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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2部 塔のあれこれ(その6)

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(3)ウインドタイガー

※活動報告でのアンケートは引き続き募集中です。
日曜日までの予定。
 この十年で塔にも変化があった。
 変化があったのは、四属性の塔のうちの一つである。
 前に塔のLVアップをしてから既に十年が経っているが、ようやくその塔LVが上がった。
 それぞれのメンバーが忙しくなって、塔の管理に関わっている時間が少なくなっているのも理由の一つだろうが、条件が全く分からないために時間がかかっていたのだ。
 メンバーの中では比較的時間が空いているハクが考助の所に来たのは、つい先日学校の設立について話をしたばかりの頃のことだ。

「お父様。塔が進化した」
 朝食の席で、さらっと重要なことを言われた考助は、思わず話を聞き流すところだった。
「え!? ほんとに?」
「うん。今朝確認したら上がってた」
 この十年、全く上がらなかった塔LVに変化が起きたと聞いて、考助のテンションが上がって来た。
「ご飯食べ終わったら、後で確認しに行くよ」
「わかった。でも、特に詳しいことは書かれていなかった」
「それでもいいんだよ。まずはきちんと現状を確認しないとね」
「うん」
 ハクが頷いたところで、まずは朝食を片づけることにした。
 食器の片づけは、コウヒ&ミツキ作のメイドゴーレムに任せて、考助はミツキとハクを連れて北西の塔の制御室へと向かうのだった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「おー。ほんとだ。上がってる」
 十年も変化が無かったために、考助は思わず感嘆の声を上げてしまった。
 ところが、ハクがそれを勘違いしたのか、少しだけむっとした表情になった。
「ハクは、嘘ついてない」
「あー、いや、ゴメン。そういう事じゃないんだよ」
 思わず表情を崩した考助は、ハクの頭をぐりぐりと撫でた。
 猫のように目を細めながらそれを受け入れていたハクは、ちょっとだけ首を傾げた。
「どういう事?」
「んー。長い間、上がってなかったから驚いたんだよ」
「長い? たったの十年なのに?」
 ハクの感想に、考助は思わず苦笑した。

 ドラゴンであるハクは、長寿の種族だ。
 時間に関する感覚は、ヒューマンとは大幅に違っている。
 もっとも、この場合はハクがおかしいのではない。
 現人神である考助も、既にヒューマンと比べて遥かに長い寿命を持っているのだ。
 下手をすれば、寿命自体が無い可能性もある。
 その辺りは怖くて確認していないのだが。
 それはともかくとして、種族(?)的に時間の感覚がずれているのは、考助の方なのだ。
 とはいえ、現人神になってからまだ十年しか経っていない考助が、その寿命の違いを感じるのはまだ先のことだろう。

「元ヒューマンだった僕としては、十年は長く感じるんだよ」
「そうなの?」
「そうなの。まあ、それも少しずつ変わっていくのかもしれないけどね」
「ふーん」
 少しだけ寂しそうになった考助に、それをきちんと察知したハクはそれ以上突っ込んでくることは無かった。

「それよりも、塔。何かわかった?」
 露骨に話題を変えたことは分かったが、考助もそれには触れずに有難くその話題に乗っかることにした。
「いや。特には分からないな。何か変わったことをやったわけではないんだよね?」
「うん。いつもと変わらない・・・・・・あ」
「何? 何かあったんだったら教えて」
 ハクは首を傾げつつ答えた。
「昨日、新しい種族の眷属を確認した」
「新しい種族? 進化したの?」
「よくわからない」
 考助の問いかけに、ハクは首をコテンと傾げた。
 当然ながらハクは、考助のように左目の力があるわけではない。
 種族を確認するための魔道具はあるが、毎回持って行っているわけではないので、そこまで確認はしていなかったのだ。

