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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第20章 塔の機能を使ってみよう

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閑話 精霊使いと従魔(後編)

 セシルとアリサがクラウン本部の冒険者スペースを訪れると、一瞬場がざわめいた。
 それもそうだろう。
 今まで一度も従魔などを連れていなかった二人が、四匹もの従魔を連れて来たのだから。
 Cランクになっている二人は、それなりに知名度が上がっている。
 勿論他にもCランク以上の者達もいるのだが、奴隷二人だけで活動している女性二人に注目が集まっているのだ。
 何より二人がヒューマンでは珍しい精霊使いであることが、それに拍車をかけていた。
 Cランクに上がる前から自分たちのパーティーに加えようとする動きはあったのだが、それが更に加速した。
 今のところどことも組んではいないという噂が流れていたが、だからこそ獲得に動こうとする者達も多いのである。

 二人がカウンターに近づくと、目を丸くしている受付にセシルが苦笑して言った。
「いつまでも呆けていると、リーダーに怒られるわよ」
 その言葉にハッとした受付は、そっと後ろの方を見たが、幸いにもリーダーはまだ気づいていなかった。
「・・・失礼しました。ありがとうございます」
 後ろの「ありがとうございます」は小声だった。
「それで、何かご用でしょうか?」
 見たところ二人とも手には依頼票は持っていない。
 依頼の受付ではなく、別の用事だと思ったのだ。
「ええ。今日は、この子達の従魔登録をしようと思って」
「かしこまりました。首輪もいりますか?」
「そうね。この子達の分と後もう一つ出してもらえる?」
 そのもう一つというのは、考助に頼まれていたナナの分だ。
 取りあえず連携を試した後、報告することになっているので、その時に渡すつもりだった。
「首輪を用意しますので、少しだけお待ちください」
 受付はそう言ってカウンターの奥へと向かった。
 待っている間に、二人は従魔登録の用紙に記入を行う。
 受付はすぐに戻ってきた。
 その手には五本の首輪が握られていた。
 当然公的に従魔であることを認める刻印が入っている物だ。
 この首輪をしているモンスターは、正式に従魔であることを認められ、町の中でも自由に出歩くことが出来る。
 といっても、当然ながら飼い主の同伴は必要になるのだが。
 同時に、素材目的の狩りの対象からも外される。
 あくまでも従魔は飼い主の所有物の扱いなのだが、飼い主の財産を奪ったことになるのだ。
 他人の従魔を飼い主の許可なく狩った者は、強盗と同じ罪に問われることになる。

「用紙の記入は・・・終わっていますね。では、首輪を付けてもらえれば、正式に従魔として認められます」
 首輪そのものに、登録証としての認識プレートが埋め込まれているので、飼い主たちの魔力を登録すれば正式な従魔として認められる仕組みになっている。
 プレートへの登録と、クラウン(ギルド)への登録は全く別の物だ。
 クラウンへの登録は、町での活動を認められるために必要になるのだが、町の外にいる限りはその必要はない。
 ただし、当然首輪がないと他の野生のモンスターと区別がつかないので、その区別を付けるために首輪が必要になるという事なのだ。
 ちなみに、以前考助がナナとワンリを連れてナンセンに行ったことがあったが、その時は首輪を付けていなかった。
 従魔登録や首輪の装着は特に必須というわけではないので、それは問題はない。
 ただ、当然襲われたとしても文句が言えないという事になる。
 考助もその時は全くそんなことを知らなかったので、後から聞いて冷汗を流した。
 もっとも、ナナもワンリも考助がいないときに襲われたりしたらさっさと逃げるように言いつけていたので、どちらにせよ大事には至らなかっただろうが。

