挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第26章 塔と国家

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

320/1284

(5)エルフの村の様子

 新しい国家の話が進む中、考助はというと他の層にいる種族を訪ねていた。
 まず最初に訪れたのは、現在では南の塔に移っているエルフ達の村だった。
 エルフの村では、外との交流があるわけではないので、特に大きな変化などは起きていない。
 以前に二組の夫婦で妊娠が確認されたが、その夫婦には既に新しい子供が生まれたことは、コレットから聞いていた。
 流石にそれ以降、また新しい報告などは聞いていないが、そうそう簡単に出来るものでもないだろう。
 そもそも子供が出来ること自体がほとんどなかった種族なのだ。
 そのことに関しては、エルフ達の間では楽観論が広がっていた。
 かといって以前のように、子供に関して、希望を持っていないような感じでもない。
 新しい世界樹の成長に合わせるように、新しい子供が生まれたのだ。
 自分たちもそのうちチャンスが生まれると考える者が多いということだった。

 考助は、現在のエルフの村の状況を代表者であるリレースから話を聞いていた。
 話を聞いて特に何かをしようと思っているわけではない。
 単純に現在の村がどうなっているかを確認したかったのだ。
 勿論コレットも一緒についてきている。
「・・・・・・ということは、特に問題は起きていないわけですね?」
「そうですね。細かい問題は起きていますが、その程度はどこにいても同じことですから」
 例えば、村人同士の小競り合いなど、いくら結束が強いエルフとはいえ起きるときは起きる。
 そういった問題は、例えこの階層で生活していなかったとしても起きる問題なのだ。
「それよりも、しっかりと成長している世界樹の麓で暮らせているというのが大きいです」
「そうですか」
 笑ってそう言って来たリレースに、考助も笑顔になった。
 見た表情に、余裕のような物を感じ取れたのだ。
 虚勢ではなく、本当に出たような笑顔だったので、村の統治は上手くいっているのだろう。
 更に、次の言葉が村人たちにも余裕をもたらしていた。
「何より、我々にも子供が出来るというのが、大きいです。本当にコウスケ様とエセナ様のおかげです」
 リレースはそう言って、考助に向かって頭を下げた。
「ははは。いや、僕は場所を提供しただけですけどね」
「・・・・・・そんなことはないです。全て兄様のおかげです」
 突然、考助の横にエセナが出現して、そう言ってきた。
 そのエセナが出現した瞬間に、リレースは頭を下げていた。
 エルフにとっては、エセナは伝説の存在であり神にも等しい存在なのだ。
 考助が現人神であることは、コレットを通じてエルフ達には伝わっている。
 ただし、考助と会っても大袈裟な態度は取らないようにという話も同時に伝えられているため、変に畏まった態度をとる者はいないのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「エセナ。久しぶりだな」
「はい。顔をお見せできなくてごめんなさい」
 頭を下げるエセナに、考助は手を振った。
「いや、いいさ。忙しかったんだろう?」
「繋がっている階層の分の取り込みは順調にいっていたんですが、他の階層の分を取り込もうとしたら色々起きてしまいまして」
 まるで聞いていなかった話を聞かされた考助は、思わず目を瞬いてコレットを見た。
 そのコレットも驚いた表情で、エセナを見ている。
 これは自分が聞くしかないかと、考助に確認を取った。
「ほかの階層って、階層結合している階層以外のこと?」
「はい。九層分の取り込みが上手くいって安定したので、試してみたら何とかうまくいきましたので」
 エセナは、独自に他の階層の地脈の力を取り込めないか色々と試していたらしい。
 考助は、それに対して特に何かを言うつもりはない。
 エセナは元は大樹とはいえ、独自の意思を持っている。
 当然自分がやりたいことはやるべきだと考えているからだ。
 それよりもエセナに聞きたいことは他にある。