「それもそうか。それじゃあ、その新しい種族を確認しに行こうか。案内してくれる?」
「わかった」
 ハクはコクリと頷いて、昨日確認した場所へと向かうのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ハクが管理している北西の塔に限らず、他の塔でも既に召喚できる眷属のほとんどを召喚している。
 同じ階層に複数種類の眷属たちを召喚しても、眷属同士で争いを起こすことはほとんどない。
 ただし、餌用の召喚陣を置き忘れた場合、即ち餌が無くなった場合はその限りでは無いようだった。
 一度だけ、ゴーレムに餌の設置の指示を忘れたことがあるのだが、その時に確認したら周辺で狩れるモンスターの餌場を巡って一触即発の状態になっていた。
 その後、きちんと召喚陣を設置するようにしたところ状況が改善したので、ホッとしたことがあるのだ。

 アマミヤの塔でもほとんどすべての召喚を行っているのだが、その際に分かったのが眷属にした全てのモンスターが進化するわけではないという事だった。
 召喚した環境が悪いのか、例え<神水>を置いたとしてもいつまでたっても進化しない種がいたりしたのだ。
 そう言う意味では、初期のうちに狼や狐達が進化をしたのは、僥倖だったといえるだろう。
 もっとも考助の感覚では、何処の環境にでもいそうなモンスターであれば、進化はしやすいという感触はある。
 限定された環境にしかいないモンスターをその環境とは全く違う環境に置いても進化はしないという事だ。
 例えば、砂漠にしかいないような種を、森林に召喚したとしても生き延びることは出来ても進化まではしないのだ。
 この十年で、色々なパターンを試して分かったことである。
 ただし、それが絶対の正解であるかどうかは断言はできない。
 更に長い年月、あるいは代を重ねていくごとに環境に適応していく可能性もあるからだ。
 そのこときっちりと確認するためには、それこそ長い年月が必要になるだろう。

 ハクが考助達を連れて来たのは、ヘルタイガーがいる階層だった。
 もともとヘルタイガーが進化をして、ホワイトタイガーという種は出ていた。
 ハクが確認したところ、それらとは別の種に思えるタイガーが眷属として出現していたという。
 ちなみに、眷属かどうかを見分けるのは簡単で、管理者が近づいてきて襲ってこないのが眷属である。
 眷属たちがどういう見分け方をしているのかは不明なのだが。

 タイガーたちが群れている場所で、ハクがある一か所を差した。
「あれ」
 考助が、ハクの指している個所を確認すると、確かに周囲にいるタイガーとは違う毛色をしたタイガーが混じっていた。
 すぐに左目で種族を確認した。
「どれどれ? ・・・・・・ああ、確かに新しい種族かもね。ウインドタイガーだって。そんなのいたっけ?」
 考助の疑問に、ハクが首を振った。
「いない。タイガー種はヘルタイガーとホワイトタイガーだけ」
「そうか。じゃあ、やっぱり新しい種族だね」
「ということは、進化が条件?」
「うーん。それはまだ微妙だな。今までも進化していた種はいるわけだし。もうちょっとちゃんと確認しないと」
「そう」
 考助がそう説明すると、ハクは納得したように頷いた。
 実際に今までも、北西の塔に限らずどの塔でも眷属の進化は起こっている。
 だが、塔LVは上がっていないのだ。
 進化以外にも何か条件がある事は間違いないだろう。
 それはこれから調べていくしかない。
 そもそも、本当にウインドタイガーが塔LVの上昇に影響したかも確定はしていないのだ。

「まあ、それはともかく、これでレベルアップしたんだから色々試すことが増えたよね」
「うん」
 塔のLVアップによって設置物が増えているのだ。
 これでさらに試せることが増えたことになる。
 ハクも考助も時間はあるのだから、これからもゆっくりとやって行けばいい。
 頷くハクを見ながら、考助はそんなことを考えるのであった。
久しぶりの塔LVアップでした。
相変わらずLVアップ条件は不明のままです。
ちなみに、考助が管轄していない他の塔でも条件が分からないためにLVアップが止まっています。
さらに、代々引き継ぐうちに、塔LVが上がることすら分からなくなっている塔もあります。

※管理者の引継ぎが起こると、LVなどは引き継ぎますが、ログデータは消えるようになっています。
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