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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 塔へ色々な種族を受け入れよう

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(4) イグリッド族

前話で一区切りと書いた割には最初に少し世界樹の話が入っています。
今回は、召喚と契約と眷属について少しだけ触れてます。
 エルフの里から世界樹の枝を持ち帰った考助は、その足で七十三階層へ向かった。
 まずは世界樹へ向かい考助が里で授かった力を、そっくりそのまま世界樹へ渡した。
 するとそれに合わせて世界樹が少し大きくなり、さらに手のひら大だった精霊は劇的に変化した。
 外見は小学生くらいの女の子に変化して、さらに言葉も多少舌足らずなところもあるが、言葉を話せるようになったのだ。
 力を授けるまでとは違い、明らかにエルフの里で出会った妖精を思わせる変化だ。
 ついでに名前を付けるように要求されたので、エセナと名付けると嬉しそうに笑っていた。
 その笑顔を見た考助が、

(なにこのかわいい子。ロ○に目覚めさせる気か・・・!?)

 と戦々恐々としていたのは、また別の話だ。
 それはともかく、次はそのエセナを引き連れて世界樹の枝を植える場所の選定である。
 これは完全に、一緒に戻ってきたセーラ任せになった。
 セーラが選んだ場所に枝を植えて、エセナとセーラがその場に根付くようにと魔法を使った。
 見た目上は特に変化はなかったが、上手く成長できるかどうかはこれからきちんと調整が必要だということだった。
 それにはある程度の時間がかかるとのことで、とりあえず考助とミツキは管理層へと戻った。

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 エルフの里から帰ってきて二日後。
 管理メニューを確認すると塔LV4になっていた。
 といっても塔LV3への変更に比べて大きな変化は無かった。
 各階層へ設置する設置物の追加と召喚陣の追加くらいで、他には<転移>という機能が追加されていたくらいである。
 <転移>に関しては、セントラル大陸に限って、塔(の管理層)から好きな場所に転移できるという便利な機能だ。
 大陸内でしか使えないが、それでも非常に便利な機能なので有効に活用できるだろう。

 相変わらずステータス確認用の神具の作成で行き詰っていた考助に、今度はミツキが相談事を持ってきた。
 ミツキが管理している第七十六層は、吸血姫であるシュレインが召喚を行うことによって一族を次々に迎え入れていた。
 ここでいう召喚とは、以前にコウヒやミツキが行ったものとはまた別のことを指す。
 シュレインの吸血一族は、ごく一般的な血のつながりももちろんあるが、吸血行為による契約で出来た眷属も同じ一族となる。
 シュレイン自身は吸血契約はしたことがないそうだが、その場合の眷属は普通の召喚と同じように呼び寄せることができるとのことだった。
 どちらかというと、考助とコー(飛龍)が結んでる契約に近い。
 そうした召喚によりシュレインは、城を管理するための一族を呼び寄せたのだ。

「・・・で? 相談って何?」
「シュレインがね、自分も自由に管理層に来れるように「却下」・・・全部言わせてもらえないのね」
「だって、どう考えても僕の血を狙ってるよね、あれ」
「あれ、って・・・まあいいけど。逆に血を狙わなかったらいいの?」
 考助は虚を突かれたような表情になった。
「・・・・・・えっ!?」
「第七十三層はこれからますます手が離せなくなるだろうし、第五層の方もそろそろ開通の準備が出来そうな状態で、これから先、考助様は今みたいにここに引きこもるだけっていうのは難しくなるわ」
「・・・・・・引きこもるってのはあれだけど・・・まあ、そうだろうね」
「ということは、コウヒか私のどちらかの手が出来るだけ空いていた方がいいけれど、コウヒはエルフがあれだから私の手を空けたほうがいいわ」
「・・・なるほど、それでシュレインを?」
「そうよ。それと、あともう一つ。彼女と考助様は、血の契約を結んでるわ」
「血の契約・・・?」
 全く聞いたことのなかった考助にしてみれば、なんだそれは、という感じである。
「彼女の召喚した時に、血をあげたでしょう? あれよ」
「ただ血をあげただけじゃないのか?」
「そうなんだけどね、彼女があなたを気に入ったので、自分から結んだと言っていたわ」
「・・・・・・大丈夫なのか、それは?」
 どこまでも疑り深い考助に、ミツキは苦笑した。
「大丈夫よ。どうやら彼女もあなたの眷属になったみたいだから」
「・・・・・・へ?」
 さらりと投下された爆弾に、考助は間抜けな声を出した。
「次に会ったときに、ステータスを確認してみたらどう? はっきりするわよ」
 その話を聞いて、考助はミツキがなぜこの話を持ってきたのかわかった。
 基本的に眷属となった者は、その主たる者に対して大きく逆らうことはできない。
 ただしその行為が主の命を助けることにつながる場合は除くという注釈がつくが。
 逆らうというのは、裏切り行為を働いたりその命を害することにつながる行為ができないという意味である。そうでなければ、言うことを聞くだけのただの人形になってしまう。
 これから先忙しくなるのが確定している中で、新たな眷属を得ることができるというのは、いい話なのである。

