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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 タウゼン王国編

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出発

今章は、ちょっと長めになる予定です。
 考助が考えた魔力供給施設は、トワの卒業に合わせて本格始動することになった。
 あくまで今のところは理論でしかないとはいえ、考助は既に成功すると確信している。
 イスナーニには、設置すべき施設や理論など細かい所まで伝えてある。
 それを聞いたイスナーニも大丈夫だろうと太鼓判を押していた。
 結局、施設そのものはラゼクアマミヤが国家施設として運用していくことになった。
 それらの施設で出来た魔力を各種ギルドやクラウンが買い取って使用するのだ。
 勿論、一般家庭でも魔力を使う事もあるのだが、間にクラウンやギルドが挟まって大口で買い取ることになっている。
 そこからさらに一般家庭に分散していくのである。
 ちなみに、魔力を送ったり受け取ったりする方法は、物理的に線で繋がることになる。
 魔力伝道の高い素材を使って作るのだが、それは比較的安価に作成が可能なのだ。
 問題があるとすれば、魔力に反応してモンスターが攻撃(?)を加えてしまう事だ。
 とはいえ、街中でモンスターが出ることは無いので、大した問題ではない。
 逆に町中でモンスターが出るようだと、魔力がどうのと言っていられる問題ではなくなっている。
 各所で使う魔力は、国家が統括していくことになるのだが、その責任者としてトワが任せられることになった。
 学園を卒業したトワは、いきなり責任重大な仕事を与えられたことになる。
 とはいえ、学園の運営で実績を作って来たトワを不安視する者がいないのも確かであった。

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 そうした周囲の状況とは裏腹に、考助は大仕事を終えてのんびりした時間を過ごしていた。
 理論を構築しただけで考助の手を離れたのは、周囲からの要望があったからだ。
 施設が実際に街にできるまで考助が口を出すより、人の手で最初から最後まで実現したほうがいいと言われたのだ。
 考助自身もその意見には賛成だったので、今では完全に考助の手から離れた状態になっていた。

 大仕事を終えた考助が、くつろぎスペースでナナの背中を撫でながらのんびりしていると、女性陣が全員そろって部屋に入って来た。
 それこそ忙しいはずのフローリアまでいたことに、考助はびっくりしていた。
「全員そろってどうしたの? 今忙しいんじゃなかった?」
 最後の問いは、そのフローリアに向けた物だ。
「何。大型施設に関しては、トワに任せているからな。少しぐらい私が離れたところで問題ない」
 きっぱりとそう言いきるフローリアに、考助は「そうなんだ」と返した。

「それよりも。ちょっとした提案があるのだ」
 女性陣を代表して、シュレインがそう言って来た。
「提案?」
「うむ。ここしばらく中々に忙しくしていただろう? 休暇を取ってもらおうと思っての」
 突然の提案に、考助は目をぱちくりとさせた。
「休暇? 十分休んでいるけど?」
「考助はそうかもしれないけれど、コウヒやミツキはどうかしら?」
 コレットがそう言って、二人に視線を向けた。
 突然話をふられたコウヒとミツキは、いきなりの事に戸惑った表情になっている。

 一方で、女性陣の言いたことを察した考助が、納得して頷いていた。
「なるほど。確かにそうかもしれないな」
 考助の子供が生まれたことで、コウヒがそちらの方に付きっきりになっていたこともあって、ミツキが一人で考助の護衛役をしていたこともある。
 コウヒとミツキが忙しかったのは間違いないだろう。
「そうよね。だから、今回の休暇は考助よりも二人の休暇という事でどうかしら?」
「確かに、それは良いな」
 コウヒとミツキが何か言うよりも早く、考助がさっさと同意してしまった。
 こういう時は二人に任せると、間違いなく遠慮することはこれまでの付き合いで分かっている。
 さっさと考助が決めてしまった方が話が早いのだ。

