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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第23章 塔とプチ家出

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(1)重大発表

珍しく最初から章タイトルが最初から公開になっています。
どういう事になるかは、先の話をお待ちください。
この話では家出はしませんw
 先日行われた一周年を記念した祭りから一週間が過ぎた。
 祭り自体は、一般の有志によって開催されたわけだが、公道の使用やその他さまざまな許可を出すのに、行政府も慌ただしく動いていた。
 完全に裏方で動いていたわけだが、行政府の協力が無ければ、祭りの成功は無かっただろう。
 そんな裏側で動いていた行政府だが、祭りが終わって通常業務モードに移行、と言うわけにはいかなかった。
 上層部から重大な発表がされたのだ。

 その発表の内容は、転移門がある四つの街が完全に傘下に入ることになったというものだった。
 もともとケネルセンは、傘下に入ることが公表されていた。
 ミクセンに関しては、ほとんどクラウンに追従するような態度を取っていたので、これもまたすんなり受け入れられた。
 しかし、他の二つの街に関しては、反目とまでは行かないまでも、良くて態度を保留していたという噂が流れていた。
 だが、その噂に反して今回の発表が行われたことになる。
 この発表に関しては、完全に上層部で話が止まっていたこともあり、どちらの街の住人にとっても寝耳に水の話だった。
 とは言っても、どちらの側の住人もそれに対して、特に反発するということはほとんどなかったのだが。
 この話は、すぐにそれぞれの町中を駆け巡った。
 勿論町中だけにとどまらず、あっという間に大陸中に駆け巡ることになる。

 今回発表されたのは、四つの都市についてだけだったが、当然ながら既に傘下入りを希望している町もある。
 四つの都市の周辺にある町は、この発表に伴い傘下入りが正式に決定することになった。
 基本的に、セントラル大陸の東西南北の街と四つの転移門がある町はともかく、他の町についてはクラウンの大商隊の恩恵から外れてしまえば、決定的に立ち遅れてしまうことになる。
 大陸の全ての町が海沿いにある以上は、ルートから外れるということは無い。
 そして、大商隊が運ぶ全ての商品を東西南北のそれぞれの街まで運ぶわけではなく、当然途中の町でそれらの商品を捌くことになるのだ。
 だが、いくら大商隊とはいえ運べる商品の量には限界がある。
 どの町でどれくらいの荷のやり取りをするか。
 それは、小さい町にとっては時には死活問題に発展しかねないのだ。
 いくら大商隊とは言え、一つの商隊の行動によって町がつぶれたりすることはまずない。
 ないのだが、その商隊が町の住人が望む人気商品を積んでいるとなると話は別だ。
 町にそういった人気商品を落としてくれない場合は、それらの商品を扱う町に人が流れて行ってしまう場合もある。
 結果として、町自体がつぶれはしないまでも、その規模は小さくなってしまうという事もあるのだ。
 小さい町ほどそういったことには敏感だった。
 だからこそ、傘下入りしてでも、そうした商品の流通を確保しなくてはならないのだ。
 今回の発表は、そうした町にとっては、待ち望んだ発表とも言える。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 四つの都市の傘下入りが発表されてから数日後。
 管理層で、いつものように定例会が開かれた。
 勿論今日の主題は、先日行われた発表についてだった。

