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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2部 塔のあれこれ(その9)

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(7)修行(ココロ)

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わぁ━━ヽ(●´∀`)○´∀`)ノ━━ぃ!!

ここまで来れたのもいつも見ていただいている皆様がいらっしゃるからです。
ありがとうございます。
 管理層にある一室で、ココロが座禅を行っていた。
 今行っているのは、神具に頼らなくても神の力を感じ取れるようになるための物だった。
 既にココロは、考助作の神具を使ってクラーラと交神することは、問題なくできるようになっている。
 だが、それはあくまで神具という補助があってのことだ。
 道具に頼るのが駄目とは言わないのだが、巫女や神官としての本質は、自らの力で神の意思を感じ取れるようになると言うのが本分である。
 当然、シルヴィアも同じような修行を未だに行っている。
 今は娘の修業の様子を見守っているのだが。

 ココロが現在修行をしている部屋は、元々シルヴィアが修行をするために作った部屋である。
 その部屋は、第五層にある神殿やミクセンの神殿と同じように、神域へと通じる道があるため神の気配が漂っているのだ。
 巫女の修業の場所としては、最高の環境と言って良いだろう。
 もっとも部屋の大きさは、さほど大きいわけではない。
 五メートル四方のがらんとした空間が広がっているだけだった。
 それでも一人の人間が修行する場所としては十分な広さだろう。
 本来であればもう少し小さくても良かったのだが、神域への道をつなげるためにはどうしてもそれくらいの空間が必要だったのだ。
 こればかりは考助にもどうすることもできなかったのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ココロの様子を窺っていたシルヴィアは、室内に入って来た考助に気付いて目を丸くした。
 修行中に考助がこの部屋に入ってくることはほとんどないのだ。
 現人神である考助が入ると、修行にどんな影響を与えるのか予測が出来なくなるためである。
「・・・・・・どうかしましたか?」
 集中しているココロに気を使って、シルヴィアは小声になっている。
 考助はそんなシルヴィアに、右手の人差し指を口の前に持ってきて静かにするように示した。
 その意味を悟ったシルヴィアも、そのまま黙って視線をココロへと向ける。

 そんな中、集中しているココロは、考助が部屋に入ってきたことには気づいていなかった。
 今いる部屋に漂う神気を探るのにいっぱいいっぱいだったのだ。
 未だに、神気を探るのは上手くいったためしがない。
 神具やシルヴィアの補佐があれば探り当てることが出来るのだが、一人になると途端に見つけられなくなってしまうのだ。
 シルヴィアからは、基本的には神具を使う時と同じことをすればいいと言われているが、どうしても上手くいかない。
 ココロ自身としては同じようにやっているつもりなのだが、何度やっても駄目なのだ。

 今日もダメかとココロが諦めかけたその時、いつもと違う「何か」を感じた。
 それは、クラーラとの交神をするときに感じているような気配と同じようで、全く違うような不思議な感じがした。
 だが、その気配はどこか懐かしい感じがする。
 普段から感じているような、とても身近な気配だった。
 何の気配だろう、と一瞬考えたのだが、すぐにそれがの気配か察することが出来た。
 ココロにとっては、一番身近な神の気配。
 それは紛れもなく彼女自身の父親の気配だ。
 普段の考助は、神気を抑え込んで生活をしている。
 そのため、ココロが考助の神気を感じ取るのはこれが初めてだった。
 それでもすぐに誰の神気か察することが出来た。
 初めて感じるはずなのに、とても身近な気配にココロの中にとても満たされるような感覚が広がって行った。

 その直後だった。
 考助の神気のすぐ傍に、別の神気があることがわかった。
 それは一つだけではなく、いくつもの気配がある。
 今まで感じられなかったのが不思議なほどはっきりと感じ取ることが出来た。
 それらの神気を感じ取ると同時に、それらが別の神々の神気だと察することが出来た。
 ココロにとっては、考助の次に身近な神であるクラーラ神の気配もある。

