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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第25章 塔と神の審判

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(6)他の塔の管理者

 塔と国家は切っても切れない関係だ。
 何しろ素材と言う資源が、勝手に湧き出す宝のような場所なのだから。
 そうであるからこそ、塔を支配している者は、一個人の利益に固執するのではなく、国家のために動くべきだ。
 我がバッヘム家は、ゲイツ王国建国当初からそうした思想の元、国家とは協力関係でやって来た。
 その素晴らしい思想を持つ私に、是非とも貴方が上手くやっている塔の管理の方法を教えてもらいたい。
 貴方にも損はないはずだ。
 何故なら、国家とどういうふうに付き合えばいいのか、私はあらゆるノウハウを持っている。
 そのノウハウを伝授することが出来るのだから。
 恐らくこれから国を持つことになるであろうこのアマミヤの塔を管理している貴方には、是非とも必要な物だと思う。
 これを機に、是非ともいい友好関係を結んでいこうではないか。
 云々。

 いつまでたっても話し続ける男の声を聞き流しながら、考助は今開発中の魔道具の事を考えていた。
 一応途中までは聞いていたのだが、どう考えても自慢話しかないので聞く意味がないと悟ったのだ。
 折角会ったのだからもう少し実のある話をしてほしかったのだが、そううまくは行かないらしい。
 同時に、アレクと会わせてくれたスピカに改めて深く感謝した。
 よくぞまあ、こんなに素晴らしい人材と引き合わせてくれたものだと、目の前の人物を見て思う。
 もっとも、これをアレクが聞いたら判然と抗議するだろう。
 こんな人物やつと比べないでくれと。
 勿論考助の心の中で考えているだけの事なので、口に出して言う事は無いだろう。
 そんなどうでもいいことを考えつつ、魔道具の構成を考えるのに必死になる考助であった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 その話し合いに、アマミヤの塔から出てきているメンバーは、考助を筆頭に、以下ピーチ、シルヴィア、フローリアである。
 ミツキは当然のように考助のすぐ後ろに立っている。
 もはや塔の管理者側の誰もカールの話を聞いていないと悟ってアレクが、ついに彼の話を止めた。
「あの・・・・・・そろそろいい時間が経っていますので、本題に入っていただけませんか?」
 聞きようによってはかなり失礼な言い方だが、それを気にする者は当の本人を除いて誰もいなかった。
 ゲイツ王国側も同じような反応だったのは、アマミヤ側と同じような気分だったからだろう。
「これだから一般の俗物は困る。私は塔の支配者同士の話をしているのだ。ただの代官風情は黙っていたまえ」
 その言葉に、ようやく考助が反応した。
「その代官風情を信任しているのは私なのですが、その彼に黙っていろと? ついでに私も黙っていましょうか?」
「何をおっしゃる。貴方であれば、私の話も聞き入れてくれるでしょう?」
 ようやく話をしだした考助に、ここぞとばかりに満面の笑みを浮かべたカール。
 残念ながら、考助にはその笑顔は何の意味もなさなかったのだが。
「ああ。貴方の意味のない長話なら聞き流してました。できれば、もう一度話をしてもらえますか? 一言一句全く同じ言葉で」
 勿論これは考助の冗談だ。
 今まで話した言葉を一言一句違えずに話すことなど出来るはずもない。
 分かり易い挑発をしたつもりだったのだが、分かり易い性格をしているカールは、しっかりとその挑発に乗ってくれた。
「なっ・・・・・・!? そんなことが出来るはずが・・・・・・」
「おや、おかしいですね。貴方の言葉だと、塔の管理者は時間が貴重だと仰っていた。その貴重な時間を使ってこれだけ長々と話をしていたのだから、それだけ貴方にとっては重要な話なのでしょう?」
「それとこれとは・・・・・・」
「それでは、今までの貴方は貴重な時間を使って、無駄な話をしていたことになる。私の貴重な時間を返してもらえますか?」
 勿論そんなことは出来るはずもない。
 はっきりきっぱりと、今までの時間は無駄だったと伝えたかったのだが、カールにも何とか理解できたらしい。
「・・・・・・今までの私の話が、無駄だったと?」
「ようやく理解できましたか。そうです。はっきりと無駄でした」
 ニコリと笑って言った考助に、カールは分かり易く怒りの表情を浮かべた。
「黙って聞いていれば、この新米風情が!」
「おや、その新米に対してこうして頭を下げに来ているのは、どこのどなたでしょう?」
「私が、お前に頭を下げているだと・・・・・・!?」
 遂にカールの考助への呼びかけが「お前」に変わったが、考助はまったく気にした様子を見せなかった。
 一々そんなことに反応するのも馬鹿らしいと思っているのだ。
 こうなるように、敢えて挑発を続けたというのもあるのだが。
 その目論見通りに、本性を現してくれたという事になる。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 カールが言いたいことは要するに、塔を管理する方法を教えてほしい、その一言に尽きる。
 今まで考助が無視して来た管理ツールに届いていたメールと変わらない。
 そのメールの中に、カールの物があったかどうかまでは確認していない。
 それはともかくとして、全く返事をしない考助に業を煮やして、こうしてわざわざ直接会いに来たのだろう。
 考助としてはそんなことに一々答える必要性を感じていない。
 何より、一度誰かに教えたりすれば、他の管理者たちからも同じことを要求されるだろう。
 そんな面倒なことは、御免こうむりたかった。
「そうでなければ、何だと言うのです? 要は、塔の管理方法を教えてほしいという事でしょう?」
「そうだ! だから対価として、国との付き合い方を・・・・・・」
「そんな物は必要ありません。私には、貴方が代官風情呼ばわりした者がおりますので」
 長くなりそうなカールの言葉を遮って、さっさとアレクを指し示した。
 こうでもしないと、また長々と話し出すだろう。
「はっきり言えば、貴方が差し出している物に、私は全く魅力を感じません。交渉にもなっていないので、もう二度と来ないでいただきたいのですが? 迷惑ですので」
 もう話す価値もないと判断した考助が、はっきりと結論を言った。
 これには隣にいたアレクも苦笑していたが、今更出した言葉をひっこめることはできない。
 ひっこめるつもりもないのだが。