「先に結論から言うが、どちらの側でも概ね好意的に受け止められているようだな」
「概ね、ね」
 アレクの言い回しに、考助が突っ込んだ。
 彼がわざとそう言った言い方をしている事は、当然考助も気が付いている。
「こういったことに、完全同意されることなどないだろう」
 大きな変化が起こる場合は、当然その変化に割を食う人間も出てくる。
 それが、それなりに儲けを出していた人間なら尚更だ。
 変化に合わせて、自身も変わればさらに大きな儲けを出すことも可能なのだが、今の利益を死守するのに精一杯になってしまう。
「・・・・・・いや、これもこちら側に立った意見か」
 考助は頭を振って、離れた思考を元に戻した。
「・・・・・・で? 問題は表面化しそうなの?」
「表立っては、ないね。まあ、裏で色々あったとしてもそれぞれの町の統治者に抑えられるだろうが」
 アレク、というより行政府は、統治者側が完全にこちら側になっているので、ケネルセンと同様な対応になると読んでいるのだ。
「それってどのくらい信用できるの?」
「まあ七割方と言ったところかな」
「また微妙な数値だね」
「そもそもこの大陸の為政者相手に、完全に信用することなどできないよ。状況次第でどちらにでも転ぶからな」
 それこそケネルセンの六侯のように、信条のような物があればある程度は信用できるが、そうでない場合は完全に信用することなどできない。
 あるいは、国家が存在していて、その国家に帰属する意識があれば信用することも出来るかもしれないが、セントラル大陸には国家というものは存在していない。
 まだそうであるからこそ、アマミヤの塔の傘下入りすることを決められたという事にもなるのだが。

「なんか、危なっかしい気もするけど、それはともかく、こっちは大丈夫なの?」
 こっちと言うのは、第五層の街の事だ。
「ああ、其方はそもそも反対する者がいないくらいで、むしろどうしてもっと早く発表しなかったという意見が多いくらいだな」
 アレクは、苦笑してそう言った。
「それはまた無茶だな」
 そもそも転移門がある四つの町の傘下入りが決まったのは、本当に祭りが実行される直前だったのだ。
 祭りの騒ぎに乗じて持ってきたのではないかと疑ったのだが、あながちそれも間違ってはいなかった。
 転移門ですぐにいけるとなると、例え同じ町でなくても浮ついた雰囲気になる。
 そういった時を狙って話を持ってきていたのだ。
「そう言うわけだから、特にこちら側は問題ない。今の騒ぎもいずれ収まるだろう」
 行政府の関係者は、アレクの言葉に同意するように頷いていた。

「それで? これによって他がどう出てくると読んでるの?」
「その読みは、今のところ難しいね。結局、距離の問題があるから」
 やはり転移門がある町に近いところは傘下入りしやすく、離れれば離れるほどその傾向は低くなる。
 別に全ての都市の傘下入りを狙っているわけではないので、特に問題はない・・・・・・というより傘下入りする町が増えれば増えるほど、余計な気を回さなくてはならなくなる。
「いっそのこと、転移門の設置を餌にして東西南北の街も傘下入り促してみる?」
 冗談めかして言う考助に、シュミットが反応した。
「それは是非とも実行してほしいですな。商隊的に」
 転移門の数が倍になれば、商隊にかかるコストは激減、とまではいかなくても大幅に減らせるのだ。
 だが、流石にその話にはアレクが苦笑して止めた。
「ちょっと待ってくれ。彼の四つの都市に関しては、例の攻撃兵器の件が効いてるからな。今すぐに結論は出さなくてもいいだろう」
「と、いう事は、どこか動きがありそうってこと?」
「確定ではないがね。今回の件でどう動くかによるな」
 アレクは、今下手にこちら側から突くと、上手く行くはずのことも、上手く行かなくなると読んでいる。
「ふーん。まあこっちの街に被害が出なければ、どうなってもいいけどね」
 考助にしてみれば、第五層の街以外はおまけで付いて来たような物だ。
 何が何でも傘下入りしてほしいと言うわけでもない。
 もっとも傘下入りすれば第五層の街が発展することは分かっているので、傘下入りしてほしくないというわけでもない。
 結局、考助はどこまでも塔の事だけを考えているのだ。
 だがそんな考助にアレクは、一同を代表して今まで考助が考えていなかったことを言いだしたのであった。
アレクが何を言いだしたかは次話です。
定例会と言いつつ、ほぼ考助とアレクだけの会話になってしまいました。
申し訳程度に、シュミットが登場していますw
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