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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第20章 塔の機能を使ってみよう

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5話 塔側の反応

 モニターに映る映像を見て、考助はため息を吐いた。
 一応影響力を考えた上で、威力を調整したつもりだったが、少し間違えれば艦隊にも影響が出ていた可能性があったのだ。
 勿論人に被害が出ないようにするという人道的な意味もあった。
 ただそれ以上に、多少でも艦隊に被害が出れば、今後の交渉に影響が出ると考えたので、犠牲は出来るだけ少なくしたかったのだ。
 今考助達が見ているモニターは、元々塔の機能についていた物だ。
 正確に言えば、結界と攻撃の機能が解放されてから付いた機能だ。
 結界を張る場所や攻撃をする場所が分からなければどうしようもないので、位置を確認するためにも付いているらしい。
 こんな高性能な機能のモニターがあっていいのかと思ったのだが、機能として付いている以上は、ありがたく使わせてもらうことにした。
 ちなみに、考助たちがいるのは、アマミヤの塔の制御室だが、管理層の会議室には、行政府の高官とクラウンの部門長以上の者達が集まって同じものを見ている。

 余りの結果に、考助を含めて若干引き気味だった一同だが、ある程度の予想は出来ていたので、他の者達よりは早めに回復できていた。
 制御室にいる考助達には見えていないが、会議室にいる者達は、未だに声もなくモニターを見ている。
「さて、これで引いてくれるといいけど、どうなるかな?」
 考助が、誰に言うでもなく呟いた。
 その声に応えたのは、メンバーの中で一番政治に詳しいフローリアであった。
「まず、引くだろうな」
「その心は?」
「あの結果を見て、艦隊が無事で済むと考える者は誰もいない。艦隊の全てを犠牲にしてまで、西の利権を手に入れたいと考えるかどうかだ」
「軍を失ってまで手に入れたいと思うほど、西の街の利権は大きくないと?」
 シュレインの確認に、フローリアが頷いた。
「もっといえば、わざわざ今後も敵対を続けるより、アマミヤの塔におもねって利益を得た方がいいと考えるだろう」
「なるほどね」
 考助としても納得したように頷いた。
 まあ軍事的に仕掛けられて、面白くないという気持ちはあるが、それはそれである。
 こちらには、人的な被害は出ていない、どころか今後は有利に話が進められそうなので、これで引いてくれるなら特に文句を言うつもりはない。
 そもそも塔の機能は、他大陸に使うことは出来ないのだから、わざわざ遠征するつもりもないのだ。
 ということは、コラム王国は存続したままという事になるのだから、隣国になるコラム王国とは、適度な距離を保って付き合うのが一番いいのだろう。
 この程度の事は考助でも思い浮かぶのだから、アレク辺りは当然そのことは思いついているだろう。
「じゃあ今後の事は、アレクに任せて大丈夫かな?」
「問題ない。と言うより、それが専門だから張り切って交渉するだろう」
 これほど有利な条件での交渉など、普通は望めないのだが、その結果を出したのだから後は交渉次第という事になる。
 ついでに言えば、今回の攻撃の結果は、別にコラム王国だけに限って適応されるものではないというのが大きい。
「もしかしなくても~。セントラル大陸の他の都市に対しての示威行為にもなりますか?」
「間違いなくなるだろうな」
 ピーチの疑問に答えたのは、シュレインだった。
「まあ、コラム王国だけではなく、いろんな方面に影響を与えるな」
 何やら含んで言うフローリアに、考助が苦笑した。
「そのいろんな方面と言うのは、行政府とかクラウンとかも含まれているのかな?」
「当然」
「そう言えば、この機能って塔の階層にも向けることができますの?」
 ふと思いついたように、これまで黙って聞いていたシルヴィアが聞いてきた。
「いや、最初は出来ないと思ったんだけどね。色々試しているときに、マーカーを使えば出来ると分かったよ」
 考助にしてみれば、そんな自虐的な行為をするつもりはないのだが、場合によってはできる、と分かっているだけでも大きい。
 ちなみに、マーカーと言うのは、攻撃をする際に目印になる物である。
 今回そのマーカーは当然コロラドに持たせてある。
 勿論、コラム王国側が先走ってコロラドの乗った商船をどうにかしたとしても、それはそれでやりようがあった。
 例えば、商船を攻撃した段階で、直接攻撃を仕掛けるなど。
 そんなことにならなくてよかったと思う考助であった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「なんというか・・・」
 シンと静まり返った会議室の中で、シュミットのその声がやけに響いた。
「今の攻撃を使って大陸のモンスターを一掃してもらった方が、話が早くて済むのではないかと思いますね」
「・・・・・・本気で言っているのか?」
 シュミットの珍しい軽口に、ガゼランが何かを抑えるように聞いてきた。
「勿論冗談ですよ。そんなことをすれば、生態系が滅茶苦茶になる、というかそもそも生物が生き残れるかどうかも分からなくなります」
「町を維持するのに、あの攻撃をぶっ放して街そのものが壊れては意味がないからな」
 二人のやり取りを聞いていたダレスが、深々と息を吐きながらそう言った。
「念のため聞くが、あの攻撃に耐えられる建築物は作れるか?」
 アレクの問いに、わざとらしく目を剥いてダレスが答えた。
「代官殿はわしらに過労で倒れろと言うか?」
 決して出来ないと言わないのが、ダレスらしかったが、これは事実上無理と言っているのと同じ意味だった。
「勿論冗談だとも」
 軽口と冗談が交ざった会話ばかりだったが、こうでもしないと今の雰囲気は切り替えられない状態なのだ。