 そんな考助をカールは、刺し殺すような視線で見ていた。
 今までこのような扱いを受けたことなどないのだろう。
「貴様、この私にそのような物言いをして、タダで済むと思っているのだろうな?」
 そう言って来たカールに、考助も反論しようとしたが、今まで黙っていたフローリアがそれを制した。
「その台詞、そっくりそのままお返ししましょう。貴方こそ、現人神であるコウスケ様にそのような言い方をしてタダで済むと思っているのですか?」
 フローリアの言葉に、カール以外の者達がざわめいたが、カールは一つフンと鼻を鳴らすだけだった。
「なんだ、貴様は?」
「私が誰であるかなど、貴方にとってはどうでもいいことでしょう?」
「なっ・・・・・・!? ぐっ・・・・・・!! き、貴様、何を?」
 突然カールが、苦しそうな表情になった。
 そうなっているのはカールだけで、他の周囲にいる者達には何も起こっていない。
 変わった様子を見せたカールに、不思議そうな視線を向けていた。
「特に何もしてませんが? それとも何ですか? 私のような小娘の視線に気圧されてるのですか?」
 勿論何もしていないと言うのは嘘で、<王者の威圧>をごくごく弱めてカールだけに向けているのだ。
 人間相手に使うとどうなるのかを知りたかったフローリアにとっては、手加減を覚えるための丁度いい実験台だった。
 それに気づいた考助も内心で苦笑しつつその光景を見ているのであった。
遂に出てきました。他の塔の所持者です。
小物感たっぷりですがw

ちなみに、今回の件に関してコウヒとミツキが動いていない理由は後々の話で出てきますので、しばらくお待ちください。
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