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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 タウゼン王国編

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(3)依頼終了

 考助達がサウリの街の公的ギルドへと戻ると、早速食堂でたむろっている冒険者達がからかうような声を掛けて来た。
「おいおい。三つも選んでおいて、もう諦めたのか!?」
「女にいいとこ見せようとして、背伸びしてるんじゃねーぞ!」
 何人かが似たり寄ったりの事言って来たのだが、昨日も同じようにこの場所でたむろっていたのだ。
 コウヒとミツキという、忘れられないような美女二人のおかげで、しっかりと記憶に残っていたようだ。
 依頼を三つ選んでいたことを知っているのは、その噂がしっかりと広まっているおかげだろう。

 そんな声が沸き上がる中、考助達はそれらの一切を無視してカウンターへと歩を進めた。
「依頼が完了したので受け付けてもらえますか?」
「はい。畏まりました。依頼表と討伐部位をお願いします」
 営業スマイルを浮かべる受付嬢に対して、考助は首を傾げた。
「三つ同時でいいんですか?」
「・・・・・・は?」
 ピシリと受付嬢の笑顔が凍り付いた。
「いえ。三つ同時に受けて討伐して来たので、いっぺんに出していいのですか、と聞いたのですが?」
 今回対応した受付嬢は、考助達が依頼を受けた時の受付嬢とはまた別の人物だったのだ。
 そのため、考助達が三つ同時に依頼を受けていたと知らなかったのだろうと考助が、わざわざ確認を取った。
「しょ、少々お待ちください」
 考助の言葉に、その受付嬢は慌てた様子を見せてすぐに他の同僚に確認を取りに行った。

 受付嬢の会話は、流石にカウンターまで聞こえないように声が抑えられていたが、それでも会話の端々が聞こえてきていた。
 確かに、○○が受け付けてた、とか、ほんとに達成するとは、とかカウンターにいる考助達にはほぼ丸聞こえだった。
 ほんの数分、そんな会話を交わしたのち、受付嬢は笑顔を張り付けてカウンターへと戻って来た。
「確かに、受け付けていることを確認いたしました。問題ありませんので・・・・・・あっ!」
 突然声を上げた受付嬢に、考助は驚いた表情をした。
「・・・・・・どうしました?」
「い、いえ。申し訳ありません。この場所に出していただくには狭すぎますので、別の場所へ来ていただいてよろしいでしょうか?」
 それを聞いて、依頼を確認していた受付嬢が、達成条件を確認して慌てたのだと考助は納得した。
 依頼の一つに、討伐したモンスターの死体全てを望む、というのがあったのだ。
 ちなみに、ナナと考助で達成した依頼だ。
 アイテムボックスなど持っていない冒険者のために、数が少なくなっていたのだが、それでも依頼分の数を持ち運びするとなると重量がかなりあるので、敬遠されていた依頼だったのだ。
「分かりました。案内してもらってもいいですか?」
「畏まりました」
 そう言った受付嬢は、すぐ傍にいた同僚に一言声を掛けて、考助達の案内を始めた。
 その後に声を掛けられた同僚が席に付いていたので、その辺りのフォローはしっかりしている窓口なのだろう。
 そんな様子を見ながら、考助達はギルドの建物の裏側へと通されるのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 依頼達成のために討伐したモンスターを出すと、受付嬢は目を丸くして驚いていた。
 アイテムボックスの魔法を気楽に使ったのもそうだが、この周辺では何組かのパーティを組んで討伐するようなモンスターがゴロゴロと出て来たのだ。
 当然と言えば当然の反応だった。
 依頼上は確かにそれだけの数を討伐するように指示されているのだが、この場で全てのモンスターが出てくるとは考えていなかったのである。
「しょ、少々お待ちください。すぐに担当と確認いたします」
 受付嬢はそう言ってその場を離れ、すぐに一人の男性を引き連れて戻って来た。
 彼がこのギルドでの鑑定士なのだろう。
 その鑑定士も山となっているモンスターを見て、目を丸くしていた。
「これはこれは。久しぶりに腕がなるな」
 それだけ言って、すぐに仕事に取り掛かった。

