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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第26章 塔と国家

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(8)ラゼクアマミヤ

建国!
 西の街の傘下入りが発表されてから半月後。
 再びアマミヤの塔から大きな発表がされた。
 その発表を聞いた人々の反応は、やっぱりかというものと、やっとかという二つの反応に分かれた。
 何の発表かというと、国家を建国するというものだった。
 国の名前は、ラゼクアマミヤとなった。
 古い言葉で、アマミヤ(の塔)に抱かれしもの(国)という意味である。
 国の頂点に立つ国王、いや女王は、フローリア・ドリア・ラゼクアマミヤと発表された。
 最初は、「誰?」という反応だったのだが、次第に現人神コウスケの伴侶だという話が広まっていった。
 当然ながら、行政府が意図的に広めているのだ。
 その話が広まると、人々は納得したように女王を受け入れた。
 いくらなんでも神本人が国を治めるとは思っていなかった住人達だったのだが、誰が国の頂点に立つのかも色々と話に上っていたのだ。
 現人神のパートナーであれば、人選的にも問題はない。
 少なくとも現人神と全く関係のない人物が選ばれるよりは、受け入れられやすい物だった。
 ラゼクアマミヤの範囲は、以前からアマミヤの塔に傘下入りしていた街や村と今回の発表に合わせて傘下入りをした街や村だ。
 新しく発表された街には、南の街も含まれている。
 南の街の傘下入りの条件が、国家を作ることというものだった為に、西の街よりも傘下入りの発表が遅れたのだ。
 これにより、セントラル大陸でのラゼクアマミヤの支配地域は、ほぼ三分の二になっていた。
 モンスターの襲撃が多いセントラル大陸では、面での支配ではなく点での支配になっているのだが、それでも支配域に入っていない街や村にとっては脅威と言えるだろう。
 もっとも、国家と言っても他大陸のように同じ大陸に他の国家が存在しているわけではないので、軍隊が組織されているわけではない。
 その代わり、街を守る警備隊の他に、モンスターの脅威から守るための隊が配備されることになった。
 最初にその隊が配備されたのは、アマミヤの塔と南と西の街の三部隊だけだ。
 正式決定はまだだが、便宜上その部隊を「討伐隊」と呼ぶことにした。
 アマミヤの塔に駐留している部隊は、転移門を通って四つの街に出ることが出来る。
 基本的にそれらの部隊は、モンスターの大きな襲撃がありそうな場合に出撃することになっている。
 はじめはどうしても実験的な運用になってしまうが、それでも大きな効果が出ることが期待されていた。
 その他に関しては、他の国々とほとんど変わらないものになった。
 税に関しては、人々の負担はほとんど変わっていない。
 そのため街の支配者たちが割を食うことになったが、こればかりは諦めてもらうしかなかった。
 それよりも、国家の一員になることで、より多くの収入を得られることを期待しているので、大した不満も出てこなかった。
 もともとそうなることが分かっていて、諦めていたというのもあるのだが。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「・・・・・・疲れた」
 執務室の机に突っ伏すフローリアを見て、シルヴィアが口元に手を当てていた。
 笑っているのを隠しているのだ。
 ただし、目が笑っているので、隠せていないのだが。
「てっきり貴方の事だから、こういう事は慣れていると思っていましたわ」
 そのシルヴィアをジト目で見ながら、フローリアも答えた。
「いくらなんでもここまでの人数から歓迎されることは無かったぞ?」

 フローリアはここ数日、行政府の建物にあるバルコニーから一日に数度顔を見せるようにしていた。
 勿論、国民たちにその姿を見せるためだ。
 そこには連日多くの国民たちが詰めかけて新しい女王の誕生を祝っているのだ。
 フローリアは、その熱気に当てられているのである。
「正直、ここまでとは思っていなかった」
 人々の期待が高いのは、勿論現人神の伴侶であることに対してもそうなのだが、セントラル大陸で歴史上初めての国家設立に対する期待も多大にあるのだ。
 その熱気を今一番当てられているのが、女王であるフローリアなのだ。
「まあまあ。これも女王としての役目なのですから」
「それはそうなのだがな。・・・・・・それに、シルヴィアだって同じようなものだろう?」
 シルヴィアはシルヴィアで、フローリアお付きの巫女として発表されている。
 もともとシルヴィア自身は、神殿に顔を見せていたこともあったために、考助の巫女として知られていた。
 そのシルヴィアがフローリアの傍に就くことは、いろんな意味で納得の人選だと受け入れられている。
 そんなシルヴィアも何気に国民たちの人気を集めているのである。
「私はほら。あくまでもコウスケ様の巫女としてですから。貴方ほどではありませんわ」
「・・・・・・ずるいな」
 シルヴィアの返答に、思わず泣き言を言うフローリアであった。

「そろそろ愚痴はそれくらいにして、次の仕事に向かおうか」
 ぐったりしているフローリアにそう言って来たのは、実の父親であるアレクだった。
 アレクは宰相の地位に就いて、実質ラゼクアマミヤを取りまとめている。
 ちなみにフローリアの私室であるこの部屋にいるのは、フローリアとシルヴィア、それにアレクだけだ。
 また、だからこそフローリアも安心してだらけた姿を見せているのだが。
「うう。・・・・・・次は何だったかな?」
「有力者との会談だな」
「またか・・・・・・・分かっていたが、多いな」
 そもそも女王の仕事など、誰かと会うのが大体の仕事だ。
 その辺の事は、フローリアもよくわかっている。
 これを疎かにすると、女王の独裁政治になり兼ねない。
 そんなものは、フローリアも目指していないのだ。
 何より考助が嫌う事は、フローリアも理解している。
「まあ、仕方ないだろう。最初のひと月は、こんな感じで続くと思うぞ?」
 アレクの言葉に、フローリアは大きく溜息を吐いた。
 こうなることがわかっていたので、国の内政に関わる仕事は建国の発表前に大体終わらせていた。
 終わらせると言っても、フローリアは許可のサインをすることだけなのだが。
 これが、たまにアレクのチェックをすり抜けて変な物が入っていたりするので、なかなか気が抜けなかった。
 その仕事は既にひと段落して、今は人との面会を優先的にこなしているのだった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「あの二人は、元気でやってるかな?」
「あら何? もう会いたくなったの?」
 くつろぎスペースでポツリとこぼした考助に、コレットがからかうような表情になった。
 ここ半月ほどは、フローリアもシルヴィアも管理層に顔を見せていなかったのだ。
 色々と忙しいので、管理層に来れないということも分かっている。
「そう言うわけじゃないんだけど・・・・・・。いや、そうなのかな? とにかく、あの二人の事だから無理してそうな気がしてね」
「ああ、それはあるかも」
 フローリアにしてもシルヴィアにしても、限界まで頑張る傾向がある。
 慣れてくれば手を抜くことも覚えるのだが、とにかく最初のうちは必死にこなそうとするのだ。
 加護の力を与えた時もそうだった。
 もっとも管理層のメンバーは、全員が多かれ少なかれそういった傾向がある。
 勿論その筆頭は考助自身なのだが、本人にその意識は無い。
「まあ、大丈夫じゃないかな? 一人だけならともかく、二人いるんだし」
 お互いがお互いを見ているので、いい感じで歯止めをかける役になる。
 今はどう考えてもフローリアの負担が大きいが、その辺はしっかりとシルヴィアが見ているだろう。
「そうだよね」
 コレットの言葉に納得した考助は、頷いた後で再び思索にふけるのであった。
というわけで、国の名前はラゼクアマミヤです。
完全な思い付きの名前ですので、引用とかはありません。
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