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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 塔の外で色々やろう

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(6) 世界樹の巫女

 二人を助けた後で、どこで相談をするかという話になって、結局考助たちが泊まっている宿で話すことになった。
 シルヴィアとコレットは、既に宿を引き払っている。
 どうせだったら同じ宿に泊まって、いざというときは助けてもらおうという打算もあった。
 まあそれが上手くいくかは、これからの話次第だと二人は考えている。
 一方の考助は、宿まで歩きながら二人のステータスを確認していた。
 コレットの方には、なるほどなという納得のいく称号がついていた。
 <エセナの巫女>という称号である。
 アーゼン大陸のエルフの森で会ったシェリルのことを考えれば、この称号の意味はそういうことなのだろう。
 エセナが気にしているからなのか、この称号があるからエセナが気にしているのかは、定かでないのだが。
 そして、もう一方のシルヴィア。
 こちらも気になる称号がついていた。
 <エリスの巫女>というものである。

(エリサミールじゃなくエリス?)

 と思ったのだが、エリスの名前には心当たりがありすぎる。
 この時点で考助の脳内では、エリサミール=エリスが成り立っているが、真偽は分からない。
 このような往来で聞いて良いことかどうかも分からないので、宿での話のときに聞こうと思った考助だった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 シルヴィアとコレットは個々の部屋を取ったようだった。
 当然のように考助とミツキの部屋は、一部屋だった。部屋を決める際に、考助が決める前に、ミツキがさっさと取ってしまったのだ。
 考助たちの部屋が少し大きめになっているので、そちらで話し合うことになった。
 ただ、話し合いといっても、コレットとシルヴィアの相談に関しては、二人の予想に反して、一瞬で終わってしまった。
「私達をあなたたちのパーティに加えてもらえませんか?」
「うん。いいよ」
 これだけである。
 考助のパーティは、あれだけ強いミツキがいるパーティだ。
 特に二人が加わらなくても、困るということはほとんど無いだろう。
 だからこそ二人の加入の際には色々な条件を付けてくるだろうと、コレットとシルヴィアもそう思っていた。そうするのが一般的な常識なのだ。
 長期戦を覚悟して、なるべく自分たちの不利にならないようにと思っていたのが、あっさりと許可されて拍子抜けしてしまった。
「・・・はっ!? えっ? いいの・・・!?」
「うん、いいよ。・・・何か問題でもあった?」
「いえ、ないわ。無いのだけれど・・・本当にいいの?」
「あの・・・コウスケ、さん? こういう場合は、条件を付けるのが当たり前なのですわ。お願いしているのは、私達の方なのですし」
 シルヴィアの助言に、考助は納得したようにうなずいた。
「ああ、なるほど、そういうことね」
「そういうことなのですわ」
 そう言ってお互いにうなずき合うコウスケとシルヴィアに、コレットは苦笑するしかなかった。
「あのね、シルヴィア。こちらの不利になるようなことは、言わないほうがいいと思うわよ?」
「それこそ、無駄ですわ。コウスケさんは、最初から条件をもらおうなんて思ってないようですもの」
「いや、そんなことは無いんだけどね。ただ、もし僕がそれを言ってしまったら、断れない条件になるかもしれないね。特にコレットさんにとっては」
「さん、なんてつけなくていいわ。・・・それより断れないって、どういう事?」
「じゃあ、僕も、さんはいらないよ。・・・まあ、断れないというか、断らないというか、なんだけど・・・」
 考助の曖昧な言い分に、コレットは眉を寄せた。
「まあ、いいか。エセナ、出てきていいよ」
 考助の呼びかけに、エセナが出現した。

