもそれ以上のことは何もできない。
 考助としても、今の護衛依頼をさっさと終わらせることが出来ればそれでいいと考えている。
 結局、それぞれが余計なことに首を突っ込みたくないと思っているのであった。
ミツキがチートパワーを使って、あっさりと問題を解決しました。
結局、詳しいことは何もわかっていません。
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