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「しかし、休暇ね。・・・・・・何をしたらいいのかな?」
 コウヒとミツキに休暇を与えると言っても、二人は絶対に考助の傍を離れようとはしないだろう。
 そうすると出来ることが限られている。
 何をすればいいのか分からずに、考助は首を傾げた。
 だが、その様子を見て、女性陣が助け舟を出して来た。
 考助がこうなるだろうと見越していて、最初から決めていたことがあったのだ。
「折角ですから、アマミヤの塔を離れて旅行でもしてみたらどうでしょう? 護衛の負担を減らす意味を含めてナナも一緒に連れて行って」
 シルヴィアの言葉を聞いて、考助は腕を組んで考え込んだ。
 何だかんだであちらこちらに旅をしたりしているが、確かに考えてみれば他のメンバーも一緒に行ったりしている。
 思いだしてみれば、コウヒとミツキの二人だけで一緒に旅をしたのは、アマミヤの塔を攻略する前くらいかもしれない。
 ナナを連れて行くのは、三人だけの会話を邪魔しないという意味合いも含んでいるのである。

「なるほど。旅行ね。確かに良いかもしれないな」
 考えれば考えるほど良い案に思えてくる。
 そう思えるのは、考助が女性陣に影響を受けているせいかもしれないが。
 考助が完全に旅行へと気持ちが傾いているのを見て取ったのか、非常に珍しいことにコウヒが意見を出して来た。
「旅行になさるのでしたら、私はガゼンランの塔に行ってみたいです」
 コウヒの言葉に、考助は一瞬虚を突かれた表情になり、次いで笑い出した。
「ガゼンランの塔ね。また懐かしいことを」
 考助だけではなく、ミツキも楽しそうな表情になっていた。
 他のメンバーは、意味が分からずに首を傾げたりしている。

 そんな女性陣に、考助が最初の言い訳に使ったことを話した。
 それを聞いた女性陣も面白そうな表情になっている。
「まあ、シュミットには気づかれているみたいだけれどね」
 長い付き合いになるシュミットは、最初に使った言い訳がただの言い訳だと察している様子がある。
 だが、考助が既に現人神になるという突拍子もない状態になっているので、もはやどうでもいいと思っているのだ。
 特にその時の話をシュミットから切り出すようなことはしていない。

「ミツキはどう? それでいい?」
「勿論いいわ。どうせだったら、色んな所で食事もしてみたいわね」
 ミツキの意見は、旅の王道の楽しみ方の一つだ。
 考助自身もこの世界のいろんな料理を食してみたいという気持ちもある。
「ガゼンランの塔があるのが西大陸だから、丁度いいだろうな」
 これまで考助は、西大陸に行ったことはない。
 大陸が変われば食文化も変わるだろうから、ミツキも十分楽しめるだろう。

「それじゃあ、休暇の内容はこんなもんでいいかな?」
「はい。いいです」
「いいと思うわ」
 考助の確認に、二人が同意して休暇をとることが決定した。

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 今回の旅行で行くのは、考助・コウヒ・ミツキの三人に合わせて、ナナが付いて行くことになった。
 ナナが付いていれば、戦闘に関わる大抵の事は問題がないので、護衛の役目も兼ねている。
 コウヒとミツキを少しでも護衛の役目から離れさせるためのものだ。
 とはいえ、二人が完全に護衛の役目を忘れることは無いだろうが。

「それじゃあ、行って来る」
 管理層の転移門の前で、考助がシュレインにそう言った。
 見送りに来ているのはシュレインとコレットの二人だ。
「楽しんでくると良い」
 今回の目的は、コウヒとミツキの慰労なのだ。
「分かっています」
「当然よ」
 コウヒとミツキがそう答えた後、考助達は転移門を使ってその場から消えた。
 この後は、西の街から船を使って移動する予定になっている。

 三人が管理層から消えると、その場は一瞬静寂に包まれた。
 管理層の主がいなくなっても塔の動きが止まることは無い。
 そうしてシュレインとコレットもいつもの作業に戻るのであった。
はい。遂に出てきました。
といってもしばらくガゼンランの塔にはいかない予定です。
折角なので、西大陸の紹介も兼ねて、観光でもしようかと思っています。

この作品で初めての観光話になるか?! ・・・・・・タブン。
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