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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第24章 塔と加護の力

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(8)考助の頑張り?

 管理層を離れて冒険者活動をしている考助だが、力の発現に関して何もメンバー達だけに放りっぱなしにしているわけではない。
 加護を与えている相手の事だと、ある程度のことが分かるようになっていた。
 当然既に力を発現しているリリカやピーチ、シュレインと言ったメンバーは勿論の事、他のメンバーに関してもある程度の状況がつかめていた。
 これも加護の力を発現しているか、もしくは発現しかかっているためと理解していた。
 考助がピーチの夢見に関して察知をして、管理層に戻れたのもそう言った事情があったためだ。
 離れながらにして状況が理解できているので、ある意味で安心して冒険者活動をしているのである。

 そんな考助だが、自分自身も力について試していた。
 今考助達は、リリカのパーティメンバーと一緒に行動している。
 何故そんなことになっているかと言うと、リリカのパーティリーダーであるサリーに打診されたのだ。
 本当なら一パーティで討伐できる依頼だが、新メンバーが加入したばかりで不安があるので、合同で行かないかと。
 最初はセシルとアリサに打診したのだが、今は考助がいると一度目は断ったそうだ。
 だが、それでも構わないという事だったので、考助のところにも話が来たと言う流れだ。
 考助としてもリリカと行動したかったので、丁度よかったのだ。

 ふとあることを思いついた考助が、隣にいたリリカに聞いた。
「これから倒しに行くブランベアの弱点は胸だっけ?」
「あ、はい。そうですね」
 ブランベアに限らず、動物に似通っているモンスターは大抵心臓がある場所が弱点だが、その位置は大抵決まった所にある。
 ブランベアは、心臓があるのが胸の位置だった。
「ふむ。なるほどね」
「何か思いついたんですか?」
 そう聞いてきたのは、話を聞いていたアリサだった。
 以前もそうなのだが、討伐の際に考助は何かを試すようなことをしていた。
 今回もそのうちの一つなのだろうと当りを付けての質問だった。
「うん。まあ、リリカを見て思いついたんだけどね」
「私を、ですか?」
「そう。まあ、どんなことかは、ついてからのお楽しみ」
 考助はそう言って、にっかりと笑った。
 今回の実験は、ある程度の自信があるのだ。
 もっとも、その実験を行うにはナナの協力が必要不可欠なのだが。
 首を傾げている一同に、考助は現場に着くまでのお楽しみと言って実験の内容までは語らなかった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 まずは、リリカたちのパーティがブランベアを狩ることになった。
 考助達は、リリカたちが何かあった場合に対処できるように待機している。
 最初はやはり連携がぎこちなかったが、見つけた複数のブランベアを最後の一頭を狩るころには、だいぶ改善していたように見えた。
 逆に連携の凄さと言うのを見せつけられた感じだった。
「いや、凄いな。本来の連携ってこういう事なんだろうな」
「そうですね」
 これには、セシルやアリサも頷いていた。
 考助も含めた彼らのパーティの戦闘は、基本的に従魔たちがモンスターを抑えているうちに、精霊魔法(もしくは妖精)で倒すと言うのが大体のパターンだ。
 一応連携と言えば連携なのだが、決着がつくのは一瞬なので、本当の意味での連携とは言えないという事が、サリーたちの戦闘を見て分かった。
「褒めてくれるのは嬉しんだが、あんたたちは普段はどうしているんだ?」
 討伐を終えたサリーが、丁度考助達の話を聞きつけたのか、そう聞いてきた。
 別に隠すことは無いので、先ほどの話をそっくりそのまま話した。
「それはまた・・・・・・羨ましいと言うか、危なっかしいと言うか」
 やはりサリーほどの者となると、考助達の戦い方は危なっかしいという事になるらしい。
「やっぱりそうですか」
「いやまあ、ちゃんと見せてもらわないと何とも言えないけどさ」
 話に聞くのと、実際に見るのとでは受ける印象が全く違う。
 そのためサリーもきちんとした評価をすることは避けた。
 次は考助達の番なのだからきちんとした評価も出来ると思っての事だった。

