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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 塔へ色々な種族を受け入れよう

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(1) 転移門の設置

本日2話目になります。読み飛ばしにご注意ください。

第3章開始しました。
 考助が塔を攻略してから約一か月。
 ようやく第五層の村づくりの第一歩が形になろうとしていた。
 考助は今、リュウセン活動組の内の一人であるイスナーニから報告を受けていた。
「じゃあ、そっち側の準備はもう整ったの?」
「はい。一番時間がかかっていた拠点の建設も終わり、内装も昨日のうちに片づけ終わりました。
 冒険者の方も目星を付けた後、興味を持った何組かのパーティに話を付けてあります」
「ということは、あとは門をつなげばいいだけ?」
「そうなります」
「うーん。そうか・・・」
 微妙な表情の考助を見て、イスナーニは首を傾げた。
「・・・何か問題でもありましたか?」
「ああ、いやいや。ちょっと今作ってる物があるんだけど、間に合わなかったなぁ、と思っただけだから。村の方は問題ないよ」
「作ってる物ですか?」
「うん。これ」
 考助は嬉しそうに、箱の上に一つだけ水晶が載っている物を取り出した。
「・・・これは、なんでしょう?」
「水晶の上に手を乗せてみて」
 考助に言われたとおりに、イスナーニは水晶の上に手を乗せた。
 すると箱の部分の表面に、現在のイスナーニのステータスが表示された。
「・・・・・・これは!?」
「ステータス参照機とか確認機とかいうことになるのかな? まあ要するに自分のステータスが確認できる魔具、というか正確には神力使ってるから神具だね」
 あっさり言い放った考助に、イスナーニは唖然としている。見るとそばにいたコウヒとミツキも、イスナーニの様子を見て苦笑している。
 二人にとってもこの神具は、想定外の代物だったのだ。
 ここしばらく第七十三層と第七十六層は完全に二人に任せて、考助は狼達と狐達の様子を見るくらいで、それ以外の時間を使って何やらこそこそと作っていると思ったら出来てきたのがこれである。
 そもそも人が持つ力や技を数値化するような装置などこの世界のどこにもない。
 考助の左目の力があって初めてできた代物であるから、当然と言えば当然なのだが。
 神力を使えるという意味をきちんと理解していない考助ならではの結果だった。

 何とか気持ちを落ち着かせたイスナーニが問いかけた。
「私には素晴らしい物に見えますが、何か不満でもあるのでしょうか?」
「うん。そもそもステータスって個人情報の塊だからね。何とか本人以外には見えないようにするために、カードみたいなものに転写できないか試したんだけど、なかなかうまくいかなくて、今は箱に表示させるのが精いっぱいなんだよね」
「・・・なるほど。コウヒ様やミツキ様は?」
「さすがに魔具とかならともかく、神具作成となると私は専門外すぎるわ」
「私も同じです」
 コウヒもミツキも神力は使えるのだが、神具を作るとなると全くの専門外である。
 そもそも一か月もかからずに、こんなものを作ってしまう考助が異常なのだが、本人に自覚はない。
「あの・・・その神具作り・・・私も交ぜてもらえないでしょうか?」
 非常に言いにくそうに、イスナーニが申し出た。
「ん? それはいいけど、リュウセンの方は?」
「え? いいのですか? やったー!」
 今にも小躍りしそうなイスナーニに対して、最初のクールな印象が崩れていく考助であった。
「いや、だから、リュウセンは?」
「そちらは問題ないです。ほぼ計画の目途は立っているので、そろそろ別のところに一人くらい回っても大丈夫です」
「ああ、うん。まあ、じゃあ一応ほかのメンバーの許可を取ってから頼むね」
 勢いに押されて許可を出した考助に、コウヒとミツキは二人そろって首を左右に振っていた。
 結局、イスナーニはその後、塔およびギルドの開発チームのリーダーとなり数々の聖具・魔具・神具を、考助と共に開発していくことになるのだが、それはまだ先の話である。

