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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第19章 塔で進化について考えよう

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(9)進化の調査

 ヴァミリニア宝玉のおかげで右目の力に関しては、何となく見えて来た。
 ステータス表示に関してもそうなのだが、右目の力も対象の現在の状態を表示するだけで、直接何かを働きかけるものではない。
 勿論、シルヴィアの言葉を借りれば、今の状態が力の全てではないので、まだ発展の余地はある可能性はある。
 とは言えそうそう簡単に、発展先を見つけることが出来るわけでもないので、取りあえずは今の状態を一つ一つ検証するしかない状態なのだった。

「ところで、魂の器の拡大については分かったんでしょうか~?」
「いや、分かってないけど。何か、わかったの?」
 唐突にピーチがそんなことを聞いてきたので、考助は素直に分かってないことを答えた。
「答えかどうかわからないんですが~。何となく思い付いたことがあるんですが・・・」
 占い師としてか、あるいは元々そういう性質を持っているのか、ピーチは勘が鋭い。
 以前、サキュバスはそう言った勘が鋭い種だと言っていたので、種族特性の一つなのかもしれない。
 そういう事情で、ピーチの何となく、という言葉は、無視できないという事は塔のメンバーは、既に把握している。
「何の事?」
「そもそも、ナナとワンリがここまで順調に進化できたのはなぜでしょうか~?」
 そんなことを言いながら、ピーチは首を傾げている。
 その膝の上には、小型化したナナが気持ちよさそうにピーチから撫でられていた。
 ついでにワンリは、人化して考助の隣に座っている。
 そのワンリに向かって、周囲の視線が集まった。
 それらの視線を感じたワンリは、慌てたように首を振った。
「え・・・ええと? ごめんなさい。気が付いたら進化していたので、私には理由までは分かりません」
 最後の方は申し訳なさそうに、小声になっていた。
「ああ、いいのよ。その答えが分かっていたら、コウスケもここまで悩んでいないわ」
 落ち込みそうなワンリに、すかさずコレットがフォローを入れた。
 ついでに言えば、ワンリが人化できるようになる前は、自身のステータスの事すら理解できていなかったのだから、正解を求めるのは酷と言える。
「そうそう。ただ、ピーチが言いたいことは何となくわかったよ」
 考助もワンリに笑いかけつつ、そんなことを言った。
 ついでに、シュレインも同意するように首を振っている。
 何だかんだでシュレインは、コウヒとミツキを除けば、この中で一番の古参である。
 ナナとワンリの状態も一番長く見ているのだ。
 ついでに、考助のステータスを見る能力についても同様だ。
「そういうことだの。ナナとワンリが他の眷属と違っていた点はいくつかあるが、大きく違うのは絞られるからの」
 シュレインの言葉で、シルヴィアも気づいた。
「・・・ああ、なるほど。称号、ですか?」
 ナナもワンリも称号は、早いうちから付いていた。
 同じ種族の他の眷属たちは、称号が付いていたのはほとんどいなかった。
 いたとしても、少なくともナナのように称号が変化するようなことは無かった。
 ワンリに関しては、<考助の眷属>以外の称号が複数付いている。

「それを言えば、そもそも<考助の眷属>という称号が付いているのは、眷属たちが進化しやすいことの理由にもなるのではないか?」
 フローリアの言葉に、メンバーたちが顔を見合わせた。
 ほとんど思い付きで言ったフローリアだったが、言った後で何となくそれが正解ではないかと思い始めた。
「いや。待って待って。ちょっと先走り過ぎてるよ。だとしたら眷属たちの全員が、右目の力で何かが見えてもおかしくないはずだよ?」
 考助が、走り始めた議論にストップをかけた。
「確かに称号が進化に何かの役割を果たしているのは当たっていると思うけど、全部が全部そうだとは限らないんじゃないかな?」
 今更と言えば今更なのだが、今まで真面目に称号に関してまともに話して来たことは無かった。
 勿論進化している個体を見れば、称号が大きな役割を果たしているのは、わかりきったことだったので、あえて突っ込んだ議論などしてこなかったのだ。
「なるほどね。一度称号、というか、ステータスに付いてきちんと見直した方がいいのかしら?」
「特に進化と合わせて考察したほうが良いかの」
 今までは感覚でやってきたものを、きちんと体系化しようという話だ。
「あちゃー。忙しさにかまけて、放置していたつけが来たか」
 考助にしてもそう言ったことを考えなかったわけではないが、後回しにしてしまったために今になって問題が顕在化したと言える。
 まあ問題と言えるほど大きなことではないのだが。

