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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 塔の外で色々やろう

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(1) 神力球

 第五層でのギルドの立ち上げは予想以上に上手くいっている、とワーヒドから報告を受けた考助は、久しぶりに時間が空いたため、管理層でナナ・ワンリ・エセナと遊んでいた。
 エセナがなぜ管理層にいるかというと、先日世界樹を訪れた際に、エセナからの要求で契約を結ばされたのだ。
 これによりエセナは、考助がいる場所なら自由に出てくることができるようになったのだ。
 基本的にエセナの気まぐれで出てくるのだが、考助が出てこられては困るタイミングでは、今のところ出てきていないので、特に注意することもなく好きにさせていた。
 考助がナナとワンリと遊んでいると、特によく出現してきているのだが、今もそのタイミングでエセナが現れてきた。
 考助がワンリの体を撫でていると、エセナがやってきてナナを追い掛け回し始めたのである。
 ナナもそれを分かっているのか、本気で逃げることはせずに、時々エセナの方を振り返ったりしていた。

 ナナとワンリの持っていた<言語理解>のスキルだが、考助たちと一緒に生活している間にLVが上がっていた。
 考えてみれば、言語を話す者と一緒にいなければ、LVが伸びて行かないのも当たり前である。
 召喚時に既にLV1で持っている個体が出るのは、生まれついてのものだろうと考助は推測している。
 二匹ともスキルのLVが上がるにつれて、本当に考助の言うことをよく聞くようになっていた。
 特にナナは、忠犬という感じになってきている。実際は狼なのだが。
 ワンリの方はナナに比べて気まぐれの度合いが大きいが、猫ほどではない。
 この辺は種族の差というよりも、あくまで個々の性格の差という感じがする。
 また、ワンリの<変化>と<念話>のスキルも今のところよくわかっていない。
 色々試させようとしたのだが、考助のワンリに対する言葉の使い方がダメなのか、今のところそれらしいスキルは発動した気配がない。
 どちらも何かの条件が足りないのか、それともワンリ本人が使い方が分からないのか、その辺も分かっていない。
 ある程度<言語理解>で考助の言葉が通じても、会話が成り立っているわけではないのでしょうがない。
 特に焦っているわけではないので、じっくりと調べていく予定である。
 ちなみに余談であるが、管理層の水は鑑定してみると、神水と出ていた。
 ナナやワンリのいた層に設置しているものと同じものである。
 それに気づいたのは、神石を設置して神水を作った時に、管理層へ戻ってから調べたら神水と出てきたからだ。
 というわけで、管理層に来ているナナやワンリも他の層にいる狼達や狐達と同じ神水を飲んでいるということになっている。

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 エセナとナナがじゃれあっているのを見ていた考助は、ふとある遊びを思いついた。
 ナナとワンリの二匹とも<神力操作>のスキルが、LV1から変わっていないのを思い出して、思いついた遊びだ。
 ワンリを撫でていた手を止めて、右手の掌の上に神力の塊を形作った。
 それをボール状になるように固定して、ワンリの目の前に転がした。
 それに興味を持ったのか、ワンリが目の前に転がってきた神力球(注:考助名づけ)を鼻先でつついた。
 その瞬間、ポンと音を立てて神力球は消えてしまった。
 ワンリはそれを見て、びっくりしたように固まった。
「はははは。乱暴に扱ったらすぐ消えちゃうよ。自分の神力を使って上手く触らないとね」
 考助はそう言って、もう一つ神力球を作ってワンリの前に転がした。
 今度はワンリも慎重に鼻先を寄せた。
 すると今度は壊れることなく、コロコロと前の方に転がって行った。
 ワンリはそれを追いかけて行って、もう一度同じように鼻先でつついた。
 また同じように、転がっていく。
 それが気に入ったのか、何度も同じことを繰り返している。
 もう神力球の扱いに慣れたのか、壊れることはなかった。
 鼻先でつついて転がすのに飽きたのか、今度は手で触ろうとしている。
 前足を器用に使って、壊すことなくチョンと触れている。
 まるで毛玉で遊んでいる猫や犬のように見えた。

 神力球で遊んでいるワンリに、ナナが興味を持ったのか、考助の方をじっと見てきた。
「お前もあれで遊ぶのか?」
「・・・クーン」
 ナナのかわいらしい要求に応えて、今度はナナ用に少し大きめに神力球を作る。
 目の前に置いてやると、先ほどのワンリと同じように鼻先でつつこうとして、壊してしまう。
 もう一度作ってやると、今度は上手くいって同じように遊び始めた。
「コー、エセナもー」
 神力球で二匹が遊んでいるのを見て、エセナも神力球を要求してきた。
 断る理由はないので、同じように神力球を作ってやった。
 エセナ用は、手毬くらいの大きさで作って、それを手渡した。
 流石に世界樹の化身というか、エセナはそれを壊すことなく受け取り、ポンポンとお手玉し始めた。
 それに飽きたらず、今度は自分で性質を変えて床に落として、跳ね返って来たのを両手で受け取ったりしている。
 完全に手毬と同じ扱いである。
 それを見たナナとワンリも同じことをしようとして、何度か神力球を壊してしまう。
 そのたびに考助が作り直したのだが、その際わざと最初の神力球と同じものを作って渡している。
 考助にもエセナが作ったものと同じ性質のものは作ることができるが、あえてそれは実行していない。
 もちろんそれは、二匹の<神力操作>のLVを上げるためだ。
 この程度では、上がらないかもしれないが、それはそれで構わないと思っている。
 あくまで遊びの一環だからだ。
 考助も見てて楽しいのだから別にそれは構わない。
 考助が一人と二匹を観察していると、しばらくして一つの神力球をお互いに飛ばし合ってバレーボールのように扱い始めた。
 三者の間でボールが行ったり来たりする。
 ナナとワンリは、鼻先でボールを飛ばしているのだが、これが絶妙でなかなか落とさない。
 一回のラリーがかなり長く続くが、それでも飽き足らずに何度もそれで遊ぶようになった。
 そして、その遊びは、三者が遊び疲れるまで続いたのである。

 遊び疲れて休んでいるナナとワンリのステータスを確認した考助は、二匹とも<神力操作>がLV3に上がっているのを確認して、実験の成功を確信した。
 <神力操作>のスキルは、当たり前と言えば当たり前だが、神力を扱わないと上がらないのだろう。
 神力は、普段の生活ではまず使わない力なので(スキルで消費される魔力や聖力は別)、今までLV1のままで止まっていたのだ。
 後はこの二匹が工夫して、遊びの中で上げて行けばいいだろう、と考助は考えている。
 何より考助自身が見てて癒されるので、ぜひとも遊んでもらいたいと思っていた。

 ちなみに・・・。
 ナナやワンリが、神力球を使って遊んでいる様子を目撃したシュレインやイスナーニが、そのあまりの光景に絶句していたのに気付いたのは、傍にいたコウヒやミツキで、考助やその他三者は最後まで気づかなかった。
ほのぼの回でした。
内容はほのぼのしていますが、やっていることは結構重要だったりします。
そして、章タイトルが塔の外なのに、外に出てない不思議。

2014/6/9 誤字脱字訂正
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