 そんなある意味現実逃避気味な会話をしていると、転移門側とは逆側の扉がノックされた。
 この場所に入れるのは、限られた者達だけなので、誰であるかはすぐに分かった。
 そもそもノックなどする必要がない人物なのだが、その律義さが彼の性格を現している。
「はい。どうぞ」
 代表してワーヒドがそのノックに応えた。
 案の定、扉の向こうから今回の騒ぎを起こした塔のメンバーが入ってきた。
 勿論その中心には、考助がいる。
「結果としては、上々だと思いますが、どうでしょうか?」
「・・・上々と言うか、いささかやりすぎとも言えるな」
 一応今までの口調は変えずに、それでも呆れた表情を見せてアレクが答えた。
「あれ? 問題ありましたか?」
「今回の件は間違いなく大陸中に広まるからな。その際に塔が武力で抑え込むと思われたら、いささかまずいことになる」
 武力だけで抑え込んで統治したところで、いい結果などでないというのは、アレクの持論だ。
 アレクがそんな考えを持っているからこそ、考助も安心して行政府を任せられるのだ。
 勿論使える物は最大限使うという考えも持っているのだが。
「あれは、セントラル大陸の外の勢力にしか向けないと通達すればいいのではないかの?」
 考助とアレクの話に、シュレインが口を挟んできた。
 ちなみにこの場にはフローリアはいない。
「・・・まあ、そうするしかないのだが・・・いいのか?」
 アレクの確認に、考助は肩をすくめた。
「あんなものを内陸に向けてぶっ放したら、環境破壊どころではないですよ。そんな冒険をするつもりはありません。それに、あれでもぎりぎりまで威力を抑えたんですよ?」
 考助が苦笑しながら言った台詞に、一同が言葉を失った。
「参考までに聞くが、最大限まで威力を上げたらどうなるんだ?」
 ガゼランの質問に、考助は困ったような表情になりながら答えた。
「塔が立っている周辺の陸地が小島のように残って、後は海の底です」
 考助の答えに、ガゼランの表情が聞くんじゃなかったという顔になった。
 周りを見回すと、全員が似たり寄ったりの表情になっている。
「というわけで、そんなことをするつもりはないので、その方向でお願いします」
「ああ。わかった」
「では。今回はこれで大丈夫でしょうか?」
 考助の確認に全員が頷いた。
 それをもって今回の集まりは解散となったのだが、それぞれにやることは山積しているので、急いで今回の件の後始末をすることになるのであった。
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