「それで? どうなのかしら? 血を狙わなければ、彼女を管理員として迎え入れてもらえるかしら?」
「・・・ウッ・・・!」
 なんとなく理詰めで外堀を埋められた気がした考助である。
 だが、今後のためにも信頼できる仲間を増やさなければならないのも確かに重要なのだ。
「・・・・・・わかったよ。シュレインを管理員にしよう」
「本当かの、考助殿?」
 突然いなかったはずの声が背後から聞こえてきて、考助は思わず身構えた。
 それも空しく、考助はあっさりと背後から誰かに抱きすくめられた。
 後頭部に柔らかい何かが押し当てられているのを感じるが、それは極力無視することにした。
「シュ・・・シュレイン、いつから、ここに・・・!?」
「ミツキ殿がここに来た時から、かの?」
「ほとんど最初から・・・!?」
 コウヒもミツキも何も言っていなかったので、全く気付いていなかった考助だった。
 そのコウヒとミツキは、二人を見てニヤニヤしていた。
「それで、吾がここに加わるのは、ダメかの?」
 そのあまりにも気弱な、らしくないシュレインの言葉に、思わず考助も一瞬言葉を詰まらせた。
「・・・い・・・いや、そんなことはない・・・よ?」
「ほんとかの・・・!?」
「うん、まあ。はい」
 何とも煮え切らない返事だが、それでもシュレインにしてみれば、それでも嬉しかったのか、顔を綻ばせた。
「ありがとう・・・!!」
 そう言ってさらに考助を抱きしめる力を強めた。

(うわっ・・・ちょっと待って、そんなに力入れられると・・・)

 とある事情により慌てる考助に、シュレインは一瞬だけ不思議そうな顔になり、すぐにその理由に気付いてニマリと笑った。
「うぬ。やはり考助殿も男よの」
 そう言って、その立派な二子山を後頭部にさらに押し付けた。
「げげっ(ばれてーら)」
 考助は慌ててコウヒとミツキを見るが、なぜか二人は呆れたようにため息を吐くか、さすがよねーという感じで笑っていた。
 そんな感じで考助とシュレインの攻防は、しばらくの間続けられることになった。

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「イグリッド族?」
 考助としては断固として否定するであろう、シュレインのスキンシップが終わった後、改めてシュレインがその名を口にした。
「うむ。城の管理だけならば吾の一族だけで手は足りるが、あの階層全てとなるとどう考えても手が足りないからの。ならば、いっそのこと吾等と所縁のある種族をあそこへ呼び込みたいと思うての」
「所縁のあるって?」
「・・・かの一族は、はるか昔に争いを避けるため地底で過ごすことを選んだ種族での。普段は他の種族では通り抜けることのできない所で生活しているのだ。それがある時期になると、一族の一部が地表に出てきて生活を始めることがある。ところが、それが問題での」
「問題?」
「うむ。あの一族は、エルフ族とはまた違った意味で容姿に優れておると有名な種族での。簡単に言えば、小柄な体長とほとんど老いることのない容姿のおかげで、人形のような、とよく形容されるのだ」
 そこまで言われれば、考助も察しが付く。
 そんな一族を狙う筆頭は、良い意味でも悪い意味でもそういう趣味を持った者達だと、どう考えても容易に想像できる。
「・・・あー。なるほど、それで?」
「さらに困ったことに、その容姿からも分かる通り、イグリッド族は非常に弱い種族での。ある時、吾の一族の者が取引を持ち掛けて、イグリッド族を吾の一族で保護する代わりにある物を要求したのだ」
「・・・それは?」
「吾の一族で必要とする血と彼らの作る物だの。彼らは長い間、地下で過ごしていたこともあって手先が器用なことでも有名での」
「・・・結局血か。そういうことか・・・」
 考助のその言葉に、シュレインは多少ムッとした様子を見せた。
「一応言っておくが、おそらく考助殿は、多少吾らのことを勘違いをされておるぞ?吾の一族は確かに人類種の血を飲んだりするが、特に必需品というわけでもないのだ」
「・・・えっ? そうなの!?」
 そんなことは初耳である考助であった。
「そうなのだ。吾らにとっての人類種の血というのは、どちらかというと、嗜好品に近いかの」
「へー、そうなのか。・・・・・・ごめん」
「い、いや、別に謝ってもらうほどの・・・いや、まあ・・・コホン。ともかく、そういう契約で吾の一族は、昔から彼らを保護しておったということだ」
 素直にあっさりと謝った考助に、あたふたするシュレインを楽しそうに見ながら考助は頷いた。
「なるほどね。ということは、シュレインはそのイグリッド族をこの塔に迎え入れたいと?」
「・・・駄目かの?」
「いや。いいと思うよ。そのイグリッド族が作る物にも興味があるし」
「そうか・・・! いや、よかった。では、早速迎え入れる手筈を取らねばな」
「あ、おい・・・って、行っちゃったし。まだ管理員にしてないのに・・・」
 勢いよく管理室を去って行ったシュレインに、考助は苦笑した。
「ごめんミツキ。ちょっと追いかけて、転移門の操作方法教えてくれないかな? 管理員には設定しておくから」
「わかったわ」
 考助の言葉に、ミツキは頷いて管理室を出て行った。
 そして後にはコウヒと考助が残されたのである。

 結局、第五層の転移門が開通するのと前後して、第七十三層にはエルフ族、第七十六層にはイグリッド族が加わることになるのであった。
次話翌日20時投稿予定

2014/5/11 誤字修正
塔LV4のLVアップについて追加
2014/6/6 誤字脱字訂正
+注意+
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