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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第25章 塔と神の審判

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(12)神の審判の結末

 その日、世界は久しぶりの神々の降臨に喜び、その後の神託に戦慄することになった。
 突然、神が降臨したのだ。
 実際に神が降臨した町では、最初は何が起こったのかといぶかしげな雰囲気になった。
 その後、神がそれとわかる神気を発すると、すぐに人々は空に浮かぶその存在が何であるか理解した。
 神が降臨したと理解が広がると、すぐに人々の心の中に喜びが浮かんできた。
 だが、同時に何故神が降臨したのかという疑問もわいてきた。
 その疑問に答えるように、降臨した神が人々に直接内容を話した。
 そして話された内容が、<神の審判>だと分かると一様に顔が青くなった。
 <神の審判>とは、神が今回のように直接降臨して、人々に対して行われる裁きだ。
 この時は、自分たちがいる町だけに神が降臨して<神の審判>が行われると勘違いするのも無理はない。
 今回の神の降臨は世界中で同時に行われたので、後に勘違いだと判明したのだが。
 さらには、この降臨のすぐ後に神から人々に<神の審判>の内容が伝えられた。
 審判の内容は自分たちに直接関係するものではないと分かっていても、その時点で何かしらの関係があると疑ってしまったのは、人として仕方ないと諦めるべきなのかは誰にも分からないことなのだろう。
 それはともかくとして、神から伝えられたことはだた一つ。
 北大陸にあるゲイツ王国の神殿に、<神の審判>が下されたという事だけだった。
 間違ってはいけないのは、ゲイツ王国に、ではなくゲイツ王国の神殿に、というのが重要なポイントだった。
 考助としても神々としても、今回の事でゲイツ王国の人々には被害を出すことは考えていない。
 とは言え、結果として割を食う人間も出てくるだろうが、それはゲイツ王国の問題であると割り切っているのだ。
 今回の処分に対してゲイツ王国がどういう対応をするかによって、当然被害の大きさも変わってくるのだから。
 そこまで神として関与するつもりは、全く無いのだ。
 とにかく、この神々の降臨で<神の審判>が世界中に知れ渡ることになった。
 当然、各国はゲイツ王国の神殿が何をやったのか、調査することになる。
 その結果として、今回の行いが各国の上層部、あるいは神殿にも知れ渡ることになった。
 <神の審判>が行われたのだから、ゲイツ王国が隠すことなど不可能だった。
 アマミヤの塔も聞かれれば、正確に答えていたのだから隠しようがない。
 何より、今回の件に関しては、神々が正確に関与してきているので、隠せなかったというのもあるのだった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助がゲイツ王国側に伝えた処分は三つあったが、その内の一つはすぐさま実行に移された。
 何かというと、当然セントラル大陸に近寄ってきていたゲイツ王国の軍船を沈めることだ。
 沈めると言っても、人が乗ってる所に例の兵器を使ったわけではない。
 警告を与えた上で、塔の機能を使って、船底に修復不可能な穴をあけたのだ。
 更には、その警告の前にアーサー王と約束したように時間の余裕も与えていた。
 アーサー王がどういった指示を出したかは分からないが、実際に攻撃をしたときには食料などが既に持ち運びされていたので、しっかりと指示は出されていたのだろう。
 ただし、今回近づいてきていた船は十数隻あったのだが、その内三隻ほどがその海域から離れようとしていた。
 当然考助は、その三隻も分け隔てなく沈めておいた。
 別に逃げてはいけないと言う約束もしていなかったので、特にそれについて何かを言うつもりはない。
 むしろ逃げた三隻の方が被害が大きくなっただろう。
 逃げずにその場に残っていれば、人員の被害も出ずに済んだのにわざわざ被害を出したのは、アーサー王の指示なのだ。
 自分の攻撃で人が亡くなった可能性もあるのだが、考助がそれに対してどうこう思うことは無かった。
 これも神になった影響なのか、あるいは世界が変わったせいなのかは分からないが、その辺の感覚は以前とは違っているのかもしれない。
 ともかく、三つのうちの一つ目が、ゲイツ王国と会談のあったその日のうちに実行された。

