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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第21章 塔と加護と進化と

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(9)加護の効果

 四属性の宝玉は、しばらく待ちの状態になった。
 妖精の力が安定するのがどれくらいかかるのかは分からないが、結果を楽しみに待つことになる。
 宝玉に神具を与えてから数日たったある日。
 ナナが二匹の仲間を連れて管理層へやって来た。
「ああ、なんかデジャブ感があるな・・・」
「デジャブですか?」
 たまたま近くにいたシルヴィアが、首を傾げて聞いてきた。
「ああ、いや。何でもない。それよりも、ナナ。また前と同じ用事か?」
 一応質問してみたが、当然返事は返ってこなかった。
 だが、尻尾をブンブンと振っている。
 その様子を見ると何となく合っている気がしたので、妖精を呼び出すまでもなく、連れて来た狼二匹の様子を確認した。
 すると予想通り、二匹とも進化を果たしていた。
 一匹は白狼から進化した白影狼で、もう一匹は黒狼から進化した黒影狼になっていた。
 共通するスキルとして、<影隠れ>というスキルを持っていた。
 当然と言うか、どちらも<考助の加護>を持っている。
 加護を与えた結果、順調に進化できたのだろう。
 念の為、右目の力で確認をすると、以前表示されていた<進化の~>の表示が無くなっている。
 進化をしたことで、表示できる内容も無くなったという事だろう。

 <進化の~>と言うのは、既にいくつかの種類があることが確認できている。
 しかしながら、進化の条件を満たそうとしている存在がすべて同じルートをたどるかまでは確認できていない。
 名前と進化の状態で判断する限りでは、萌芽→伸長→開花→実り(又は結実)の順になっていると思うのだが、それが正解かどうかは分からない。
 一応、色々見ている限りでは間違いなさそうなのだが、そもそも見ているタイミングによって違っているので何とも言えないのだ。
 今回の狼達にしても、萌芽の状態は見ていたが、それ以降は確認できていない。
 出来ていないのだが、実際に進化は出来ているので、右目の力は進化の状態を表していることは間違いない。
「うーん・・・。考え方は間違っていないと思うけど、何とも使い勝手が悪い力のような気がするなあ」
 考助のその呟きに、シルヴィアが反論して来た。
「いえ。そもそも進化するかどうかなど、普通は見れないのを忘れないでくださいね」
「それはそうなんだけどね」
「ステータス表示も表示されるだけで、成長するかどうかはあくまでその者の経験によりますわ。それを考えれば、進化の表示も同じような物と考えていいのではないでしょうか?」
「ああ、そうか。そう考えると、左目も右目も本質は一緒か」
 ステータス表示の時は、少なくとも眷属に対しては、環境(外敵など)を用意してステータスを上げていた。
 進化の状態表示の時も、<考助の加護>を与えたら進化したという事だ。
 そもそも進化は、加護を与えるだけで起こるわけではない。
 それを考えると、逆の事も見えてくる。
「とすると、今回見えていたのは、あくまで加護を与えると進化する場合だけ表示されていて、別の条件の場合は、見れていない可能性もあるのかな」
「そう言う可能性もありますわ」
「だよねえ」
 要するに右目の力が不完全で、今見ているものは一部の条件のものしか表示されていないということだ。
 進化の条件が一通りしかないという事自体が不自然なので、十分にあり得る可能性だ。
「まあ、それに関しては、右目の力を使いこなしていくしかないということか。どうすればいいのか見当もつかないけど」
「参考にするものがないので、しょうがないですわ。ゆっくり検証していくしかありません」
「そうなるね。それは今すぐにどうこうできるわけじゃないから、後でじっくり考えるとして、今は他の事を確認しに行こうか」
「他の事とは?」
 首を傾げるシルヴィアに、考助はナナの首筋を撫でながら答えた。
「それは勿論、他の召喚獣たちが進化しているかどうかを調べに行くんだよ」

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 調査には、シルヴィアとコレットがついてきた。
 時間が空いていたというのもあるのだが、眷属たちがどういう進化をしているのかを確認するためだ。
 今のところアマミヤの塔以外の塔の眷属たちには、加護を与えていない。
 それぞれの塔で、環境などの条件が違いすぎるので、単純な比較は出来ないのだが、参考にできる部分はたくさんある。
 更に、シルヴィアやコレットにも別の目的があるのだが、それを考助には今のところ話すつもりはない。
 何故かと言うと、悪い結果が出る場合もあるので、わざわざ伝える必要がないと考えての事だった。