 突然出てきた少女に、コレットもシルヴィアも目を丸くした。
 考助のそばに出てきたエセナは、コレットの方にトコトコと歩いて行き、そのままピトッと抱き着いた。
「な・・・なに? この子・・・? ・・・・・・って、まさか!?」
 抱き付かれたコレットは、最初は戸惑った様子を見せていたが、途中からエセナが妖精だと気づいたのか、驚きを見せた。
「な、なんでこんなところに、妖精が・・・!?」
「へー、すごいな。流石エルフ。見ただけで妖精って、気づくんだ」
 シルヴィアの方は、コレットが妖精発言をしたところで、驚いている。
「まさか、いくらなんでも、見ただけじゃ気づかないわよ。この子が触れてきたから分かったのよ」
 コレットは、エセナの頭を撫でながら訂正してきた。
 頭を撫でられているエセナは、気持ちよさそうに目を閉じてされるがままにされている。
 そんな様子を、和むなぁ、と思いつつ考助がさらに、コレットにとっての爆弾を落とした。
「そうなんだ。・・・エセナは世界樹の妖精なんだけどね。それに気づけるなんて、すごいんじゃないの?」
「へー、それは珍しいわね」
 考助の言葉を深く考えずに返答したコレットは、一瞬耳に入ってきた言葉を、右から左へ流しそうになった。
 だが、その意味に気付いて思わず大声を上げてしまった。
「・・・せ、世界樹の妖精って。う・・・嘘でしょ!?」
 コレットの声に、考助は口の前に人差し指を立てて声を落とすように促した。
 エセナもコレットに抱き付いたまま、驚いたような表情を見せている。
「あ・・・ご、ごめん」
「いやまあ、しょうがないとは思うんだけどね。もう一つあるんだけど、いい?」
「ちょ・・・ちょっと待って、一回落ち着くから」
 考助がわざわざ入れた断りに、まだ何かあるのかと察したコレットは、一度深呼吸をした。
 ちなみに現時点で既にシルヴィアは、コレットの驚きに付いてこれていない。
 世界樹に関わる話は、エルフ内での秘話に近いので、ヒューマンであるシルヴィアが、それらに関わる話を知らなくてもしょうがないのであった。

「い、いいわよ。どんと来なさい」
 覚悟を決めたコレットだったが、次の考助の言葉に、自身の人生で最大級の驚愕をもたらすことになった。
「どうやらコレットが、エセナ(世界樹)の巫女に選ばれたみたいなんだけど・・・」
「・・・っ!?」
 覚悟していたにもかかわらず、思わず上げそうになった驚愕の声を必死になって抑えるコレット。
 それを面白そうな顔で見る考助と、不思議そうな顔で見ているシルヴィアとエセナ。
 一人で驚いているのが理不尽な気がしたコレットが、恨めし気な表情をして考助に聞いた。
「・・・どういう事?」
「いや、それは僕にも分からないよ。僕が選んだわけじゃないし」
 考助の弁明に、さらに言葉を続けようとしたコレットは、しかし自分の下の方から聞こえてきた可愛らしい声に遮られた。
「こーれっと、エセナの巫女、いや?」
「い、嫌ってわけじゃないのよ? ただ、ちょっとびっくりしただけ」
 悲しそうな表情をしたエセナに、コレットは慌てて否定した。
 それを聞いたエセナは嬉しそうに、さらに言葉を続ける。
「こーすけ、エセナのお父さん。こーれっと、お母さん」
 嬉しそうに言うエセナに、コレットは完全に固まった。
「・・・・・・これっと?」
 さらに隣から聞こえてきた友人の声に、なぜか冷や汗を流す羽目になった。
「ま、待ちなさいシル。いくらなんでも今日知ったばかりの相手と私の間に、こんなに大きな子供がいるはずがないでしょう!?」
「・・・そうなんですの? エルフの秘術とかには、そういうものはないんですの?」
「そんなんあるか! そんな便利なものがあったら、種族全体で出生率に悩んだりしないわよ!」
 コレットの弁明(?)に、シルヴィアは渋々と(?)納得したようである。
 その様子にホッとしたコレットは、考助を睨み付けた。
「なんであんたは、そんなに嬉しそうなのよ!?」
「いやまあ、コレットみたいな美人さんを奥さんと言われて、嬉しがらない男がいたらここに連れてきてほしいよ?」
「・・・あのねぇ」
 考助のその言葉と、その言葉に再び不機嫌そうな様子を見せた友人を見て、コレットはげんなりとした。
 最初思っていた方向とは、全く違った苦労をすることになるとは、全く予想していなかったコレットであった。
ミ「・・・私は?」
作「ナナとワンリと戯れながら、三人の様子を楽しそうに見ています」
ミ「作中にその様子を書けないのが、あなたの力量ね?」
作「orz」

2014/5/11 誤字修正
2014/6/9 誤字脱字訂正
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