 次に行われたのが、神々の降臨でゲイツ王国の神殿に対する<神の審判>だった。
 いくら<神の審判>という理由があるにせよ、流石に世界中に神々が降臨するのにはそれなりに時間がかかるので、一日待ってから実行されたのだ。
 <神の審判>が行われて少しの間混乱していた世界だが、すぐにそれも収まった。
 自分たちには被害が及ばないとなると、普段通りの生活に戻って行った。
 問題は、神の審判が下された教会以外の教会だった。
 何しろ似たり寄ったりの事をしていた神殿もあったのだ。
 すぐに自分たちの所にも審判が下されるのではと戦々恐々としていた。
 もっとも今回の審判は、あくまでもゲイツ王国の神殿であり他の神殿には神の審判が下されることは無かった。
 だからといって、安心して以前と同じようなことを始める神殿は、幸いにも出てこなかった。
 流石に<神の審判>が実行されてすぐに同じようなことをするような蛮勇を行う者はいなかったのだ。

 最後に行われたのが、バッヘムの塔の攻略だった。
 日数がかかったのは、攻略に手間取ったのではなく塔にたどり着くのに時間が掛かったのだ。
 ちなみに攻略には考助は行っていない。
 どうせ攻略してもすぐに解放するので、わざわざ行く必要もなかった。
 塔に行ったのは、コウヒ一人だけだった。
 ミツキも行きたがったのだが、どちらか一人は考助の護衛で残らないといけない。
 公平にじゃんけんを行った結果、コウヒが行くことになったのだ。
 別に考助としては二人共に行ってもらってもよかったのだが、二人がそれを拒否した。
 二人にとっては護衛が最優先なのだ。
 コウヒは塔の攻略も全力疾走で行ったらしく、十日も掛からずに攻略されていた。
 コウヒが攻略した時に、カールが塔にいたかどうかは確認していない。
 そもそも塔に来ていたゲイツ王国一行が国に帰り着くよりも早くコウヒが塔にたどりついているので、攻略を終えた時もいなかった可能性がある。
 もっとも塔にいたとしても、カールであれば逃げ出していたことも考えられるだろう。
 約束通り攻略した後は、すぐに解放したのでだれでも攻略できる自由な塔になった。
 カールがその後、塔を攻略しようとしたのかは確認していない。
 当然のように冒険者たちが入る姿は見られたが、制御盤に塔が攻略されたという情報は入ってこなかった。

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 当然ながら一連の審判は、ゲイツ王国は大打撃を受けた。
 皮肉にも直接的ではないにしろ神の審判が行われたことで、手出しをしてくる他国が無かったのが、ゲイツ王国にとって幸運だったのかは分からない。
 ともかく、ゲイツ王国としては今回の件でボロボロになった国内を立て直すことだけに、躍起になるしかなかったのだ。
「少なくとも今後、こちらの大陸に手出しをしてくることは無いだろう」
 そう断言したのは、考助の目の前にいるアレクだった。
 流石にこの状態で、再度アマミヤの塔に何か仕掛けてくるほど愚かではないのだった。
 さらに言うと、別の効果もあった。
「今回の件で、こちらに敵対しようとしていた所も及び腰になったのも大きいな」
 アマミヤの塔にとっては、こちらの方が大きいだろう。
 何しろ敵対すると、下手をすれば神々が出てくると認識されたのだから。
 正確に言えば、そんなことは無いのだが、勝手に勘違いしてくれる分には放置することにしている。
 勿論それを利用することはしない。
 それをしてしまうと、ゲイツ王国と同類になる可能性もあるのだ。
 聞かれたら正直に答えているので、すぐにその勘違いも無くなるだろう。
「という事は、もう変なちょっかいを掛けてくる国は、無くなったとみていいのかな?」
「どうかな? 人間は忘れる生き物だからな。今回の件を過去の事として、また別の方法を模索するところは出てくるだろうな」
「ああ、それはそうだろうね」
 アレクとしては、それまでの間に手出しが出来ないようになればいいと考えている。
 その一つの方法が、以前考助にも打診した国を作ると言う事に繋がるのだ。
 当然そのことも既に考助には伝えている。
 それを受けて考助がどう判断するのかは、また別の話になるのであった。
これで第25章の本編は終わりました。
着地点としてこうなりましたが、いかがでしたでしょうか?
甘い、という意見も来そうですが、考助としては余計な逆恨みとかも買いたくなかったので、この辺が妥当な所だと考えています。

この後はいつものように閑話を挟んで第26章になります。
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