 考助達が受けた依頼は、普通複数のパーティで組んで達成する物になる。
 そうした時は、大抵が馬車で荷運びして街の外で処理されるので、今回の考助達のように大量のモンスターをここまで持ち込むという事はほとんどないのである。
 当然鑑定士は、考助達がアイテムボックスの魔法を使えることに気付いているが、そこを突っ込むようなことはしてこなかった。
 自分の仕事には関係のないことだと思っているので、余計なことは聞かないようにしているのだ。

 鑑定士が淡々と仕事を進める中、受付嬢もまた依頼の確認を行っていた。
「依頼内容と相違がないようなので、依頼達成の受理をしたいと思います。事務手続きは中で行いますので、戻っていただいてよろしいでしょうか? 査定結果は後ほどお知らせします」
「ああ。それで構わないよ」
 依頼の達成処理さえしてもらえれば、素材が丸ごと奪われたとしても特に腹が痛まない考助はあっさりとそう言った。
 中にはごねる冒険者もいるのだろう。
 ホッとした表情を見せた受付嬢は、考助達を連れ立ってカウンターへと戻るのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助達が建物内へと戻ると、昨日声を掛けて来た冒険者が食堂にいた。
 外に行っている間に、やって来たのだろう。
「お? なんだ。一昨日の奴じゃないか。もうあきらめたのか?」
「いえいえ。ちゃんと達成してきましたよ?」
 首を振りながらそう言った考助に、その冒険者は表情を凍らせた。
「・・・・・・はっ!? いやいや、それはないだろう? 冗談だよな?!」
 その台詞は、いくらなんでもCランクの依頼三つをこんなに早く解決するはずがないという思いが込められている。
 だが、考助は首を振ってはっきりと否定した。
 ここで変に遠慮をしても良いことが無いと分かっているのだ。
「いえ。冗談ではなく、ちゃんと達成しましたよ。今、受付嬢に確認してもらったばかりです」
「ま、マジかよ?! ・・・・・・ホントにか?」
 最後の「ホントにか」は受付嬢に向けた言葉だ。
「ええ。本当の事です」
 事務処理をしていた受付嬢は、短くそれだけを答えた。

 その答えを聞いた冒険者は、真顔に戻って頭を下げた。
「すまん」
「え? 何ですか、突然?!」
 いきなりの行動に、考助が焦った。
「一昨日は完全に無理だろうと思ってたからな。侮って済まなかった、と」
「いや、いいですよ、そんな事。見た目で背伸びして見えるのはしょうがないと思っていますから」
 穏やかにそう言う考助に、その冒険者はホッとした表情を見せた。
 彼が特に考助達を見下した言動をしていなかったからこそ許していることもある。
 勿論、そんなことをわざわざ言ったりはしない。
 自分達が周りから見れば、かなり異質に見えることはちゃんと自覚がある。
 以前の事もただの忠告だと分かっていたからこそ受け入れていたのだ。
 今の会話でも、目の前の男が良い人物であることは分かる。
 荒くれ者が多い冒険者の中で、こういう風にきちんと頭を下げられる人物は中々に貴重だったりするのである。

「コウ様、処理が終わりました」
 そんなことをしていると、受付嬢が声を掛けて来た。
 ギルドカードに今回の依頼分の処理がされていることを確認した上で、しっかりと受け取った。
 受け取るカードは、考助だけではなくコウヒやミツキの分もある。
「ありがとう」
「いえ。それで、次の依頼はどうされますか?」
 いかにもやってほしい依頼があると期待するような表情で見て来た受付嬢に、考助は首を振った。
「明後日にでもこの街を出て西に進みたいと思います」
「そうですか」
 あっさり引き下がった受付嬢に、考助は内心で首を傾げた。
 てっきり護衛依頼辺りを受けるように言って来ると思っていたのだが、全くなかったことに疑問に思ったのだ。
 もっともこれは受付嬢側にも事情がある。
 タウゼン王国の街道は、比較的安全な道が多いので護衛依頼もさほど高いランクは求められていないのだ。
 そのために、無理に依頼を勧めることは無かったのである。

 結局、コウヒやミツキにとって準備体操代わりの討伐依頼を完了した後は、サウリの街並みを楽しんですぐに次の街へと向かうのであった。
さっくりと依頼を終わらせました。
と、考助達は思っていますが、サウリの街でのことはしっかりと他の町に伝わっていきます。
それはまた次回以降の話です。
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