 無事に従魔登録を終えた二人だが、用事はそれだけではなかった。
「あとは、素材の買取をしてもらえるかしら?」
 ここに来る前に、連携を確かめるために軽く討伐を行っていたのだ。
 その時の素材が貯まっていたので、それを売り払うのだ。
 依頼を受けていなくても、商品として成り立つ素材であれば、いつでも買取は行っている。
 特にクラウンは、商人部門もあるので、同じカウンターで買取も行ってくれる。
 ただし、買取には専門の知識が必要になるので、別の者が行う。
「かしこまりました。担当を呼んできます」
 勿論今回のように受付の窓口ではなく、買取専用の窓口も設けらている。
 とはいえ、別の窓口にわざわざ向かうのは手間がかかるので、同じ窓口でも受けられるようになっているのだ。
 この辺はクラウンとしての機能が生かされていると言える。

 買取の担当者はすぐにやってきた。
「お待たせしましたかの?」
「いいのよ。こっちで買取してもらうんだからこれくらいは待たないとね」
 特に待たされたという感じでもなかったので、無難にそう返しておいた。
 実際ひどいときは、普通に買取専用窓口へ行った方がいいときもあるのだ。
「では、拝見させてもらいましょうか」
 その言葉を皮切りに、次々と素材を出して行く二人。
 どう考えても持っているバックと、出てくる素材の容量が合わない。
 二人が持っているバックは、考助からついでに渡された収納用バックだ。
 コウヒとミツキの協力の元、アイテムボックスの魔法が使われている。
 残念ながら直接魔法を使うよりも容量は減っているが、それでも冒険者たちにとっては、垂涎の的だろう。
 現に、二人が出す素材の量を目を丸くしながら見ていた。
 担当者はそれに驚くこともなく、淡々と出て来る素材を鑑定している。
 ただし、手に取るたびに、はーんだのふーんだの感心するような声を上げていたが。
「いや、どれもこれも状態が素晴らしい。今まで持ち込んだ中でも最高なんじゃないか?」
「そうね。この子達のおかげよ」
 今までの二人は、精霊魔法を使って討伐するのがメインだった。
 そのため素材に何らかしらのダメージが入ったりして、決して最高の状態とは言えなかったのだ。
 だが、従魔が加わったことでそれが一変したのだ。
 二人が魔法で牽制するかあるいは、従魔たちが牽制している間に、魔法で一発で倒してしまうか。
 長引いていた戦闘が、短くなっているのも大きい。

「そうだな。全部合わせて二金貨でどうだ?」
 その言葉に、アリサとセシルも驚いた。
 今までの稼ぎとは倍以上違っていたのだ。
 状態がいいとは思っていたが、そこまで違いが出るとは思っていなかった。
「そんなにいい状態なんですか?」
 興味を持ったのか、セシルが担当者にそう聞いた。
「ああ。特に魔獣系の毛皮の状態が良いからな。これならコートの素材用に高く売れる」
 それを聞いたセシルも納得した。
 獣系の魔獣は、狼達が気管に噛みつくことで窒息死させて倒していた。
 魔法を使って討伐すると、どうしても素材が傷んでしまうのだが、狼達の倒し方だとそう言ったことがないのだ。
 その話をセシルから聞いた担当者も納得したように頷いていた。
「いつでもこの状態で持ち込めるなら、クエストなど受けなくても安定して収入が見込めるんじゃないか?」
「そこまでですか」
「ああ。いい状態の毛皮の需要はいつでもあるからな。別にセントラルだけで消費するわけでもないしな」
 ちなみに二人が狩って来た毛皮は、アマミヤの塔でしか見つかっていない種族の物だったので、この先も当分は値が下がることは無いだろうということだった。

 これを機に、二人は指名依頼以外のクエストを受けなくなり、素材を売るだけになった。
 ただし持ち込む素材が、毛皮がメインになっていたため、いつの間にか毛皮ハンターという二つ名が付けられることになるのは、もう少し先の話であった。
元々考えていたのは、テンプレ通りの冒険者(笑)が現れて、従魔たちの強さを見せつける・・・予定だったのですが、いつの間にやら毛皮ハンターになってましたw
ちなみに、血で汚れるのでは? という意見があるかもしれませんが、ビバ!魔法世界!ということにしておいてください。(洗浄魔法があるだけですw)

この話で第二十章の閑話は終わりです。
明日から第二十一章になります。
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