 まずは第八十一層の狼達から確認していくことにした。
 ナナが管理層に二匹連れて来たとはいえ、別の進化をしている個体もいるかもしれないからだ。
 結果としては、別の進化をしている個体もいた。
 コレットに通訳してもらったナナ曰く、元々この階層に来てもらうつもりだったとか。
 二匹だけ連れて来たのは、あくまでも進化した個体がいることを知らせるつもりだけだったらしい。
 そんなわけで、狼達を確認したのだが、黒狼がさらに別の二種類の変化をしていた。
 一つの種族は黒狼頭。
 白狼頭の黒狼バージョンと言った感じで、魔法スキルが使えるようになっていた。
 もう一つの種族が黒瞬狼だ。
 こちらは、共通して<俊足>と言うスキルが使えるようになっている。
 以前に加護を与えた全ての個体が進化をしているわけではないので、今後も継続してみていく必要がある。
 さらに、白狼は<進化の萌芽>が出ていなかったのに、出ていた黒狼と同じ進化をしていることも興味深い。
 ここに来る前に考えていた「加護を与えると進化する者だけ表示される」と言う条件も、必ず表示されるわけではないことが図らずも証明されたわけだ。
「益々意味が分からなくなったな・・・」
 単に目覚めたばかりの力なので、適応範囲が狭いのか、あるいは元々そう言う力なのか、判断が出来ない。
 前者だとまだいいのだが、後者だといろんな意味でどういった力なのかが分からなくなる。
 その情報を仕入れるためにも、狼がいる階層以外の眷属たちの様子も見に行くことにした。

 以前眷属たちに加護を与えたのは、天狐と地狐の妖狐をはじめとして、飛龍たちを除いたアマミヤの塔に召喚している全ての眷属たちだ。
 結果として、加護を与えた種族の全てで進化が確認できた。
 まずスライムだが、狼達のように複数種類の進化を行っていた。
 そもそも南東の塔でも複数種類確認できていたので、順当と言えば順当と言えるかもしれない。
 強さもかなり強くなっているようで、少なくとも初級モンスターでは相手にならなくなっていた。
 そろそろ中級モンスターの召喚陣を設置してもいいのかもしれない。

 続いてミニドラたちだが、彼らは彼らでまた北西の塔とは別の進化をしていた。
 スキルを確認すると、狼達や狐達と同じように神力操作のスキルが付いていたので、その影響もあるのだろう。
 その種族名は、ウイングドラゴンと表示されていた。
 その名前を聞いたシルヴィアとコレットは、乾いた笑いを浮かべていた。
 それもそのはずで、ウイングドラゴンと言えば、一流の冒険者たちが複数でかかってようやく倒せるというレベルのドラゴンなのだ。
 ちなみに、塔の階層で言えば、八十台の階層にいてもおかしくないレベルの強さになる。
 一気に成長しすぎだろうと思わなくもなかったが、そもそもドラゴン自体が強い個体なのでこんなものなのかもしれないと、事実は事実として受け止めることにした。

 レイスたちもまた、北東の塔とは別の進化を辿っていた。
 北東の塔で出ている知霊体チレイスは出てきていない代わりに、魔霊体マッドレイスと言う種族が出ていた。
 基本はチレイスと同じで魔法スキルが使えるようになっているのだが、それに加えて<魔力操作>と<神力操作>のスキルが加わっている。
 チレイスもそうなのだが、レイスと違って知性を感じさせる動きをしている。
 続いてゴブリンたちの確認をしに向かったのだが、大変貌と言えるような進化を遂げて、考助達は驚くことになるのであった。
初級から一気に上級に進化を果たしたドラゴンですが、中間層のドラゴンももちろんいます。
ただ、神力使えるドラゴンが中級にいるのはおかしくないか、と考えた結果、一気に成長させることになりました。
そのほかの種族については、また次の話で結果報告になります。
・・・ゴブリンが・・・。
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