「それで、門の設置はいかがいたしますか?」
 脱線しかかっている二人に、コウヒが口を挟んだ。
「「あ」」
 考助とイスナーニは、完全に忘れてたという顔をして視線を合わせた。
 それを見て、コウヒとミツキは二人そろってため息を吐いた。
 考助は慌てたように、第五層の村の神殿に転移門を設置した。
 そして、管理画面の下からごそごそと四角い何かを取り出した。
「と・・・とりあえず、これ拠点の門の作る予定の所に持って行ってもらえる?」
「・・・これは?」
「ああ、それを置いたところを中心にして拠点側に門ができるから」
「なるほど。畏まりました」
 イスナーニは頷きつつそれを受け取る。
 万が一にも落としたりするわけにはいかないので、大事そうに懐にしまった。
「それから、こっちの門から操作したら向こう側にも門ができるんだけど、どれくらい後がいい?」
「そうですね・・・二時間くらいを見てもらってもいいでしょうか?」
「わかったよ」
 イスナーニは(というかここのメンバーでは考助以外)塔の外からなら転移ができる。
 二時間としたのは、向こうの状況が分からないので余裕をみた時間だ。
「では行ってまいります」
 そう言って塔外へと向かったイスナーニを見送って、考助たち三人はそれぞれの仕事に向かった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 リュウセンの拠点には、今ワーヒドたち六人が勢ぞろいしていた。
 ようやく今までの彼らの苦労が一段落して、一つの結果が現れるのだから当然だ。
 その六人は、イスナーニが塔から持ち帰った物が変化するのを今か今かと待っている。
 神力に一番感応力があるイスナーニが気付いた。
「あ、そろそろみたい」
 その言葉に、寛いでいた六人がきちんと勢ぞろいした。
 その間に、小さな四角い箱型のものが、光るとともに大きくなりやがて門へと変わった。
 その門からすぐに考助たち三人が現れた。
 その姿を見て、ワーヒドたち六人が跪いた。
「あー。いや、そんな堅苦しいことしなくていいから」
 考助が慌てたように、彼らに立つよう促した。
「おめでとうございます、考助様」
 皆が口をそろえたように言った。
「うん。皆が頑張ってくれたからこそだよ。それに、これからが本番だしね」
「勿論わかっております」
「じゃあ、とりあえず明日からよろしくね。あ、あとイスナーニの話は聞いた?」
「聞いております。特に問題ありませんので、そちらでお使いください」
 代表してワーヒドが答えている。一番最初に召喚されたせいか、いつの間にか六人のリーダーになっているようだった。
「わかった。あとは・・・向こう側の方も大丈夫?」
「勿論です」
「・・・とりあえず、これくらいかな? ほかに何かある?」
 考助はコウヒとミツキに問いかけたが、二人とも首を振っている。
「あ、そうだ。言い忘れてた。今のところこの転移門、管理員以上じゃないと起動できなくなってるから、君達が許可しないと通れないから注意して。許可の仕方は、管理層の門と一緒だから」
 管理層の門は、彼らも今までに何度か使っているので、やり方はわかるだろう。
「なるほど。わかりました」
「これくらいかな? それじゃあ僕らは向こうへ行って、狼達を別の層に転移するよ。後はよろしく」
「はい」
 その返事を聞いた後、考助達三人が転移門をくぐって塔へと消えていった。
 それを見送った後、ワーヒドが残った五人にひと声かけた。
「考助様がおっしゃっていた通り、とりあえず一区切りはついたが、むしろこれからが本番だ。皆、打ち合わせ通りよろしく頼む」
 そして皆がそれぞれ思い思いに、それに返事を返して、それぞれの仕事をしにその場を離れて行った。

 一方、第五層の神殿の転移門に出た考助たちは、残っていた狼達を従えて第七層へと行き、そこで他の狼達と合流させて、管理層へ戻って行った。
 これでようやく第五層の村に外部の人間を受け入れる準備が整ったのであった。
次は世界樹のお話。

次話翌日20時投稿予定
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