 それを見たシルヴィアが、手を挙げた。
「その体系化してまとめるのは、私に任せてもらえないでしょうか?」
「シルヴィアが? 別に構わないけど?」
 突然そんなことを言いだしたシルヴィアに、考助は首を傾げつつ許可を出した。
 とはいえその作業をするには大きな問題点がある。
「シルヴィアがやりたいというのなら構わないと思うけど・・・ステータス確認は、どうするの?」
 そもそも道具をなしにステータスを確認できるのは、考助だけなのだ。
 ステータスが見れない以上、考助が傍にいないと作業がはかどらないのは、目に見えている。
「それは・・・」
 シルヴィアもそれは分かっていたので、言葉に詰まった。
 だが、メンバーのそんな様子を見て、考助がニンマリと笑って立ち上がった。
「フッフッフッ。そんなこともあろうかと・・・!」
 そんなことを言いつつその場から去り、研究室へ向かった。

 すぐに研究室から戻ってきた考助は、その手に何かを持っていた。
 手のひら大の小さめの箱のような物だった。
「それは・・・?」
 話しの流れから何となく予想が付いたシルヴィアだったが、皆を代表して考助に聞いた。
「聞いて驚くなかれ! これぞ待ちに待った・・・」
「ステータスを見れる装置ね?」
 もったいぶろうとした考助をぶった切って、コレットがさっさと答えを言った。
 がっくりと項垂れる考助には、誰も同情する様子を見せなかった。
 その中にワンリも入っていることに気付いた考助は、さっさと先程の台詞は無かったことにした。
「そういう事だね。まあ、使えるのが神力を使える人限定っていう制約が付くけど、皆には関係ないからね」
 全員が神力を扱う修行をしたのが、ここで役に立つことになった。
 当然神力を使わないと起動しないので神具だったりするのだが、その辺は既に当たり前になっているので、皆スルーしている。
「そう言う物があるのだったら、私も手伝います~」
 珍しいことに、ピーチも積極的に参加を希望してきた。
「ピーチが? 勿論構わないよ。あ、ちなみに二つしか作ってないよ。別に二人だけでやる必要もないし」
 他にも立候補してきそうだったので、先に釘を刺しておいた。
 さらに言うなら、今まで進化をしている眷属たちは、記憶を頼りに作るしかない状態なのだ。
 その辺に関しては、考助も精度を求める気は全くなかった。
 元々は右目の力から始まったことなので、そこに繋げることが出来れば万々歳という程度にしか考助は考えていなかったのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助がいなくなったくつろぎスペースで、女性陣が集まっていた。
「二人ともいやに、積極的だの?」
「そうねえ。何かあったの?」
 シュレインとコレットが、首を傾げつつシルヴィアとピーチに聞いてきた。
 フローリアも同じ気持ちなのか、耳を傾けている。
「・・・ピーチはどうですか?」
 シルヴィアは、それにはすぐに答えず、ピーチの方を見た。
「恐らく、同じことを考えているかと」
 ピーチの返事に、シルヴィアが頷いた。
「多分、私達にも<進化の萌芽>が出ているというのが、あの(・・)件に繋がるはずです」
「私もそう思いました~」
 シルヴィアとピーチの言葉に、他の三人が顔色を変えた。
 何のことかはすぐに分かった。だが、今まではあの話と結び付けては、考えていなかったのだ。
「・・・なるほどの。という事は、我らは裏方に回ったほうがいいかの?」
「そうね。フォローは絶対に必要だからね」
「ふむ。そういう事ならこの件は、二人に任せた方がいいだろうな」
 三人もすぐに納得して顔を見合わせた。
 こうして考助のあずかり知らぬ所で、女性陣の計画が進むのであった。
最後の話は、考助は知りませんが、当然コウヒとミツキはわかっています。
そもそも管理層で二人に秘密裏にことを進めることはできませんw
二人は直接手を貸すことはしていませんが、むしろ積極的に進めるように見守っていますw
当然考助のためになると考えてのことです(本人がどう思うかは別ですw)。
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