「・・・・・・・・・・・・」
 考助達の戦闘を見届けたサリーは、口を大きく開けていた。
 サリーに限らず、リリカを含めたパーティーメンバーが似たような表情になっていた。
「なんというか・・・・・・さっきの評価、訂正していいかい?」
「ええと、どういう意味でしょう?」
「この階層で討伐している分には、連携なんて必要ないじゃないか!」
 目の前であっさりと倒されてしまったブランベアを指さして、サリーがそう言った。
 サリーの言葉を聞いたパーティーメンバーたちも大きく頷いていた。
 彼らは精霊魔法がここまで強力な魔法だとは考えていなかったのだ。
 精霊魔法を使ってブランベアを一撃で倒してしまうのは、冗談としか思えない。
 勿論これには、誤解もある。
 精霊魔法が強力なのではなく、それを使っているセシルとアリサが強いのだ。
 もっとも、その二人も精霊使いとしてはさらに上にコレットがいるので、さほど強いと考えていない。
 考助もそうなのだが、セシルもアリサも精霊使いとしての実例をコレットしか知らないのが、この恐ろしい考えを生んでいるとも言える。
 ちなみに、今の戦闘では考助は妖精を呼んでいなかった。
 もし妖精を呼んだらどうなるんだろうなあ、といささかずれたことを考える考助であった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 依頼分の討伐を無事に終えたので、次は考助の実験に皆が付き合うことになった。
 サリーたちのパーティも特に問題なく動けていたので、そのまま帰ってもいいと言ったのだが、考助の実験にサリーも興味を示したのだ。
 別に隠すつもりが無かった考助も、見学したいという申し出を許可したのだ。
 今彼らの目の前では、ブランベアとナナが相対していた。
 ちなみに先ほどまでの戦闘では、ナナは考助の傍からは離れていなかったので、今回が初のお披露目である。
 一匹の狼に睨まれて動かなくなるブランベアと言うのもあり得ない光景なのだが、次の考助の指示もあり得なかった。
「とりあえず、ナナ。胸の辺りに突進してみて」
 考助がそう言うと、ナナがその場から姿を消した。
 そして次の瞬間には、倒れているブランベアとその傍で嬉しそうに尻尾を振っているナナの姿があった。
「うーん。ナナじゃ強すぎていまいち効果が分からないなあ」
 その光景を見たセシルとアリサ以外の者達が、強すぎどころじゃないだろう、と心の中で絶叫したのは致し方のないことだろう。

 さっさとナナに次の指示を出している考助をはた目で見ながら、サリーがセシルとアリサの二人に聞いた。
「な、なんだい、あれは!」
「何と言われても・・・・・・狼の従魔ですが?」
 そう答えながら不思議そうな顔をして首を傾げるセシル。
 ただし「神」が付きますが、というのは言葉にはしない。
 余計な情報を与えても、サリーたちを困らせるだけだろう。
 唯一リリカだけは、微妙な表情になっている。
 神獣に類すると言う所までは分からなくても、何となく察してはいるのだろう。
「あ、あれは・・・・・・ただの狼ではないだろう?」
「それはまあ、ただの狼はあんなことはできませんからね。そう言う意味では、私達の従魔も特殊ですよ?」
 微妙にナナからの興味をずらすように話をしたセシルだったが、サリーはそれには気づかずセシルの足元にいる狼と狐を見た。
 考えてみれば、ブランベアを抑え込める従魔など普通ではないのだ。
 サリーはセシルにそう言われて、ようやくそのことに思い至った。
 どうにも自分の勘も当てにならなくなってきているなあ、と思わず内心でため息を吐くサリーであった。
考助の実験の内容を詳しく書くつもりが、サリーさんが活躍してしまいましたw
後はナナw
ナナに関しては、完全に作者の贔屓ですw
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