「それで? 調子悪くなったとかは無い?」
「それは大丈夫です。イメージ的には、根を他の階層に伸ばしている感じですから。もし何かあっても根を切り取ればいいだけですし」
 いかにも樹木の妖精らしい返答が返って来た。
 枝葉の一枚一枚、根の一本一本は、それぞれ世界樹にとっては大切な物なのだが、それでも樹の成長を妨げるようなことになれば、容易に切り捨てることが出来るのだ。
「そうなんだね」
「はい。もしうまく根が定着できれば、其方にも枝葉を伸ばすことが可能ですし」
「へー。そうなんだ」
 初めて聞く話に、考助は感心したように頷いた。
 何気なく会話をしている二人を余所に、エルフ二人は硬直していた。
 そんな話は聞いていないよ、と言いたいらしい。
「エ、エセナ様!? そんな話は聞いていないのですが・・・・・・?!」
「あ、うん。言ってなかったかも?」
 驚くコレットに、エセナがあっけらかんと答えた。
 エセナのその言葉を聞いて嘆くエルフ組に、考助は苦笑した。
「取りあえず、問題は無いんだよね?」
「うん!! 全く問題ないです」
 元気よく頷くエセナに、考助はコレットを見て言った。
「取りあえず問題なさそうだし、エセナの好きにさせていいんじゃないかな?」
 そもそも世界樹そのものであるエセナを止める手段など誰も持っていない。
 考助が強く止めればエセナも止める可能性はあるが、考助としても特に止めるつもりはなかった。
「ただし、何か起こりそうだったら、必ず僕かコレットに言うように。あと、無理はしないようにね」
「はい。わかってます」
 考助の念押しに、エセナは素直に頷いた。
「それならいいんじゃないかな?」
 考助は、エルフ組を見てそう言った。
 言われた二人は、渋々といった感じで頷いていたが。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 そんなことを話していると、珍しい者達がやって来た。
「おや。珍しいですね」
 そう言って入って来たのは、ハイエルフのリストンで、その後ろには他の二人のハイエルフもついてきていた。
「それはこっちの台詞・・・・・・でもないのかな?」
 少なくとも、考助がここに来ること自体が珍しいので、リストンが言ったこと自体は間違いではない。
「私からすれば、どっちもどっちですが・・・・・・どうかなさいましたか?」
「いや。エセナ様がこちらにいらしているように感じたのだが・・・・・・」
 リストンがそう言ったのを聞いて、考助が驚いた。
「あれ? エセナの気配とか感じられるようになったの?」
 最初の頃は世界樹の妖精が出てきているのを見ただけで驚いていたはずだ。
 言われたリストンは、苦笑を返した。
「コウスケ様・・・・・・そう言われるのはある意味致し方ないでしょうが、我々とて成長はするのですよ?」
「おや。それは失礼」
 考助にとっては不変だと思っていたハイエルフも、これだけの期間があれば、エセナの出現を感じ取れるくらいには変化もするらしい。

「いえ。それはいいんですが、エセナ様。本体が変化しているようですが、何かあったのですか?」
 どうやら彼らの本命は、この質問だったらしい。
 流石のハイエルフというべきか、しっかりと世界樹の変化を敏感に感じ取っていたようだった。
 聞かれたエセナが説明するのかと思いきや、エセナはコレットの袖を引っ張って説明を任せていた。
 どうやらエセナは、自分が話す相手をしっかりと決めているらしい。
 今のところ、考助とコレットだけを相手として決めているようだった。
 特にそれでも不満はないのか、ハイエルフ組はコレットの説明を頷きながら聞いていた。
「そういう事でしたか。確かに成長には問題なさそうですので、これで失礼します」
「あれ? もういいの?」
「ええ。変化した原因さえ聞ければ、特に問題はありません」
 リストンはあっさりとそう言って、仲間を伴ってその場から去った。
 本当に、世界樹の変化の原因が聞ければそれでよかったのだろう。

 ハイエルフ三人組が去った後は、ちょっとした日常の様子を聞いて考助も辞することにした。
 元々管理層に戻ろうとしていた時に、リストンたちが来たのだ。
 今回来たのは、エルフ達の様子を確認するためだけだったので、特に何かがあったわけではない。
 特に変わりなく活動していることが確認できればそれで十分なのであった。
久しぶりのエルフの村の様子でしたw
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