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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第21章 塔と加護と進化と

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(10)眷属の変化

 第十四層にある転移門からゴブリンたちのいる拠点は、すぐ傍にある。
 考助達が転移門をクグってすぐに、拠点から駆け寄ってくる集団がいた。
 これは別に珍しいことではなく、ゴブリンたちには多少の知恵があるのか、考助が来ると以前からこうした動きを見せていた。
 問題は、そのこと自体ではなく、その集団が考助達が近寄ってきたのを見て、傅いたことだ。
 特にその傅いている集団の一番前にいた個体が、はっきり言って以前のゴブリンとは思えない程の変貌を遂げていた。
 頭にある二つの角と尖った耳以外は、ほとんどヒューマンと区別がつかない外見になっていた。
 何が大きく変わったのかとよく見てみると、髪が生えていたのだ。
 最初その姿を見た時、髪だけでここまで大きく印象が変わるのかと思ったほどだった。
 さらにその変化は、外見だけではなく大きく違っていると事があった。

「ヨウコソイラッシャイマシタ」
 片言ではあるが、言葉を話すようになっていたのだ。
 もともとゴブリンたちは、言葉でコミュニケーションを取っている感じはあった。
 だが、それはあくまでも同族内でのみ通じる言葉で、共通語は話していなかった。
 それを目の前の個体は完全に理解しているようだった。
 スキルを確認すると、<言語理解>も持っていたが、その他に<共通語>を持っていた。
 恐らくこのスキルのおかげで話せるようになったのだろう。
 このゴブリンを含めて、南東の塔でも出ている鬼人は勿論、新たに大鬼人と鬼人頭と言う種が増えていた。
 言葉を操れるようになったのは、鬼人頭だった。
 大鬼人は鬼人よりもさらに一回り大きくなっている。
 見た目からも完全にパワーファイターになっていることがうかがえた。

 残念ながら鬼人頭になっていたのは、最初に挨拶に来た一体だけだった。
 大鬼人は複数進化している者がいたが、加護を与えた個体以外にも進化している者がいたので、加護に関係なく進化しているのだろう。
 鬼人頭が、どういうルートで進化をしたのかは不明だが、数が増えてくれば確認することも可能だろう。
 名前から言っても、更に先の進化も考えられる。
 鬼人頭がいることから、完全に統率がとれている集団になっている。
 以前は小集団が集まっているという感じだったのだが、それが個々に連携を取って動いているのだ。
 いろんな意味で楽しみな種族になっていた。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ゴブリンたちの変貌に驚きながら最後に狐達の様子を見に行った。
 こちらは拍子抜けするほどいつもと違いが無かった。
 勿論進化している個体は増えていたが、その種類が増えているということは無かったのだ。
 ただし、初めてワンリ以外に多尾狐になっている個体が数体出ていた。
 今のところまだ二尾の個体なのだが、これが成長すればワンリと同じように、人化できる個体になるかもしれない。

「変化を持っている天狐や地狐で、他に人化は出来るようになったりする個体はいないの?」
 今のところ人化が出来る狐種は、ワンリも含めて三人(匹?)いるが、他には出てきていない。
「うーん。わからない」
 考助の質問に、ワンリが答えた。
 いくらワンリでも、妖狐達のことについて、全てわかっているわけではない。
「そうか。じゃあ多尾狐になったのは、どの種族から?」
「それは私と同じ妖狐から。天狐とか地狐からは、多尾狐にはならないみたい」
 第八層にある百合之神社で、ワンリから狐達の状況を確認していくが、特に変わったことは無いらしいことがわかった。
 多尾狐に関しては、ワンリも注意をして見ているようで、もし人化が出来るようになればすぐに連れて来ると言っていた。

