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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第18章 塔と新たな力

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(7)世界記録(ワールドレコード)

 考助はアスラの屋敷にある部屋の中で悩んでいた。
「うーん。結局、今日は何もわからなかったか」
 今、考助がいる部屋は、アースガルドへ向かう前、この屋敷に滞在していた時に使っていた部屋だ。
 前のお泊りの時もこの部屋だったのだが、その際にエリスから考助が神域に来た際は、この部屋を使うように言われていた。
 神域は、昼夜がきちんと存在している為に、既に外は夜になっていた。
 何故昼夜が存在しているかというと、アースガルドと違う感覚にならないように、と言った理由になっている。
 あとは夜もきちんと楽しみたいというアスラの個人的趣味も入っているのだが、それを知っている者は少ない。
 そんな夜の風景を見ながら新しい力に関して考えていたのだが、さっぱりわからない。
 今回の滞在は、ピーチの占いに出ていたきっかけがつかめるまでは、滞在するつもりでいた。
 とは言え、いつまでもだらだらと過ごすつもりもないのだ。
「あー。駄目だ。考えてもよくわからないや。・・・散歩でも行くか」
 考助は、部屋でじっとしていても煮詰まるだけだと思ったので、そんなことを考えた。
 口に出してみると何となくいい考えに思えたので、実際に行動に移すことにしたのであった。

 考えてみれば、前回前々回と送還陣で来た時は、こうして落ち着いて外を散策することは無かった。
 アースガルドに向かう前は、結構自由にぶらぶらしていたが、あの時他の女神様達に会わなかったのは後で考えると不思議だった。
 勿論、アスラとエリスがふいに出会わないように、裏で動いていたのだが。
 といっても物理的に同行するわけではなく、ここまでの範囲は入ってこないでね、と通達するだけだ。
 そう言ったことに関しては、考助が来る前から結構頻繁にあったので、疑われることは無かったのだ。
 今回の訪問では、既に定期訪問が約束されていることもあって、ぶらついている考助に突撃してくる女神はいない。
 そのことをエリスから聞いていたので、考助もこうしてのんびりと散策を楽しんでいるのだ。
 塔にいるときは、ほとんど管理層に籠っているだけなので、こうして自然を楽しむことは眷属たちの様子を見に行く時くらいだ。
 それもあって、自然の空気を感じたせいか、何となく楽しい気分になってきた。
 その気分のまま調子に乗って、どんどん歩を進めていく。
 そして、気づいたときには遅かった。
「・・・あれ? ここどこ?」
 今まで歩いていたのは、平原ではなく林の中を歩いていたのだが、屋敷のある方向が全く分からなくなってしまった。
「げげ、やばい、かな?」
 なんとなくやばい気もしたが、そもそも自分の足で歩ける範囲など知れているだろうと楽観的に考えることにした。
 ちなみに、こんなにのんびりできるのも、神域にはモンスターが出ないことが分かっているからだ。
 もっともモンスターが出るのであれば、散歩しようなどとは考えもしなかっただろう。
 さらに慌てていない最大の理由が、ジャルとの交神具を持ってきているからだった。
 神域の中でも問題なく使えることは、既に分かっている。
 交神具が最終手段として残っているので、ここまでのんびりできているのであった。

「うーむ・・・散々歩いたつもりだけど、現在位置が全く分からない」
 地図が見れるチートとかあればなあ、とか余計なことを考えつつ歩き続けるが、知っているような場所に出る気配は全くしなかった。
 それどころか、更に歩くこと数十分。
 突然に開けた場所に出て来た。
 開けた場所といっても、前方に林が無くなったわけではない。
 その場所だけ何かで遮られたように、木々が生えていないのだ。
 形は円形状になっていて、大きさはちょうど広めのグラウンドくらいだった。
 林の中を歩いてきた考助にとっては、木が無くなって直接月明かりが照らされているその場所は、非常に明るく感じた。
 折角開けた場所に出たので、その中央まで歩いていくことにした。
 最初は気づかなかったのだが、中心に近づくにつれて、その場所の中央に考助が一抱えできるくらいの大きさの岩が存在してることに気付いた。
 気になった考助は、そのままその岩に近づく。
 ある程度近づいて来れば、その予感も確信に変わってきていた。
 そのまま岩に近づき、手を触れてみた。
 ・・・が、何も起こらなかった。
「・・・あれ? おかしいな。絶対何かあると思ったんだけど?」
 触るだけではなく、撫でてみたりもしたのだが、特に何も起こらない。
 しばらくの間、ぐりぐりとその岩をいじっていたが、特に何も起きなかった。
「うーん? よくわからないや。取りあえず疲れたから少し休ませて貰おう」
 そう呟いた後、その岩を背にして座り込んだ。
 歩いている間はさほど感じなかったのだが、かなりの時間を歩き続けていたので、それなりに疲労していた。
 そんなつもりはなかったのだが、気づけば目を閉じて寝入ってしまうのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 気づけば一面真っ白な世界に来ていた。
 そこにいるのは考助一人・・・というわけではなく、目の前には百科事典程の大きさの本が浮いていた。
〖初めまして〗
 突然目の前の本から話しかけて来た。
 音を使って耳から入ってくる言葉ではなく、頭の中に直接響く声だった。
「えーと? 初めまして? 考助です」
〖知っている。私は<・・・・>〗
「え? なんですって?」
〖残念ながら、まだお主には、私の名前を聞く資格がないようだ〗
 目の前の本は、そんなことを言って来た。
「そうですか。・・・うーん、でも何となく想像できるんですが?」
〖ほう。ではその名前をいってみよ〗
「では、失礼して・・・世界記録ワールドレコード
 考助がその名前を呼んだ瞬間、目の前の本が光を発して、パラパラとページがめくられていった。
 それは、あるページのところまで進んだところで止まった。
〖それは、我を現す名の一つ。それが全てではない。だが、我の全てを理解できる者がいないこともまた事実だ〗
「あー。要するに僕では理解できない存在、という事でしょうか?」
〖どうであろうな? あるいは長い長い思索の果てにたどりつくことも出来るやもしれぬ〗
「なるほど。ところで、僕をここにお呼びになったのは貴方ですか?」
〖我は呼んでおらぬよ。そなたが我の所に来たのだ〗
「あれ? そうだったんですか? それはお騒がせしました」
〖構わぬ。たまにはこうして他者と会話するのも悪くはない〗
 本の形をしているだけに、表情と言った物は分からないが、その声の調子から怒っていると言った様子は感じられなかったので、考助はホッとした。
〖それで? そなたは我に聞きたいことがあるのではないのか?〗
「あ、やはりお見通しでしたか。でも止めておきます」
〖ほう。それは何故だ? 我は全てを知っている存在。聞かれれば答えは出てくるぞ?〗
「だから、ですよ」
〖我に聞くのも、あの女神に聞くのも違いはないのではないか?〗
「いや、何となくですが、貴方の場合はそれこそ次元が違う気がして・・・うまく言葉にできません」
〖そうか〗
 短い返事だったが、それは何となく楽しそうな感じをうけた。
〖その感覚を大事にするがいい。ではそろそろ行くがいい〗
 目の前の本がそう言うと、先程と同じように光を発した。
 先程と違うのは、その光が考助自身を包んでいたことだった。
 その光が消えた時には、既にその場所には考助はいなくなっていたのであった。
はい。というわけで、やっと出てきました世界記録ワールドレコード
でもこれで最初で最後かもしれませんw
予定は未定!(きっぱり)
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