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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2部 塔のあれこれ(その4)

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(6)進化と加護

 考助はふと思い出したように、目の前にいるジャルに質問した。
「そう言えば、未だに眷属たちに神々の名前が付いた称号が増えているけど、大丈夫なの?」
 最初の頃は<○○の加護>だったり<○○の祝福>といった加護だけがついていたのだが、最近ではよくわからない物も増えて来ていた。
 <○○のいたずら>はその最たるものだろう。
 名前からすれば、どちらかと言うと呪いのように思えるのだが、そんな事はなかった。
 最初見つけた時に、驚いて問い合わせたのだが特にそのようなことは無いという返事が返って来て安心したものである。
 そもそもそう言う意味では、加護自体も負の側面はあるのだ。
 加護が原因でアマミヤの塔に来ることになったフローリアが、負の効果を受けた事例としては分かりやすいだろう。
 それに、称号を受けた本人が負の効果を受けることもあれば、称号の力を使って相手に負の効果を出すことが出来ることもある。
 結局、称号を授けられた者の使い方次第という事なのだ。

 それはともかくとして、眷属たちに神々の名前が付いた称号が未だに増え続けている。
 考助がアマミヤの塔の管理者になってから既に四年以上が経っているのに、眷属たちにはどんどん称号が付いて行っているのだ。
 最近は、アマミヤの塔では眷属たちの召喚はほとんど行っていない。
 自然増加で各階層の眷属たちが増えることはあるが、モンスターの討伐や寿命などで倒れてしまう眷属もいるので、眷属の数自体はほとんど変わっていないのだ。
 それにもかかわらず、称号が増えて行っているという事は、当然ながら称号持ちの眷属が増えて行っているというのと同じ意味だ。
 考助の質問は、それで神々の運営(?)としては大丈夫なのかと言う意味だった。

「勿論、問題ないわよ。というか、問題があればそもそも加護なんてつかないしね」
 ジャルはあっさりとそう答えた。
 ちなみに、神々が「加護」と言う場合は、広義の意味で神々の名前がついた称号全てを差して言っている。
 神々にしてみれば、<○○の加護>も<○○のいたずら>も同じ意味で加護なのである。
「そうなの?」
「そうよ。前にも言ったと思うけど、条件が揃ってないといくら頑張っても加護は付けられないから。条件が揃っている時点で問題が無いという事よ」
「なるほどね」
「付ける加護によって条件が緩かったりするから。最近はそういう加護の方が多いでしょう?」
 そう言って首を傾げたジャルだったが、逆に考助も首を傾げた。
「そうなの?」
 条件が緩い加護と言われても、どの称号がそれにあたるかが分からないのだ。
「そうなのよ。いたずらの加護なんかが分かりやすいんじゃないの?」
「ああ、なるほど」
 付け加えると、条件が緩い加護は授けるためのコストが安いという利点もある。
 早い話が神格の低い神々でも容易に加護を授けることが出来るのだ。
 だからといって神格の低い神が、コストの高い加護を授けられないというわけではない。

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「条件が緩い加護だからと言って、進化に対する影響が弱くなってるとは限らないみたいだけど、それはどういう事?」
「さあ? 流石にそれは私も管轄外。アスラ様なら分かるんじゃないかな?」
 考助は、同じ部屋にいたアスラに視線を向けた。
 そのアスラは、少しの間首を傾げて答える。
「恐らくだけど、加護の強さと進化は関係ないと思うわよ?」
 これには考助は目を丸くした。
 今の今まで加護の強さが進化に関係していると思っていたのだ。
「そうなの?」
「ええ。だって、もともと上位種で生まれてくる生体は、必ず加護が付いているわけではないでしょう?」
「あ、そうか・・・・・・」
 今更な事実を言われて気付いた考助は落ち込んだ。
 考助の眷属で番の関係にある者達からは、普通に子供が生まれている。
 その子供たちは、考助の仮の眷属の状態だが親と同じ加護が付いているというわけではないのだ。
「いや、でも待って。同じ名前の個体で進化するには、加護が付いてた方が進化しやすいと思うけど?」
 考助の疑問に、アスラはしばらく考える様子を見せた。

「それは、進化しやすい、というだけで必ず進化するというわけではないでしょう?」
 加護が進化の引き金になっているという事は考えられるが、絶対に必要と言うわけではない。
「いや、でも右目の力の事もあるんだけど? それに、シュレイン達の事もあるよね?」
 考助の右目の力では、今のところ進化する条件のような物が見えている。
 シュレイン達を進化させるには、やはり加護の力が必要だったはずだ。
「そうね。でも、貴方の右目で見えたのは、加護を与えると進化するという表示ではなかったでしょう?」
「という事は、加護以外にも器を広げる方法はあるという事か」
「そもそも、最初の簡単な進化には加護は必要が無いと考助も言っていたでしょう?」
 低ランクのモンスターが進化した場合は、右目の力で見ることが出来ないと確認できている。
「そう言えばそうだったな。・・・・・・うーん。改めて考えると進化についてもよくわかってないな」
「そうみたいね。私もよくわかってないし」
「え? そうなの?」
 世界そのものを管理しているような立場のアスラであれば、進化についてもある程度分かっているのかと思っていた。
「私が把握しているのは、どの程度の割合で進化が起こるのかといった程度よ。必ず進化するかどうかなんてわからないわよ。って、前もそう言わなかったっけ?」
「そうだっけ?」
 言われていたとしてもすっかり忘れている考助であった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「あ、そう言えば、僕の加護って一種類しかないのかな?」
 今のところ考助が眷属たちに授けている加護は、<考助の加護>しかない。
 <○○の祝福>といった加護が無いのか不思議だった。
「さあ、どうかしら? 与えようと思えば与えられると思うけれど、それは本人じゃないと分からないわよ?」
「え? そうなの?」
「それはそうよ。加護はあくまで本人の力だもの。いくら私でも他人(神)の加護のことまでは分からないわよ」
「それじゃあ、条件が合ってるとかってどうやって調べるの?」
 首を傾げた考助が、ジャルに向かって聞いた。
「あれは、あくまでも書類上に不備があるかどうかよ。実際に出来るかどうかはまた別問題。それに、あちらの世界にいるといないのとでは全く条件が違うから参考にならないわよ?」
「そうなのか・・・・・・」
 少しでも他の他の神々の加護が参考になればと思ったのだが、ほとんど参考にならないようだった。
 多少落ち込んだ考助を励ますように、アスラが言って来た。
「考助の場合は、あちらにいるから神域にいる者達よりも加護は掛けやすいと思うけどね」
「え?!」
 一度聞いていたはずなのに、すっかり忘れていた事実に考助は目を丸くした。
「忘れてたの?」
 ジト目でこちらを見てくるアスラに、考助は冷や汗を流した。
「ええと、うん、まあ。ハイ。・・・・・・考えてみれば、自分から加護を使おうとしたのは、最初の頃だけだからよくわからないや。そもそも別の種類の加護を使えるとは思ってなかったし」
 どの程度の力を授ければどの加護になるかと言うのは、本人がやってみないことには分からないのだ。
 試すことすらしていないかった考助が分からないのも当然だろう。
「ウーム・・・・・・。戻ったら少し加護の力について試してみようかな?」
「その辺は、考助の自由にやってみたらいいと思うわよ」
「そうだね。まあ、物が物なんで、ちゃんと考えて使ってみるよ」
「今更と言う気もするけど?」
 アスラのその突込みには、黙ることしかできない考助なのであった。
今更ながらにまとめてみました。
過去の話と重複している所もありますが、御勘弁ください。
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