 やった、出来た、と心の中で叫んだ瞬間、パンという手のひらを合わせる音がした。
 ココロがハッと目を開けると、目の前に両手を合わせたシルヴィアと笑みを浮かべている考助がいた。
「よくやったね」
 未だに精神統一していた時の感覚が抜けていないココロの頭を、考助が右の掌でぐりぐりと撫でまわした。
「ココロ、立てる?」
「え? ・・・・・・あっ?!」
「おっと・・・・・・」
 シルヴィアに言われて立とうとしたココロだったが、完全に立ち上がる前に膝から崩れ落ちてしまった。
 それを予測していた考助は、ココロが転げる前に左手で支える。

「まだ無理はしない方が良い。今日はこのまま休んだ方がいいな」
「そうですわね」
 考助の言葉に、シルヴィアも同意して頷いた。
「あっ、お父様、少し待って」
 そう言ってもう一度目を閉じようとしたココロの頭を、考助はコツンとたたいた。
「こら。人のいう事は聞きなさい。今日はもうこれ以上は駄目だ」
「でも・・・・・・」
 ココロは、折角感じられた気配にどこか勿体ないような感じがして後ろ髪が引かれるように感じているのだ。
「大丈夫ですよ。一度でも神気を感じ取れたのですから、次からも感じ取れるわ」
「ホント?」
「ええ」
 首を傾げたココロに、シルヴィアも断言するように頷く。

「じゃあ、今日はもう休む」
 ココロがそう言うと同時に、考助がひょいとココロの身体を持ちあげた。
「えっ?!」
 突然のことに、ココロはびっくりして考助の顔を見た。
「今の状態だと、歩くこともままならないだろう? このまま運んであげる」
「うん!」
 久しぶりのことに、ココロも嬉しそうに頷くのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 今日はこのまま夕食までベットの中で大人しくしているように、とココロに申し付けた考助は、そのままとんぼ返りをして修行部屋に戻って来た。
 隣にはしっかりとシルヴィアもついてきている。
 修行部屋に入って扉を閉めるなり、考助はため息を吐いて言った。
「はあ~。いくらなんでも大盤振る舞いしすぎじゃない?」
 考助のその言葉に、シルヴィアは目を瞬いた。
 ココロの邪魔にならないように、シルヴィア自身は神気を探ったりはしていなかったのだ。
 そのため、今この部屋がどういう事になっているのかは、分かっていないのである。

 シルヴィアが不思議に思うのと同時に、周辺からクスクスクスという笑い声が聞こえて来た。
 しかもその笑い声は一つだけではなく複数だった。
 場所が場所なら軽くホラーだったりするのだが、正体がわかっているので考助もシルヴィアも気味悪がったりはしない。
 それにシルヴィアはそれどころではなく、声の多さに顔が青くなっていた。
『いいじゃない。貴方の子が初めて繋がることが出来たのよ。皆、興味津々なのよ』
 複数いる声の中から代表して答えたのは、ジャルだった。
「はあ。全く・・・・・・。それならそうと、最初から言ってくれればいいのに」
『だって、それじゃあ面白くないじゃない?』
「・・・・・・エリスも止めてくれればよかったのに」
『無理です』
 考助の恨み節に、エリスも即答して来るのであった。

「あ、あの・・・・・・。一体、どなたが来て・・・・・・いえ、どれくらいいらっしゃっているのですか?」
 今の修行部屋は、シルヴィアでさえ正確には数えることが出来ない程の数の神気が漂っている。
 ココロが真っ先に感じ取ることが出来たクラーラ神はもとより、三大神から始まってシルヴィアでさえ感じたのが初めての神気まであった。
 シルヴィアの問いに、考助は肩を竦めた。
「さあ? 百は繋がっていないと思うけど、正確な数までは数えていないよ。聞いてみる?」
 考助が聞けば、神々はきちんと答えてくれるだろう。
 だが、シルヴィアは首を左右に振って拒否した。

 シルヴィアがこう言う態度になっているのも無理もない。
 神具の補助なしに神の気配を感じ取ることが出来る、ということは、加護を得ることが出来る可能性がある、というのに等しい。
 逆を言えば、今この場に居るだけの数の神々が、ココロに加護を与えたがっているとも言える。
 予想以上の事態にココロの先のことを考えて、シルヴィアが青くなるのも当然なのであった。
実は、動物園の檻の中にいる動物状態だったココロでしたw
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