 ワンリから狐達の様子を聞くために百合之神社に来ていたのだが、そのついでとばかりにサキたちに現在の状態を聞いた。
 といってもサキたちも定期的にワーヒドの所に報告に行っているので、特に問題は起きていないことは分かっている。
 最近は、冒険者としてめっきり忙しくなっているセシルやアリサに代わってきちんと管理が出来ているようだった。
 時折、セシルやアリサも様子を見に来ているようだった。
 サキたち三人とは特に話し込むこともないので、すぐに会話が終わり管理層に戻ろうとしたところで、ユリに呼び止められた。
「考助様、よろしいですか?」
「ん? 何かあった?」
「はい。最近はこの辺一帯の力も安定して取り込めるようになってきたので、そろそろエリアを広げてほしいかと思いまして」
「あ、そうか。そんなこと言ってたっけ」
 以前にユリと話をしていて、世界樹と同じような役割をしているのであれば、当然階層を広げればその分力が強くなるのではないかと相談していたのだ。
 その時は、まだ力が安定していないので、安定した時にまた相談してくださいと言われていた。
 考助はそのことをすっかり忘れていたのだが、百合はしっかりと覚えていたようだった。
「わかった。階層合成してみるよ。それで、合成する階層だけど・・・ワンリ」
「何?」
「第十層と第四十八層を持ってくる予定だけど、問題あるかな?」
 どちらも狐達がいる階層だ。
 どうせだったら一緒に合わせた方がいいと考えたのである。
「ううん。特に問題ないよ?」
「そうか。じゃあまずはその二つで決定ね」
「わかりました」
 二つの階層を合成する神力は今でも十分に貯まっているので、管理層に戻ったらすぐに実行することを告げた。

「そう言えば、力が上がったらまたできること増えるの?」
 考助の疑問に、百合が頷いた。
「はい。増えますね」
「例えばどんなことが出来るようになるの?」
「分殿を用意する許可をいただければ、こちらに何かあった時に、其方の方に力の移譲ができるようになります」
「その分殿はやっぱり地脈の交点の上に設置する感じ?」
 百合之神社を用意した時と同じように、普通の神社を設置する必要があるのか知りたかったのだ。
 だが、百合の返答は全くその必要性が無いという物だった。
「いえ。特に何かをしていただく必要はないです。建物も全て私が用意します。設置する許可だけをいただければいいです」
「なにそれ、便利・・・って、あれ? それって、このエリアの中のこと?」
 考助は自分とユリの話に多少の食い違いがあることに気付いた。
「はい。そうです」
「ああ、やっぱり」
 考助は、別の階層のエリアに分殿を作るつもりでいたのだ。
「別の階層には出来ないの?」
「それは、難しいです。そもそも塔の階層は、一つ一つ独立した世界のような物ですから」
 実際に別の階層に分殿を作るようにするとなると、かなりの力が必要になるということだった。
「階層合成した場合はどうなるんだろうね?」
「それは、実際に見てみないと何とも言えませんが、恐らく大丈夫かと」
「へー。それは何で?」
「階層の合成をして、地脈の力が上がるという事は、物理的にも地脈が繋がっているという事になります」
 地脈の力が物理的に繋がっているという事は、分殿への移譲も出来るという事だった。
「なるほどね。取りあえず合成してみて様子を見てみた方がいいかな?」
「はい」
 そもそもまだ階層合成を行っていない。
 合成を行って力が上がってからの話なので、いつものようにまずは試してみてからという事で話は終わったのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 第八層から戻った考助は、早速階層合成をおこなった。
 合成を行ってすぐに、念のため第八層に取って返して様子を見に行ったのだが、特に問題はなさそうだった。
 今は二つの階層だけを合成しているが、様子を見た上でさらに合成をする予定だ。
 世界樹の時と同じように、最終的には全部で九つの階層を合わせるつもりなのだ。
 流石に世界樹と同じくらいに神力を稼げているわけではない。
 だが、この階層合成により百合之神社もかなり神力を稼ぐ存在になるのであった。
これで第二十一章の本編は終了です。
最後の二話で一気に進化を書きましたが如何でしたでしょうか?
ゴブリンたちは、今後も成長させる予定満々ですw
最初からもっと色々させようかと思ったんですが、流石に進化が飛びすぎるとあれかと思ったので自重しています。
そして、久しぶりに階層合成が出てきました。
作者もその存在を久しぶりに思い出した次第です。
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